なぜ障害福祉分野の専門職に『エビデンスに基づいたストレッチング』が必要なのか?
「なんとなく伸ばす」から「確かな根拠」へ:リハビリテーションの進化
ストレッチングは、リハビリテーションやスポーツの現場で広く用いられる手技ですが、その処方の根拠まで十分に理解されないまま実践されることも少なくありません。しかし、障害を持つ方々の身体機能の維持・改善、疼痛緩和、QOL(Quality of Life:生活の質)向上を目指す上で、ストレッチングの効果を最大限に引き出すためには、その背景にある科学的根拠を理解することが不可欠です。
本書の「序」では、編者の一人である中村雅俊氏が、学生時代に抱いた「どのくらいの強さで伸ばせばよいのか」「何秒間、何セット行うのが効果的なのか」「この方法で本当に目的の筋が伸びているのか」といった疑問が、ストレッチング研究を続ける原点であったと述べています。この問いに対する「現時点での最善の答え」が、本書に凝縮されていると言えるでしょう。
理学療法士・作業療法士・柔道整復師に求められる最新知識
理学療法士や作業療法士は、障害を持つ方々が日常生活をより豊かに送れるよう、身体機能の回復や維持、ADL(Activities of Daily Living:日常生活動作)の改善を支援します。柔道整復師やスポーツトレーナーもまた、身体のケアや機能向上に携わる専門職です。これらの職種にとって、ストレッチングは重要な介入手段の一つであり、最新のエビデンスに基づく知識は、より安全で効果的なリハビリテーション計画や指導を提供するために不可欠です。
本書は、ストレッチングの「経験則」を「確かな科学」へと変え、現場での説得力を高めることを目指しています。これにより、専門職は自信を持ってストレッチングを処方・指導できるようになり、結果として利用者の身体機能向上や生活の質の向上に貢献できる可能性が高まります。
書籍の構成と内容:ストレッチングの疑問を解消し、実践力を高める
『エビデンスでひも解く ストレッチングのすすめかた』は、「エビデンス編」と「実践編」の二部構成で、ストレッチングに関する深い理解と具体的な実践方法を提供します。
Q&A形式で理解するストレッチングの種類と効果
「エビデンス編」では、最新の科学的根拠をQ&A形式で分かりやすく解説しています。例えば、「Q1 ストレッチングの種類について教えてください」では、スタティックストレッチング(静的ストレッチング)、ダイナミックストレッチング(動的ストレッチング)、バリスティックストレッチング、PNFストレッチング(固有受容器神経筋促通ストレッチング)といった主要な種類が解説されます。スタティックストレッチングは反動をつけずにゆっくりと筋肉を伸ばす方法で、主に柔軟性向上を目的とします。ダイナミックストレッチングは反動や勢いをつけて筋肉を動かしながら伸ばす方法で、ウォーミングアップなどに用いられます。バリスティックストレッチングはダイナミックストレッチングの一種で、さらに大きく反動をつけて行うものを指します。

他にも、「関節の柔軟性を増加させるためのスタティックストレッチングのエビデンス」や「ウォーミングアップにおけるスタティックストレッチングの位置づけ」、「ストレッチングの強さや時間」など、現場で直面する具体的な疑問に対し、研究に基づいた「最善の答え」が提示されています。また、「エビデンス小話」として、「Ib抑制(自原抑制)」や「stretch tolerance(ストレッチングに対する感覚)」といった専門用語の解説も含まれており、より深い理解を促します。
豊富な写真で学ぶ実践的なストレッチング手技:上肢・頸部・体幹・下肢
「実践編」では、関節の運動方向を基準に整理された実践的なストレッチング手技が、豊富な写真とともに紹介されています。上肢、頸部・体幹、下肢の各部位について、具体的な筋肉群ごとのストレッチング方法が詳細に解説されており、視覚的に理解しやすい構成です。

例えば、股関節や膝関節、足関節など、下肢の主要な関節とその周辺の筋肉群に対するストレッチングが網羅されています。これにより、「なぜ処方するのか」という根拠を理解した上で、明日からの臨床や指導にすぐに活かせる実践力が身につくことでしょう。

『エビデンスでひも解く ストレッチングのすすめかた』の編者と信頼の出版社
ストレッチング研究の第一人者による監修
本書の編集は、ストレッチング研究の第一人者として知られる中村雅俊氏(西九州大学リハビリテーション学部リハビリテーション学科理学療法学専攻・教授)と、三木貴弘氏(株式会社PREVENT Insight Lab・部長)が担当しています。長年の研究と実践に基づいた知見が結集されており、その内容は高い信頼性と専門性を有しています。
医学書院が届ける、医療・福祉分野の最新専門書
本書を発行したのは、1944年の創業以来、医学・医療の専門情報を提供し続けている株式会社医学書院です。治療年鑑『今日の治療指針』や看護学生向け教科書シリーズ『系統看護学講座』など、幅広い領域の専門書籍・雑誌を出版しており、医療専門職や学生から高い支持を得ています。信頼と実績のある出版社から刊行される本書は、その内容の質を保証するものと言えるでしょう。
障害を持つ方々のQOL向上に貢献するストレッチングの可能性
障害福祉分野の専門職にとって、ストレッチングは単なる身体運動ではなく、利用者の方々の生活の質を向上させるための重要なツールです。本書で得られるエビデンスに基づいた知識は、個々の利用者の状態に合わせた最適なストレッチングプログラムの構築に役立ち、より効果的なリハビリテーションへと繋がります。身体の柔軟性向上は、痛みの軽減、関節可動域の改善、転倒予防など、多くの恩恵をもたらす可能性があります。
この一冊が、障害福祉分野の専門職の皆様にとって、日々の業務における新たな気づきと、より質の高い支援を提供する一助となることを期待します。また、ストレッチング愛好者の方々にとっても、自身の健康増進や身体ケアに役立つ貴重な情報源となることでしょう。
詳細・本文サンプルは以下のリンクよりご確認いただけます。
書誌情報
| 書名 | エビデンスでひも解く ストレッチングのすすめかた |
|---|---|
| 編集 | 中村 雅俊(西九州大学リハビリテーション学部リハビリテーション学科理学療法学専攻・教授)/三木 貴弘(株式会社PREVENT Insight Lab・部長) |
| 発行月 | 2026年7月 |
| 判型 | B5 |
| 頁数 | 192 |
| 定価 | 4,950円 (本体4,500円+税) |
| ISBN | 978-4-260-06009-7 |
| 発行元 | 医学書院 |

