Last Updated on 2023年8月1日 by 菅間 大樹

車いすを使用している方が「仕事」を考えるとき、必要なのは業務内容だけではなく、通勤までの道のりや会社の環境など、重視しなければいけないポイントが数多くあります。それらのポイント1つ1つのハードルを高く感じ、悩みを抱えることもあるでしょう。

例えば「車いすを使用しながら通勤するのに、満員電車は乗れるだろうか」「職場はバリアフリー環境が整っているだろうか」「行動に時間を要することも多いが、雇ってもらえるのだろうか」「そもそも、復職や仕事探しはできるのだろうか」といった悩みはありませんか?

そのような悩みを抱えたら、同じように車いすを使用しながら、仕事を続けている方々の声に耳を傾けてみましょう。

車いすを利用しながらも仕事をしている方々にアンケートを実施し、どのように仕事を行っているのか、どうやって仕事を見つけたのかといったリアルな声を集めました。

辛い思いを抱きつつも復職、もしくは転職活動に成功されている方が大勢いらっしゃいます。「どんなことに注意しながら転職活動を行ったか」「車いすを使用している人が特に注意すべき面接のポイントとは」など、具体的な情報がたくさんあります。

また、実際に働いている方の工夫や、車いすを使用していてもできる仕事、配慮のあるオススメ企業なども実名をあげて教えていただきました。
ぜひ、復職・転職活動の参考にしていただきたいです。

目次

  1. 車いすを使用している方が直面する悩みとは?
  2. 働きやすい職場とは?確認したいポイントとは
  3. 今の仕事を続けるor転職するか?
  4. 車いすを使用している方にオススメの企業とは
  5. 転職活動の始め方に迷ったら活用してみよう
  6. 車いすの方に聞く、面接のポイントとは?
  7. 入社後に心がけたことは?
  8. 最後に

1.車いすを使用している方が直面する悩みとは?

車いすを使用しながらも仕事復帰しようとしている方が直面する悩みには、どのようなことがあるのでしょうか?
アンケートからその回答をまとめると、3つのことが多く挙げられていました。

1.通勤に対するハードルの高さ
2.自由に動けないことへの辛さ
3.精神的な負担

ではそれぞれ、コメントとともに具体的な内容を見てみましょう。

1-1 通勤に対するハードルの高さ


「私は身体障害者手帳の3級の障害をもっています。電動車椅子を使っています。それなので、とても通勤に不便で困っています。」
「通勤も大変です。事故こそ起こしませんでしたが左手 左足で車を運転するのは、危ないです。」
車いすを使用していると、周りの方と同じように朝の混雑時に電車に乗ることはかなり厳しいのが現状です。そのため、通勤時間や通勤方法に対する会社の配慮が必要不可欠になります。

また、車通勤が可能な職場だとしても遠距離・長時間の通勤は続かないでしょう。まずは「職場に到着するための手段」という悩みが、周りの方には理解できないほど大きな壁となっています。

1-2 自由に動けないことへの辛さ


「環境は良いと思うが、夏冬の空調があまり効かないので長く同じところにいるときつい」
「頸髄損傷で、基本的に首から下は動かず、腕は一部動くので、動かない指一本でキーボードを打ってます。 長時間車椅子に座っていると、貧血や褥瘡のリスクも大きいです。」

多くの方が行う仕事内容は、デスクワークや電話対応など、車いすでもできることです。しかし、それらの仕事は同じ態勢で長時間続けるために、自由に動けないゆえの悩みや疲労も感じます。

周りのデスクワークの方は、立って歩き回るなどの気分転換が気軽にできますが、車いすの場合それができないため、エコノミー症候群のような影響が身体機能全般に表れます。それら特有の悩みが周りの方にはなかなか理解されないのも辛いことです。

1-3 精神的な負担


「自分でできることが少なかったので他の人たちと対等な関係になれなくて劣等感を持っていた。食堂もあったが手伝って運んでもらわなきゃならなかったので、お弁当を週2回ぐらい持っていった。友達もできず苦痛。性格も内向的。仕事内容は普通の人には簡単だが私には片麻痺右手。なので左手で書かなければいけないので大変だった。記憶力があったので助かった。」
「いかに健常者に嫌われなく、嫌がらせを受けず、いじめられずに済むのかといった、仕事とは関係ないところで、工夫というよりも私が働いていく上で必要だったことです。」
「靭帯骨化症で長い時間車イスに座っていると、胸や足が痺れてきて耐えられなくなる。 この病気になってから、熱が急に上がるので仕事もままならない。この病気が酷くなって自分で辞めてしまった。 かなり迷惑をかけたので、これ以上世話になりたくなかった。」
「私は2か所就労の経験がありますが、両方とも、障害を持つ私と一緒に働きたくない人たちばかりだったので、ハラスメントを受けたり、窓際族にされて、わたしから依願退職するように促された。初めのところでは、ハラスメントによりうつ病になった。でもうつ病になったことを認めてもらえず、嫌な思いをしました。雇う側と配属先が障害者を雇用するという考えや理解を共有しないと、私だけではないであろうこの事実はなくならないと思います。健康であってももしかすると病気やけがで障害を持つかもしれないのだから、その辺の当たり前であたりまえでないことを本当の意味で理解する必要があると思います。」
「特にに車いすを使うようになって最初の頃に経験し辛いことのひとつは、差別を感じたり、他の人の世話にならなければならないことにガッカリすることです。身体的には、これまではできたちょっとしたこともできなくなるため、健常者にイライラされたり、自分自身が落ち込むことがあります。」

このように、車いすを使用していることで周囲に溶け込めない悩みが多くみられます。 そのケースは大きく2つに分かれています。

1つは、自ら周りに気を使っている方。気を使うあまりに周囲に溶け込めないケースです。
もう1つは、周囲の理解がない職場で働いている方。周りからの言動や行動で辛い思いをしているケースです。
上記のコメントにもあったように、精神的な負担は心の障害へもつながりかねません。

でもどの企業もこのような職場ばかりなのでしょうか?
アンケートには、辛い経験だけではなく、車いすの方でもできる仕事や、配慮のある職場で働いている方のアドバイスもたくさん届いています。

では、車いすを使用しつつも復職、仕事復帰に成功されている方はどんな職場を選んできたのでしょうか。

2. 働きやすい職場とは?確認したいポイントとは

では次に、どのような職場であれば、車いすの方が働きやすいのでしょうか?
寄せられたアンケートから、働きやすい職場の特徴をまとめてみました。

1.バリアフリー環境が整っている
2.勤務時間の調整が可能
3.周囲の理解とサポート

では、それぞれ具体的なコメントとともに、詳しくみていきましょう。

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Written by

今井 靖之

findgood編集者、ライター。

大手電機メーカーで半導体電子部品のフィールドアプリケーションエンジニア、インターネットサービスプロバイダのプロモーションやマーケティングに従事。以後フリー。

身内に極めて珍しい指定難病者を抱える。

神奈川県川崎市在住。サブカルヲタク。「犬派?猫派?」と聞かれたらネコ派、猫同居中。