この記事で分かること

  • 障害福祉における就労支援の基礎知識:就労継続支援A型・B型事業所の違いや専門用語のわかりやすい解説
  • 株式会社ジルベルトのビジョン:「障がい者を納税者に」という理念が持つ意義と取り組み
  • 「働きがいのある会社」認定の背景:障害当事者と職員の双方が成長できる組織づくりの工夫(ジルベルト手帳・つながる会議等)
  • 障害者雇用と福祉の展望:疑似社会としての事業所づくりと一般就労へのステップアップ支援

障害福祉や障害者雇用に関心をお持ちの皆様へ。近年、障がいのある方の就労支援は、単なる作業機会の提供にとどまらず、一人ひとりのやりがいや能力開発、持続可能なキャリア形成を支える方向へと変化しています。

本記事では、兵庫県神戸市で就労継続支援事業を展開する「株式会社ジルベルト」が、Great Place To Work® Institute Japanより「働きがいのある会社」として初認定された発表 を通して、同社の先進的な取り組みを解説します。


障害福祉における就労支援とは?就労継続支援A型・B型の違いと専門用語解説

障害福祉分野における就労支援には、障がいのある方が社会で自分らしく働くためのさまざまなサービスが存在します。まずは基礎知識として、主要な専門用語とその仕組みについて整理します。

【専門用語解説】就労継続支援A型事業所と就労継続支援B型事業所の概要

福祉サービスとして提供される「就労継続支援」には、主にA型とB型の2つの形態があります。

  • 就労継続支援A型(雇用型)
    • 特徴:事業所と利用者が雇用契約を結びます。
    • 対象:一定の作業能力があり、継続的な就労が可能な方。
    • 労働条件:都道府県の最低賃金が保証され、各種社会保険の適用対象となる場合が多い傾向にあります。
  • 就労継続支援B型(非雇用型)
    • 特徴:事業所と利用者が雇用契約を結ばない形態です。
    • 対象:体力面や体調面から雇用契約を結んで働くことが困難な方や、自分のペースで作業を行いたい方。
    • 成果報酬:作業に応じた「工賃」が支払われます。

このように、A型とB型では雇用契約の有無や働き方の柔軟性に違いがあり、利用される方の体調や目指すステップに応じて選択されます。

障害者雇用と就労支援事業所が果たす役割

企業における障害者雇用義務が拡大するなか、就労支援事業所は単に福祉的作業を行う場所にとどまらず、一般企業への就職(一般就労)を目指すためのトレーニングやステップアップの場としての役割を深めています。働くための専門技術やコミュニケーション能力を養い、就職後の定着まで見据えた一貫した支援が期待されています。


「障がい者を納税者に」を掲げる株式会社ジルベルトとは?ビジョンと事業概要

兵庫県神戸市須磨区に本社を置く株式会社ジルベルトは、2015年9月に設立された障害福祉サービス事業者です。

株式会社ジルベルトの基本情報と目指すビジョン「障がい者を納税者に」

  • 会社名:株式会社ジルベルト
  • 所在地:兵庫県神戸市須磨区北落合1丁目1-4 白川コーポレーションビル101号
  • 代表者:代表取締役 福田裕士
  • 主な事業内容:就労継続支援A型・B型事業所の運営、セミナー事業、障害者雇用相談援助助成金事業、福祉事業者向けコンサルティング等

同社は「障がい者を納税者に」というインパクトのあるビジョンを掲げています。これは、障がいのある方が支援を受けるだけの存在にとどまらず、自立して稼ぎ、収入を得て税金を納める「社会の一員」として自立・活躍できる状態を目指す考え方に基づいています。

また、同社では「Make Work Awesome!! ―仕事を最高にする!―」をミッションとし、「謙虚×素直×感謝=誠実な人の創造」を姿勢として大切にしているとされています。

就労継続支援から一般就労へのステップアップ支援実績

株式会社ジルベルトでは、従来の福祉の枠にとらわれない独自の取り組みを進めており、専門技術を必要とする仕事への挑戦や、成長段階に応じた育成・評価の仕組みを導入しています。その成果として、今期において10名以上の一般就労を実現していると発表されています。


「働きがいのある会社」に初認定!ジルベルトが実践する組織づくりの工夫

株式会社ジルベルトは、2026年8月31日付で Great Place To Work® Institute Japan(GPTW Japan)より「働きがいのある会社」として初認定を受けました。

GPTW(Great Place To Work®)認定と「働きがい」評価の背景

【専門用語解説:GPTW(Great Place To Work®)とは】 世界各国で「働きがいのある会社」を調査・分析し、一定基準を満たした企業を認定する専門機関です。従業員意識調査などを通じて、職場における「信頼」「誇り」「連帯感」などが総合的に評価されます。

福祉分野では、障がいのある利用者への支援品質だけでなく、日々向き合う職員自身の働きやすさや働きがいの確保も重要な課題とされています。ジルベルトでは、利用者と職員の双方が成長を実感できる組織づくりを推進してきた結果が認定に結びついたと考えられています。

