「ネクストFPアワード2026」とは?障害福祉に関わるFPの可能性
2026年7月30日、日本FP協会は、次世代を担うFP実務家に光を当てる「ネクストFPアワード2026」の初開催と受賞者15名の決定を発表しました。このアワードは、FP実務家の多様なキャリアパスやロールモデルを可視化し、FPが社会において価値ある職業として広く認知されることを目指しています。

今回の応募は、独立系FP、企業系FP、社会貢献、Wライセンス(複数の専門資格を持つこと)によるFP資格活用など、幅広い分野から42件に上りました。書類選考とFP実務家の執行役員による面接選考を経て、特別奨励賞3名と奨励賞12名が選出されています。
ファイナンシャル・プランナー(FP)とは、個人や家族の夢や目標を達成するために、家計の現状や将来を分析し、ライフプランを立て、金融、保険、不動産、税金、年金などの幅広い知識を基にアドバイスを行う専門家です。特に障害福祉の分野では、障がいのある方やその家族の家計管理、将来設計、社会保障制度の活用など、多岐にわたる支援が求められており、FPの専門知識が大いに役立つと考えられます。
障害福祉分野で活躍!注目の特別奨励賞受賞者
「ネクストFPアワード2026」の特別奨励賞には、3名のFPが選ばれました。その中でも、障害福祉分野で新たな実践モデルを築いている上田健介氏の活動は、特に注目を集めています。
障がいのある方の家族を支えるFPの新たな実践モデル
上田 健介 氏(CFP認定者)
上田氏は、障がいのある方の家族が、地域の専門家や団体から継続的なサポートを受けられる環境の構築を目指しています。家計や将来設計があらゆる課題の土台となると考え、幅広い視点を持つFPが中心となり、ライフプラン実現のための課題整理に取り組んでいます。必要に応じて専門職や地域の支援機関と連携し、それぞれの家族に合った支援が継続できる仕組みづくりに尽力されています。
地方におけるFPの職業実践と幅広い活動
馬渡 初代 氏(AFP認定者)
馬渡氏は、宅地建物取引士とファイナンシャル・プランナーのWライセンスを活かし、地方でFPが職業として成り立つ可能性を広げるため、工務店で実務に取り組んでいます。建築や不動産、法律、行政など各分野の専門家と連携しながら、見えない不安を解決できる課題へと整理し、実務に携わっています。
金融商品も保険も売らないFPとして活動
頼藤 太希 氏(CFP認定者)
頼藤氏は、金融商品も保険も売らないFPとして、講演、執筆、相談、メディア運営の4本柱で活動しています。教科書的ではない、お客様目線に立った実践的なアドバイスを重視し、年間100回超の講演や120冊超の書籍執筆、日経CNBCコメンテーターなど、多方面で活躍。月間400万PV超のメディア「Mocha」やYouTube「マネーアンドユーTV」なども運営し、多くの方に情報を届けることに重きを置いています。
社会貢献からWライセンスまで!奨励賞12名に見るFPの多様なキャリアパス
奨励賞には12名のFPが選出され、その活動は多岐にわたります。特に、障害福祉分野や社会貢献に深く関わるFPの活動は、今後のFPの可能性を示すものと言えるでしょう。
障害年金請求と暮らしのサポート
石井 要美 氏(CFP認定者)
石井氏は、公的年金制度である障害年金に特化した社会保険労務士として、障害年金請求手続きから受給決定後の生活設計まで助言を行っています。治療と就労の両立、家計、家族の将来不安をFPの視点で捉え、福祉・医療、他士業、他のFP等と連携しながら、その人らしい生き方の選択肢を広げる活動を大切にしています。
様々な世帯のライフプラン実現支援
石川 智 氏(AFP認定者)
石川氏は、2012年から障害者世帯のライフプラン相談に取り組み、生活困窮者世帯、ひきこもり世帯、ひとり親世帯のライフプラン実現のために、個別相談やセミナー講師などを行っています。マネタイズが難しいと言われる世帯に対してFPとして関わる方法を、実践を通じてビジネス化することを目指しています。
困難を希望に変え、一人ひとりの人生に寄り添うFP
稲垣 裕子 氏(CFP認定者)
稲垣氏は、最重度自閉症の娘の子育て経験を原点にFPとして独立しました。人生の転機や困難に直面した方々に寄り添い、一人ひとりの状況に合わせた相談や講演活動を行っています。金融知識を伝えるだけでなく、「困難があっても人生を楽しむことはできる」というメッセージを届け、人々の前向きな一歩を応援しています。
不安に寄り添う看護師×FP
金子 真弓 氏(AFP認定者)
金子氏は、訪問看護師として在宅医療に携わる中で、「いつまでも自分らしく過ごす」ことを叶えられない人々の課題を解決するため、FP資格を取得しました。社会保障制度の知識やライフプランの見直しを通じて、訪問看護利用者だけでなく、地域の医療従事者や市民向けにもセミナーを行い、安心して自分らしく過ごせるよう取り組んでいます。
