車いすを使用して仕事をしている方の中には、うまく付き合いながら理想の職場で働いている方もいらっしゃれば、悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
例えば、仕事のやりにくさを感じたり、もどかしさを感じたりすること。同じ体勢を続けることで疲れやすいなど、障害や疾患による特有の悩みを感じることはありませんか?
そんなときは、同じように車いすを使用しながら仕事をしている方々の声に耳を傾けてみませんか?今回のコラムでは78人の車いすを使用して働いている方の口コミをもとに
・どのようなことに悩み、どのように解決しているのか
・仕事探しはどのように行ったのか
といったアドバイスをご紹介していきます。
仕事との向き合い方や職場について悩むことや不安に感じることがある方は、ぜひ寄せられた声を、解決のヒントとして役立ていただけますと幸いです。
目次
- 車いすを使用することで生じる悩みと対策
- 車いすを使用している方が職場で抱える悩みとその対策
- 車いすを使用している方からの「仕事で実践したいアドバイス」
- 車いすを使用している方が就職や転職の際に注意すること、伝えるべきこと
- 転職や就活の参考に、車いすを使用している方におすすめの企業・業界・業種
- 求人の見つけ方
- 企業情報の集め方
- 最後に
1.車いすを使用することで生じる悩みと対策
車いすを利用している方は仕事をする際にどのような悩みを抱えているのでしょうか?障害を抱えている箇所や程度により悩みも異なるかと思いますが、当サイトに寄せられた多くの口コミから悩みの傾向をみてみましょう。
【車いすを使用していることで生じる悩み】 ・通勤や移動に時間がかかる。特に雨など天候が悪い日は大変さが増す ・疾患によっては体力が消耗しやすく、症状のコントロールが必要になる |
では、これらの悩みへの対策、皆さんはどのようにしているのでしょうか?ここからは具体的なコメントとともに紹介していきます。
1-1. 移動の不便さに関する悩みとその対策
車いすを使用している方にとって、まず挙げられるのが移動に関する悩みです。特に通勤に関してはその手段や通勤時間も決められていることも多いでしょう。
【悩み】
“ 電動車椅子なので通勤ラッシュの時間には電車に乗ることができません。それなのでとても不便です。 運輸・交通・物流・倉庫系、経理、女性 天気が悪い日の通勤です。自家用車で通っていましたが車からの乗り降りの際車のドアをずっと開けておかないといけないので車の中や車椅子が濡れてしまい天気の悪い日は大変でした。また長期休みで生徒がいないと学校の空調が切られてしまうので体温の管理も大変でした。 サービス・外食・レジャー系、女性 車椅子使用、視覚障害もあるため、車を運転できず、公共交通機関での通勤で非常な困難がある。 事務、女性 朝、起きる時、足先のこわばりが強く、起き上がろうとしても、ふらつきと痛みがあるため、落ち着くまでの時間がかかるため、仕事行く前の2時間、早く起きないと仕事に行くことができないので、一番困っていたことです。施設には、関節リウマチのことは、言えないので、たまに遅刻とかもあるため、嘘をつくことが、辛かったと思ってます。 サービス・外食・レジャー系、女性 ” |
車いすを使用している場合、時間帯により公共交通機関がラッシュなどで混雑していると、乗り物に乗りづらい状況が出てきます。また症状によりマイカー通勤が困難な場合もあります。
では移動に関する悩みに対して、同じく車いすを使用している方はどのような対策や工夫をしているのでしょうか?
