デフリンピック金メダリスト家族の物語がグランプリ受賞!『この子は、誰の言葉で生きていくのか』

「衛星放送協会クリエイターズ・グランプリ2026」において、デフリンピック陸上・短距離2冠の金メダリストである山田真樹選手夫妻と、きこえる娘さんを描いたドキュメンタリー番組『この子は、誰の言葉で生きていくのか』が初代グランプリに輝きました。この番組は、CS日テレジータスにて来年放送される予定です。

両親が赤ちゃんにキスをして愛情を表現している、幸せそうな家族のポートレートです。赤ちゃんは笑顔で、温かい絆が感じられます。

『この子は、誰の言葉で生きていくのか』とは?

このドキュメンタリーは、耳のきこえない両親のもとに生まれた、きこえる娘さんの成長を追うものです。デフリンピックで輝かしい成績を収めた山田真樹選手と妻の鮎美さんのコミュニケーションは手話が中心で、家庭内は静かな空間が広がっています。そんな中で、娘さんが今後どのような言葉を選び、どのような存在になっていくのか、という問いがテーマとなっています。

デフリンピックとは?
デフリンピック(Deaflympics)は、聴覚障害のあるアスリートを対象とした国際的な総合スポーツ大会です。「Deaf(聴覚障害)」と「Olympics(オリンピック)」を組み合わせた造語で、4年に一度開催されます。一般的なスポーツ大会とは異なり、スタートの合図に光を使用するなど、聴覚障害に配慮した独自のルールが設けられています。

番組では、日本人である両親が娘に日本語の発音を教えられるのかという不安や、イギリス人の英語話者である真樹選手の母も加わることで、複数の言語が交差する家族の姿が描かれます。娘が将来「通訳」となるのか、それとも「ただの子ども」として成長するのか。「ヤングケアラー」となる可能性も含め、まだ言葉を持たない1歳の娘さんの未来を家族と共に見つめる、普遍的な愛の物語が展開される予定です。

ヤングケアラーとは?
ヤングケアラーとは、本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている18歳未満の子どものことを指します。学業や友人との交流に影響が出ることがあり、社会的な支援が求められています。

「衛星放送協会クリエイターズ・グランプリ2026」初代グランプリ受賞の背景

『この子は、誰の言葉で生きていくのか』は、一般社団法人衛星放送協会が本年新設した企画応募型コンペティション「衛星放送協会クリエイターズ・グランプリ2026」で、応募総数88の企画の中から初代グランプリを受賞しました。

衛星放送協会が主催する「クリエイターズ・グランプリ2026」のロゴマークです。黒い文字と緑色の年号が特徴的なデザインです。

企画者の和田弘江氏(株式会社日テレ アックスオン)は、日本テレビ報道局でディレクターや記者として社会部の取材を重ねてきました。高校時代のオーストラリア留学中に自身が「deaf」とからかわれた経験が、聴覚障害者の世界への当事者意識の原点にあるといいます。デフリンピックの取材をきっかけに山田家と出会い、本企画を立ち上げました。

和田氏は受賞コメントで、「不寛容になってしまったこの社会だからこそ、山田選手ご一家が紡いでこられた物語を、特別なものとしてではなく、普遍的な愛の物語として、多くの方にご覧いただければと願っております」と語り、ドキュメンタリー制作への強い思いと、社会へのメッセージを表明しています。

きこえない両親ときこえる娘。多様な言語が交差する家族の物語

番組の核となるのは、耳のきこえない両親と、耳のきこえる娘さんの間で育まれる、言葉とコミュニケーションのあり方です。手話で会話する両親と、これから言葉を覚えていく娘さん、さらに英語を話す祖母も加わり、多様な言語が家族の中で交錯する様子が描かれます。

ハイチェアに座った赤ちゃんが、笑顔の男性の指にそっと触れている心温まる親子の触れ合いの瞬間です。食事中の日常の一コマが写し出されています。

娘さんが「通訳」としての役割を担うことになるのか、それとも自分の言葉で自由に生きていくのか、という問いは、現代社会における多様な家族の形や、障害を持つ親と子どもの関係性について深く考えさせるものです。このドキュメンタリーは、言葉が生まれる瞬間に立ち会う家族の姿を通して、言語の持つ意味や、家族の絆の普遍的な価値を問いかけることでしょう。

放送はいつ?CS日テレジータスでデフリンピック選手のドキュメンタリーを視聴しよう

この感動的なドキュメンタリー『この子は、誰の言葉で生きていくのか』は、CS放送チャンネル「日テレジータス」にて来年放送される予定です。

CS放送とは?
CS放送(Communication Satellite放送)とは、通信衛星を利用して番組を配信する有料の多チャンネル放送サービスです。専門性の高い番組や多様なジャンルのコンテンツが提供されており、特定のテーマに特化したチャンネルが多いのが特徴です。

デフリンピック金メダリストの家族の日常と、彼らが直面する言葉の問題、そして未来への希望を描くこの番組は、障害福祉への理解を深める上で貴重な機会となるでしょう。放送日時などの詳細は、今後CS日テレジータスの公式サイトなどで発表されるとみられます。

障害福祉の理解を深めるドキュメンタリー番組への期待

このドキュメンタリーは、聴覚障害のある人々の生活や文化、そして障害の有無にかかわらず育まれる家族の愛の形を、多くの人々に伝えることでしょう。社会における多様性への理解を促進し、インクルーシブ(包容的)な社会の実現に向けた一助となることが期待されます。

番組を通じて、視聴者が自身の「言葉」や「家族」について改めて考えるきっかけとなり、障害福祉分野への関心が高まることを願っています。

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Written by

菅間 大樹

findgood編集長、株式会社Mind One代表取締役
雑誌制作会社、広告代理店、障害者専門人材サービス会社を経て独立。
ライター・編集者としての活動と並行し、就労移行支援事業所の立ち上げに関わり、管理者も務める。職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修修了。
著書に「経営者・人事担当者のための障害者雇用をはじめる前に読む本」(Amazon Kindle「人事・労務管理」「社会学」部門1位獲得)がある。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0773TRZ77