この記事で分かること

  • 視覚障害者向け就労支援の基礎知識と主要な専門用語の解説
  • 認定NPO法人タートル主催シンポジウムの開催概要と見どころ
  • 「109人の就労事例集」に学ぶ視覚障害者の職種と働き方の実態
  • スクリーンリーダーや拡大読書器など支援機器の貸出・導入仕組み
  • 就労・復職を成功させるための4ステップと主要支援機関の比較

見えにくさや視覚障害を抱える働く方の悩みと現状

病気や事故などによる中途視覚障害をはじめ、視野狭窄や視力低下(ロービジョン)が生じた際、「これまでの仕事を続けられるのだろうか」「企業側はどのような環境整備を行えばよいのだろうか」という不安が生じることがあります。

現在では、ICT機器の発達や専門支援機関によるアドバイス、職場で活用できる各種制度の整備により、視覚障害を抱えながら多様な職種で活躍する事例が増加しています。適切な支援情報や事例にアクセスすることが、不安の解消とスムーズな就労・復職への第一歩となります。


視覚障害者の就労支援とは?基礎知識と専門用語の解説

視覚障害・ロービジョンとは?見えにくさの種類と働く上での工夫

視覚障害には、光をまったく感じない「全盲」だけでなく、メガネやコンタクトレンズで矯正しても十分な視点が得られない「ロービジョン(弱視)」が含まれます。ロービジョンには、視力低下のほか、視野が狭くなる「視野狭窄」、視野の中心が見えにくくなる「中心暗転」、夜間や暗い場所で見えにくくなる「夜盲」など多様な症状が存在します。

働く上では、文字の拡大、画面読み上げソフトウェアの利用、照明の調整など、個々の症状に合わせた環境調整を行うことで、事務職や専門職などの業務を遂行することが可能です。

合理的配慮と就労支援機関の役割

「合理的配慮」とは、障害者が職場で支障なく働けるよう、事業主が過重な負担にならない範囲で提供する個別の配慮や変更を指します。

自社のみで環境整備を進めるのが難しい場合、専門の「就労支援機関」やNPO法人が介入し、当事者と企業の間に立って業務切り出しの助言や機器導入サポートを行っています。


認定NPO法人タートルが主催する「視覚障害者就労シンポジウム」の概要

サイトワールド内で開催されるシンポジウムの開催日時・会場情報

2026年10月22日から24日までの3日間、視覚障害者向け総合イベント「サイトワールド」が開催されます。その最終日である10月24日に、認定NPO法人「視覚障害者の就労を支援する会(タートル)」による就労シンポジウムが実施されます。

項目詳細情報
イベント名視覚障害者の就労を支援する会タートル 就労シンポジウム
開催日時2026年10月24日(土曜日) 午前10時30分~午後0時30分
会場すみだ産業会館 サンライズホール 第1・第2会議室(錦糸町)
対象者仕事上の不安を抱える当事者、企業の採用・人事担当者、就労支援関係者
共催日本視覚障害者職能開発センター、視覚障害者就労生涯学習支援センター、東京視覚障害者生活支援センター、SPAN ほか

シンポジウムで発表される「109人の就労事例集」のポイント

タートルが独自にまとめた「109人の就労事例集」が紹介されます。実際に視覚障害を抱えながらどのような職種で働き、どのような工夫や機器を活用して雇用を継続・キャリアアップしているか、客観的かつ具体的な実例を把握できる内容となっています。

専門支援団体による日頃の取り組みとノウハウ

シンポジウムではタートルに加え、複数の専門団体が集結し、現場での就労支援ポイントを解説します。

  • 日本視覚障害者職能開発センター:職能訓練や職種開拓の実績を持つ専門機関。
  • 視覚障害者パソコンアシストネットワーク(SPAN):パソコン操作やICT利活用に関する支援を展開。
  • 地域生活支援センター等:生活面と就労面の一体的なアドバイスを提供。

働く環境を整える「支援機器」と職場での導入・貸出制度

スクリーンリーダーや拡大読書器とは?