【工夫や対策】
“ ラッシュ時の対応として、ラッシュ時は比較的に空いている車両や全駅止まらない、一部期間の電車に乗ることで、満員電車を避けるようにしています。雨の日は車椅子でも脱ぎ着しやすく、着ていても自走できるポンチョを使用しています。 小売・流通・商社系、男性 送迎車で送り迎えも、してもらってます(車椅子使用) トイレ、昼食など、自分で出来ない所をカバーしてもらったり、しています。 IT・通信・インターネット系、男性 基本的に在宅勤務なので通勤の手間がない、定時に終わり残業がない。 サービス・外食・レジャー系、事務、男性 それなりに会社側には理解があり労働時間や出勤、終了時間をある程度、自分で決められる。 事務、女性 対応として、フレックス制度により出社時間をずらしてもらいました。また、雨の日は他の社員と最寄りの駅から会社までサポートしてくれています。 小売・流通・商社系、男性 ” |
車いすを使用している方は、ラッシュ時間を避けるなど混雑を避けることが通勤のしやすさにつながります。また天候も通勤につかう労力を左右します。 そのため、通勤時間をずらしてもらう、天候により遅刻を認めてもらうことは、働きやすさにつながります。また、車を利用できる方は自家用車等での出勤を認めてもらうことも有効です。自ら状況を説明し、理解してもらう工夫も大切です。
さらに、送迎がある企業や在宅勤務が可能な企業もあるようですので、就活や転職活動の際は確認してみるのも良いですね。
1-2. 体力の消耗や疲れやすさに関する悩みと対策
疾患のある方は、一般の方よりも体力を消耗しやすいことや、その日の体調が仕事に影響することもあるでしょう。症状による日常生活の悩みについて実際にコメントを見ていきましょう。
【悩み】
“ 障害について、脳性麻痺による突発的な緊張感があり、コントロールがしにくい障害。特徴は、何かを始めると緊張してしまいます。言語の方あります。初めは聞き取りが出ないが徐々に慣れて会話もできる様なります。 メーカー・製造系、事務、男性 関節痛や筋力低下のため中長距離の移動は車椅子利用です。 体調は日によって変動があります。 ステロイド服薬のため下肢に皮膚潰瘍ができやすいです。 全身性エリテマトーデス治療薬を自己注射しています」 サービス・外食・レジャー系、医療・介護・福祉、女性 この病気の特徴が、元々骨折しやすいという症状で、尚且つ、以前骨折した場所が神経痛となることもあり、気温差や、湿気など天候によって症状が悪化し、休まざる得ない時に、上司にその旨連絡をしていたのですが、その上司からは、「いつ治るの?」「いつまで出勤しないつもり?」と回数が増える度に語気が強くなり、何度も、話はしましたが、理解して頂けない上司は最後、パワハラのごとく、周囲の前でも恥をかかす様に「怠けてる」など暴言を吐かれ、その度に、心理的にもダメージを負ってしまい、心療内科まで行く羽目になりました。 運輸・交通・物流・倉庫系、女性 車椅子移動なので、事務所スペース内での移動が困難。気分変動が激しく、時に強迫観念が強くなり、家から出たくなくなることも度々ある。 医療・介護・福祉、男性 ” |
車いすを使用している理由は人それぞれです。足が不自由な方もいらっしゃれば、全身に及ぶ疾患を抱えている方もいらっしゃいます。
疾患の症状に加え、移動の不自由さや同じ姿勢を保つことによる疲れなど、体調に与える影響も大きいようです。
これらのような悩みに対する工夫を行っている方の様子をみてみましょう
【対策】
“ 毎日、規則正しい生活をこころがけています。今現在、作業所に、週2日行ってますが、職員の方に、机の上でできる内職のような物を、指導してもらって作業しています IT・通信・インターネット系、男性 できる限り同じ時間におき、同じ時間に食事をして、同じ時間に寝るようにする (1日のサイクルを一定にするようにする) サービス・外食・レジャー系、事務、男性 無理はせずマイペースでおこなう時間のメリハリをつけて仕事をする メーカー・製造系、人事・経理・総務・企画、男性 やる気が出ない日はどんどん休む 出来ないことは人に頼む 自分が出来る範囲を明確に 気分の状態をグラフ化して管理 IT・通信・インターネット系、エンジニア・技術職、男性 ” |
まずは基本である「規則正しい生活」が重要です。そして薬を服用している方は、決められた処方を守ることが症状の緩和につながります。
そして最も大切なことは、無理をせず自分のできるペースですごすことです。残業やストレスを抱えるような仕事の仕方では、心身の疲労が増え体調を整えることが難しくなります。まずは自分のペースを理解しそれを尊重することも重要ですね。
ここまでは、車いすを使用している方特有の悩みに注目し、その対策を紹介してきました。次は、職場で抱える悩みについてみていきましょう。
2.車いすを使用している方が職場で抱える悩みとその対策
口コミをみると、車いすを使用されている方は様々な業界や業種でお仕事をしていらっしゃいます。しかし、職場で感じる悩みには共通することも多いようです。中でも目立った悩みは以下の通りです。
【車椅子を利用している方の職場での悩み】 ・社内の移動や動作に時間がかかる ・座り続けることによるで疲れやすさ ・周囲のサポートを要することがある ・自分のできる仕事で力を発揮したい |
ではそれぞれの悩みについて具体的なコメントをみながら、その対策についても寄せられたアドバイスを参考に紹介してきます。
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