てんかんを抱えながら仕事している方の中には、うまく付き合いながら理想の職場で働いている方もいらっしゃれば、悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

例えば、突然発作が出たらどうしよう、通院のために休みは取れるだろうか、対処法など周囲の方に伝えたほうが良いだろうか、といった疾患による特有の悩みを感じることはありませんか?

そんなときは、同じようにてんかんを抱えながら仕事をしている方々の声に耳を傾けてみませんか?今回のコラムでは280人のてんかんの方の体験談をもとに、

・どのようなことに悩み、どのように解決しているのか
・仕事探しはどのように行ったのか

といったアドバイスをご紹介していきます。
仕事との向き合い方や職場について悩むことや不安に感じることがある方は、ぜひ寄せられた声を、解決のヒントとして役立ていただけますと幸いです。

これから就職や転職を考えている方のお役に少しでも立てれば幸いです。

目次

  1. てんかんとは
  2. てんかんの特性による悩みとその対策
  3. てんかんの方が職場で抱える悩みとその対策
  4. 転職や就活ではてんかんをオープンにするかクローズにするか
  5. てんかんの方におすすめの企業・業界・職種
  6. 求人の見つけ方
  7. 企業情報の集め方
  8. 最後に

1.てんかんとは

てんかんは、突然意識を失って反応がなくなるなどの「てんかん発作」をくりかえし起こす病気ですが、その原因や症状は人により様々で、乳幼児から高齢者までどの年齢層でも発病する可能性があり、患者数も1000人に5人~8人(日本全体で60万~100万人)と、誰もがかかる可能性のあるありふれた病気のひとつです。

「てんかん発作」は、脳の一部の神経細胞が突然一時的に異常な電気活動(電気発射)を起こすことにより生じますが、脳のどの範囲で電気発射が起こるかにより様々な「発作症状」を示します。しかし症状は基本的に一過性で、てんかん発作終了後は元通りの状態に回復することが特徴です。

原因は様々で、脳腫瘍や頭部外傷後遺症などの明らかな原因がある場合は「症候性てんかん」、原因不明の場合は「特発性てんかん」と呼ばれます。 治療は適切な抗てんかん薬を服用することで、大部分の患者さんでは発作は抑制され通常の社会生活を支障なくおくれます。一方、抗てんかん薬では発作を抑えることができず、「難治性てんかん」として複数の抗てんかん薬の調整や外科治療などの専門的なてんかん治療を必要とする場合もあります。

てんかんをもつ人にとって、発作が起こっている時間は通常数秒から数分間にすぎないため、発作が起こっていないその他のほとんどの時間は普通の社会生活をおくることが可能です。従って、病気の特性を周囲の人がよく理解し、過剰に活動を制限せず能力を発揮する機会を摘み取ることのないよう配慮することも、てんかんをもつ人に対するケアを行う上で大切なポイントです。

またてんかんをもつ人は、小児では発達や就学、成人では就労や自動車運転、女性では妊娠と出産など、生活上のさまざまな問題に対する継続的なサポートを必要としています。

参考:厚生労働省「みんなのメンタルヘルス」

てんかんの方は治療を行い症状と付き合いながら過ごすこともでき、また発作があっても多くの方が普通に社会生活を送ることが可能とのことです。 しかし、突発的な発作や症状が出ないかといった心配や、できない仕事を避けることができるかなど、様々な不安を抱えていることと思います。 ここからは、それらの不安を内容別に取り上げながら、周囲の方がどのような工夫をしているかをみていきたいと思います。

2.てんかんの特性による悩みとその対策

てんかんをお持ちの方は生活や仕事をする上でどのような悩みを抱えているのでしょうか?
実際に寄せられたコメントから以下のような傾向がみられました。

【てんかんの特性によって生じる仕事上の悩み】
突然の発作に関する悩み
症状のコントロールに関する悩み

では突発的に起こる発作に対してどのような対策を行えば良いのでしょうか?その対策について体験談をヒントに考えて行きましょう。

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Written by

今井 靖之

findgood編集者、ライター。

大手電機メーカーで半導体電子部品のフィールドアプリケーションエンジニア、インターネットサービスプロバイダのプロモーションやマーケティングに従事。以後フリー。

身内に極めて珍しい指定難病者を抱える。

神奈川県川崎市在住。サブカルヲタク。「犬派?猫派?」と聞かれたらネコ派、猫同居中。