独自ツール「ジルベルト手帳」による理念の浸透と成長の可視化

  • 「ジルベルト手帳」の活用 全社員に配布される独自の手帳で、Vision・Mission・Policyや成長ステップが明文化されています。1年かけて活用することで、理念を知るだけでなく日々の行動レベルへ落とし込み、社内の共通言語をつくる目的があります。
  • ミスマッチの防止と定期面談 入社時に将来のビジョンをすり合わせることで入社前後の期待値のズレを防ぐ工夫がなされています。また、3ヶ月に1回、この手帳をもとにした人事評価面談を行い、個人の成長を可視化してフィードバックしています。

「つながる会議」と定期1on1で育むコミュニケーションと安心感

  • 全拠点対面での「つながる会議」 週に1回、全拠点のメンバーが対面で集まる定例会を開催しています。単なる業務連絡ではなく、コミュニケーションを目的としたグループワークを通じ、互いの仕事観や価値観を共有する場として機能させています。
  • 上司との定期的な1on1 部署を問わず、上司と部下が定期的な個別面談(1on1)を実施しています。業務上の悩みや課題を早い段階で共有し、一人で抱え込ませない体制を整えています。

支援員のメンタルケアと家族まで大切にする独自の福利厚生・イベント

障害福祉の現場では支援員のメンタルヘルス保持も欠かせません。同社では多面的なケアやエンゲージメント向上の工夫を行っています。

  • 外部カウンセラーによるメンタルケア:社外の専門カウンセラーによる定期面談を導入し、支援員の精神的負担を軽減する仕組みを設けています。
  • 毎月の食事会・誕生日のお祝い:毎月全メンバーが集まる食事会を開催し、誕生日のメンバーをお祝いしています。
  • ご家族への感謝(お祝いの花の贈呈):全従業員・利用者本人に加え、その同居家族の誕生日にもお祝いの花を贈呈しています。日々の生活を支えるご家族へ感謝を届ける取り組みです。
  • 従業員主体のイベント企画:夏祭りや忘年会など、従業員自身が企画・運営するイベントを通じ、楽しみながらモチベーションを高める機会をつくっています。

代表取締役 福田裕士氏のコメント(概要) 「私たちの事業は障がいのある方々を社会に送り出すことです。私たちの会社こそが障がい当事者にとっての社会であり、私たちがいかにその『疑似社会』を希望の持てるものにしていくかが非常に大切な使命だと感じております。」


よくある質問(Q&A):障害福祉と働きがいのある職場について

障害福祉に関心を持つ読者の皆様から寄せられやすい疑問とその回答をまとめました。

Q1. 就労継続支援を利用する障がいのある方はどのような作業を行っていますか?

A. 事業所によって様々ですが、清掃作業や軽作業などの基本的な作業から、専門技術を要するPC作業やデザイン、自社商品の企画開発まで多岐にわたるケースがあります。株式会社ジルベルトのように、さまざまな職種への挑戦機会を提供している事業所も増えています。

Q2. 「働きがいのある会社」認定(GPTW)は福祉事業所にとってどのような意味がありますか?

A. 福祉事業所における「働きがい」の確立は、支援員のモチベーション向上や離職防止につながり、結果として利用者への支援の質向上という良い循環を生み出すと考えられます。福祉現場の職場環境に対する評価の基準として注目されています。

Q3. 障害福祉の現場で支援員の負担を減らすための工夫にはどのようなものがありますか?

A. 上司による定期的な1on1や、社外の外部カウンセラーによるメンタルケア制度の導入などが挙げられます。悩みや課題を一人で抱え込まず、チームや専門家に相談できる環境づくりが有効とされています。


まとめ:障害福祉の未来をひらく「働きがい」と「自立支援」の循環

本記事では、Great Place To Work® Japanより「働きがいのある会社」に初認定された株式会社ジルベルトの取り組みを通して、障害福祉における就労支援の最前線をご紹介しました。

「障がい者を納税者に」というビジョンのもとで展開される就労支援は、障がいのある方が「疑似社会」としての事業所で力を蓄え、一般就労へと羽ばたくための大切なステップとなっています。また、それを支える職員一人ひとりが成長や安心感を持ちながら働ける環境づくり(「ジルベルト手帳」や「つながる会議」、各種メンタルケア等)の重要性が示されています。

障がいのある方、福祉に従事する方、そして障害者雇用を検討する企業の三者が、共に成長できる「働きがいのある福祉」の広がりに今後も注目が集まります。


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Written by

菅間 大樹

findgood編集長、株式会社Mind One代表取締役
雑誌制作会社、広告代理店、障害者専門人材サービス会社を経て独立。
ライター・編集者としての活動と並行し、就労移行支援事業所の立ち上げに関わり、管理者も務める。職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修修了。
著書に「経営者・人事担当者のための障害者雇用をはじめる前に読む本」(Amazon Kindle「人事・労務管理」「社会学」部門1位獲得)がある。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0773TRZ77