福祉と経済をつなぐ親なきあとライフプラン支援
齋藤 真一 氏(CFP認定者)
齋藤氏は、仙台市から「親なきあと生活設計事業」を受託し、ひきこもり者や障がい者の家族を対象に「親なきあと」を見据えたライフプラン支援に取り組んでいます。ライフプランを「家族が将来を話し合うための支援ツール」として活用し、「親なきあと問題」や「8050問題」などの複合的な課題に対し、経済・福祉・法律・家族関係・地域支援など多面的な視点から、支援者や専門職をつなぐコーディネーターとしての役割を重視しています。
福祉の現場から広げる金融教育
藤具 圭介 氏(CFP認定者)
藤具氏は、障がい者支援施設や児童養護施設、こども食堂、NPOなどで、お金に関する講演やFP相談を無償で行っています。一人ひとりの環境や悩みに寄り添い、その場に合わせた内容を大切にしながら、必要な方へ必要な知識を届け、お金の不安を少しでも安心に変えられるよう、全国で活動を続けています。
その他の奨励賞受賞者
- 後藤 文恵 氏(CFP認定者):企業系と独立系両方の強みを活かし、地域の金融リテラシー向上に貢献。年間200件以上の相談対応や70本以上のセミナーを通じて全世代に金融教育を提供しています。
- 國枝 武靖 氏(AFP認定者):FP×行政書士×歯科医師のWライセンスを活かし、クリニック向けの補助金申請代行やドクター特化型のライフプラン作成、シニア層への相続・遺言相談などを展開しています。
- 高田 彩香 氏(CFP認定者):女性の人生設計を支える金融教育事業を展開。結婚・出産・育児・キャリア・起業など、女性が人生のさまざまな転機において、お金の不安に左右されずに自分らしい選択ができる社会を目指しています。
- 原 浩也 氏(CFP認定者):遺された想いに寄り添い、”備え”を伝える「デジタル終活」に取り組んでいます。故人のデジタルデータの整理から専門家への橋渡し役を務め、”備え”を広める活動にも力を入れています。
- 芳川 宏輔 氏(CFP認定者):米国式のゴールベース・プランニングを実践し、顧客の人生の目的を最優先にした資産設計や実行支援を行っています。「お金を理由に夢を諦めない社会」を目指し、30代・40代の子育て世代を中心にサポート。親子二代の法人組織として、世代を超えて数十年単位で寄り添う永続的な伴走体制を確立しています。
- 渡邉 享 氏(CFP認定者):FPを「人々の人生を支える社会インフラへ!」を掲げ、中小企業向けに企業型確定拠出年金の導入支援と金融経済教育を一体で提供。金融商品販売に依存しないビジネスモデルを構築し、他のFPへのノウハウ共有と育成を通じて、顧客本位のFP業務普及と社会全体の金融リテラシー向上に取り組んでいます。
FP資格を活かして障害福祉に貢献するメリットと今後の展望
今回の「ネクストFPアワード2026」の受賞者に見られるように、FP資格は単なる資産運用や家計管理の専門家にとどまらず、障害福祉分野を含む幅広い社会課題の解決に貢献できる可能性を秘めています。
FPが障害福祉に貢献する主なメリットとしては、以下のような点が挙げられます。
- ライフプランニング支援:障がいのある方やその家族の長期的な生活設計(教育資金、住宅資金、老後資金など)を具体的に支援できます。
- 社会保障制度の活用:障害年金、医療費助成、各種手当など、複雑な社会保障制度の情報を分かりやすく伝え、申請手続きのサポートを通じて、経済的な不安を軽減できます。
- 資産形成・管理のアドバイス:将来にわたる安定した生活のために、無理のない資産形成や管理の方法を提案できます。
- 他専門職との連携:弁護士、税理士、社会保険労務士、医療・福祉関係者などと連携し、多角的な視点から総合的な支援を提供できます。
日本FP協会は、今回の受賞者を通じて、FP実務家のキャリアパスやロールモデルを提示することで、FPが「価値ある職業」として定着することを目指しています。今後もFPの活動が、より多くの人々の生活を支え、特に障害福祉分野において、その専門性が社会に広く認められることが期待されます。
まとめ: 障害福祉分野のFPキャリアに関心のある方へ
「ネクストFPアワード2026」は、FPが多様な分野で活躍し、社会に貢献できる可能性を示しました。特に、障がいのある方やその家族の支援に特化したFPの活動は、障害福祉に関心のある読者にとって、新たなキャリアパスや社会貢献のあり方を考えるきっかけになるのではないでしょうか。
FP資格の取得や、その後のキャリア形成についてさらに詳しく知りたい方は、日本FP協会のウェブサイトをご覧ください。