視覚障害者がパソコンや書類を扱う際、以下の支援機器・ソフトウェアが不可欠となります。

  1. スクリーンリーダー(画面読み上げソフト) パソコンやスマートフォンの画面に表示されたテキスト情報を合成音声で読み上げるソフトウェアです。キーボード操作と組み合わせることで、メール作成やWeb検索、文書編集が行えます。
  2. 拡大読書器 印刷物や書類をカメラで読み取り、モニター上に拡大・高コントラスト表示する機器です。ロービジョンの方が手元資料を確認する際に活用されます。

勤務先を通じて申請可能な機器貸出・導入支援の仕組み

職場環境を整えるにあたり、機器の購入コストや選定が課題となるケースがあります。プレスリリースによると、勤務先を通じて申請できる拡大読書器やスクリーンリーダーの貸し出し制度など、就労環境の整備に向けた各種支援情報が提供されています。こうした支援枠組みを活用することで、企業側の初期費用負担を抑えつつ、円滑な合理的配慮の実施が可能となります。


視覚障害者が就労・復職を果たすための4ステップ

【Step 1】専門窓口・NPOへの初回相談・情報収集
   └─ 見えにくさに関する悩みや職場の現状を整理

【Step 2】就労事例や活用可能な機器の把握
   └─ 「就労事例集」やシンポジウムで類似ケースを収集

【Step 3】職場での環境調整・支援機器の申請・導入
   └─ 勤務先を通じた機器貸出制度や合理的配慮の協議

【Step 4】復職・定着支援とフォローアップ
   └─ 支援機関と連携した定期的な業務状況の確認

企業の人事担当者が知っておくべき障害者雇用のポイント

視覚障害者の雇用継続や採用においては、「全盲=作業ができない」という先入観を避け、適切なICT機器(スクリーンリーダー等)や業務環境を整えることが成功のカギとなります。

中途障害の場合、本人がこれまでに培った業務知識や経験は大きな資産です。視覚情報のサポート体制を構築することで、以前と同様の専門性を活かした成果が期待できます。早期に外部の専門支援機関(タートル等)へ相談し、事例を参照しながら環境整備を進めることが推奨されます。


Q&A

Q1:中途で視覚障害になった場合でも、現在の職場に復職することは可能ですか?

A1:可能です。 支援機関による職務分析や、スクリーンリーダー等の支援機器導入、勤務先を通じた貸出制度の活用によって、元の職場や別部署へ復職を果たした事例が多く存在します。

Q2:支援機器の導入にあたり、費用の助成や貸出制度はありますか?

A2:利用可能な制度があります。 勤務先を通じて申請できる拡大読書器やスクリーンリーダーの貸し出し制度や、障害者雇用納付金制度に基づく助成金などが用意されています。

Q3:視覚障害者の就労支援に関する相談はどこで行えますか?

A3:認定NPO法人タートルをはじめとする各種支援団体で相談を受け付けています。 メールや電話による相談窓口が設置されており、当事者だけでなく企業の人事担当者からの問い合わせにも対応しています。


主要な視覚障害者就労支援機関・制度の比較表

団体・機関名主な支援内容・特徴対象者問い合わせ・詳細
認定NPO法人 タートル就労・復職相談、交流会、就労事例集の提供、シンポジウム開催中途視覚障害者、ロービジョン者、企業担当者公式サイト:https://www.turtle.gr.jp/
日本視覚障害者職能開発センター職能訓練、就職・復職支援、企業向けアドバイス就職・復職を目指す視覚障害者新宿区四谷本塩町
視覚障害者パソコンアシストネットワーク(SPAN)PC・ICT技術の操作指導、就労におけるIT支援視覚障害を持つPC利用者、支援者サイトワールド共催等
東京視覚障害者生活支援センター生活訓練、就労への移行・定着支援視覚障害者全般地域生活・就労のトータルサポート

まとめ

視覚障害やロービジョンを抱えながら働くためには、適切な情報収集と支援機関・制度の活用が非常に重要です。認定NPO法人タートルなどが主催するシンポジウムや「109人の就労事例集」は、当事者のキャリア継続や企業の職場環境整備における具体的な指針となります。

支援機器の貸出制度や専門団体のノウハウを取り入れながら、自社や自身の状況に適した就労環境の構築を進めることが期待されます。

  • 本件に関する問い合わせ先:認定NPO法人 視覚障害者の就労を支援する会(タートル)事務局(E-mail:mail@turtle.gr.jp / 公式サイト:https://www.turtle.gr.jp/ )

Written by

菅間 大樹

findgood編集長、株式会社Mind One代表取締役
雑誌制作会社、広告代理店、障害者専門人材サービス会社を経て独立。
ライター・編集者としての活動と並行し、就労移行支援事業所の立ち上げに関わり、管理者も務める。職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修修了。
著書に「経営者・人事担当者のための障害者雇用をはじめる前に読む本」(Amazon Kindle「人事・労務管理」「社会学」部門1位獲得)がある。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0773TRZ77