ロングセラー絵本『なにをたべてきたの?』が点字つき触る絵本として登場!読書バリアフリー法に基づく新たな挑戦

1978年の発行以来、多くの人々に愛され続けてきた絵本『なにをたべてきたの?』が、2026年6月17日にバリアフリー版として新たに発売されます。この『てんじつき さわるえほん なにをたべてきたの?』は、目で見て、手で触って、耳で聞いて楽しめる、まさに「誰もが楽しめる読書」を実現する一冊です。

48年間愛される絵本がバリアフリー化!多様な読書体験を創出

『なにをたべてきたの?』は、シンプルな繰り返しの展開と想像力を掻き立てる余白、そして子どもたちが好きな果物を題材にした内容で、世代を超えて読み継がれてきました。今回、株式会社佼成出版社から発売されるバリアフリー版は、このロングセラー絵本に新たな価値を加えるものです。

この取り組みの背景には、2019年6月に施行された「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律(読書バリアフリー法)」があります。この法律は、障害の有無に関わらず、すべての人が読書による文字・活字文化の恩恵を受けられるようにすることを目的としています。本絵本は、この法律の理念に基づき、より多くの人々が読書を楽しめるように製作された「アクセシブルブック」の一例と言えるでしょう。

視覚障害のある子どもも楽しめる「触る絵本」の魅力と工夫

「点字つき触る絵本」とは、特殊な透明インクを使って、絵の上に点字と触図(触って認識できる図形)を立体的に印刷した絵本のことです。これにより、視覚に障害がある人も、絵や文字を「触って」読むことができます。

『てんじつき さわるえほん なにをたべてきたの?』には、様々な工夫が凝らされています。

点字・触図保護のため、専用スリーブケースに入れて販売

触れることで広がる想像の世界

この絵本の最大の特徴は、特殊な透明インクで印刷された触図です。登場する果物やブタの触り心地がそれぞれ異なるように作られており、触覚を通じて物語の世界をより豊かに感じることができます。例えば、ブタの肌の感触や、リンゴの丸み、メロンのゴツゴツとした表面など、指先で感じることで、想像力がきっと膨らむでしょう。

誰もが読みやすいデザインへの配慮

点字と併記されている文字は、大きく太く印字されています。これは、弱視の方や、点字を学ぶ途中の子どもたちにとっても読みやすくするための配慮です。また、絵の位置も一部変更されており、触図と文字が互いに邪魔をせず、より多くの人がスムーズに読書できるよう工夫されています。

中面開き 点字・触図印刷イメージ画像

中面開き画像

専門家と子どもたちの協力による品質向上

点字や触図の製作には、てんやく絵本ふれあい文庫の岩田美津子さんをはじめ、日本点字図書館、筑波大学附属視覚特別支援学校、横浜市立盲特別支援学校などの専門家や、実際に絵本を読む子どもたちが協力しています。これにより、実用性と楽しさを兼ね備えた、質の高い絵本が実現しました。

朗読で耳からも楽しめる

裏表紙の二次元コードからは、『おかあさんといっしょ』で歌のお姉さんを務めた神崎ゆう子さんの朗読を聞くことができます。目で見て、手で触って、耳で聞いて、という多感覚で楽しめることで、視覚障害の有無に関わらず、みんなで一緒に絵本の世界を共有できるでしょう。

読書バリアフリー法が推進する「誰もが楽しめる読書環境」

「読書バリアフリー法」は、視覚障害や発達障害、肢体不自由など様々な理由で通常の活字図書の利用が困難な人々が、読書を通じて情報や知識を得る機会を保障するための法律です。この法律により、点字図書やDAISY図書(デジタル録音図書)、拡大図書、そして今回のような触る絵本など、多様な形式の「アクセシブルブック」の制作・普及が推進されています。

アクセシブルブックとは、障害のある人が利用しやすいように配慮された図書の総称です。この『てんじつき さわるえほん なにをたべてきたの?』は、すべての子どもたちが等しく読書の喜びを享受できる社会を目指す、読書バリアフリー法の精神を体現する一冊と言えるでしょう。

多様な感覚で絵本を楽しめる工夫:作者と朗読者の紹介

この絵本の制作には、長年にわたり子どもたちの心に寄り添ってきた素晴らしい才能が集結しています。

  • 文:岸田 衿子(きしだ えりこ)
    詩人・童話作家として多くの作品を手がけ、『かえってきたきつね』で第21回サンケイ児童出版文化賞・大賞を受賞するなど、日本の児童文学界に大きな足跡を残しました。2011年に逝去されています。

  • 絵:長野 博一(ながの ひろかず)
    彫刻と洋画を修め、絵本作家として「くまたん」シリーズや「おじぞうさま」シリーズなど、数々の人気作品を生み出しました。2024年に逝去されています。

そして、朗読を担当するのは、元『おかあさんといっしょ』の歌のお姉さんとして親しまれた神崎 ゆう子さんです。その温かい声で、絵本の世界をさらに魅力的に彩ってくれることでしょう。

書籍情報と購入方法

『てんじつき さわるえほん なにをたべてきたの?』は、全国の書店およびインターネット書店で手に入れることができます。

  • 書名:『てんじつき さわるえほん なにをたべてきたの?』

  • 発売日:2026年6月17日

  • 販売場所:全国書店・インターネット書店

  • 定価:5,500円(税込)

  • 体裁:A4変形判/31ページ

  • ISBNコード:978-4-333-02951-8

  • URLhttps://books.kosei-shuppan.co.jp/book/b677791.html

この絵本は、視覚に障害がある子どもたちだけでなく、すべての子どもたちが多様な感覚を使って物語を楽しむことができる、まさに新時代の絵本と言えるでしょう。家族や友人、学校や図書館などで、ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

株式会社佼成出版社

Written by

菅間 大樹

findgood編集長、株式会社Mind One代表取締役
雑誌制作会社、広告代理店、障害者専門人材サービス会社を経て独立。
ライター・編集者としての活動と並行し、就労移行支援事業所の立ち上げに関わり、管理者も務める。職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修修了。
著書に「経営者・人事担当者のための障害者雇用をはじめる前に読む本」(Amazon Kindle「人事・労務管理」「社会学」部門1位獲得)がある。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0773TRZ77