障害のある従業員と家族の未来を支える「親なきあと研修」が企業向けに提供開始

一般社団法人あしたパートナーズは、障害のある従業員とそのご家族が直面する「親なきあと問題」に対し、企業が「気づき、つなぐ」ための研修プログラムの提供を開始しました。

この研修は、障害者雇用に取り組む企業が、従業員とその家族の将来の不安に寄り添い、適切な支援へとつなげるための知識と視点を提供することを目的としています。

暮らしを守る。障害のある方と、そのご家族を、社会とともに支える。

「親なきあと問題」とは?障害のある方の「働く」と「暮らす」のギャップ

「親なきあと問題」とは、親が亡くなった後のことだけを指すものではありません。親が高齢になったり、病気になったりして、これまでの支援が難しくなったときから、本人やご家族の暮らしにさまざまな変化が生じる可能性を指します。

企業で働く障害のある方の中には、通勤や業務を自立してこなしているように見える方も少なくありません。しかし、その暮らしに目を向けると、食事や家事、服薬、金銭管理、契約手続きなどを親が支えている場合があります。親と別居している場合でも、重要な意思決定や緊急時の対応を親が担っているケースも存在します。

つまり、「働けている」ことと「親がいなくても暮らせる」ことは、必ずしも同じではないと言えるでしょう。家庭で生じた変化が、遅刻や欠勤、生活リズムの乱れ、金銭面や精神面での不調など、職場で表面化する可能性も考えられます。

一般社団法人あしたパートナーズは、このような背景から、障害者雇用に取り組む企業が「親なきあと問題」を知ることの重要性を提唱し、これまでの相談事例や知見をもとに本研修を提供するに至りました。

企業が「気づき」「つなぐ」ための研修プログラム

本研修は、企業の目的や対象者に合わせて、以下の2つのプログラムが用意されています。

親なきあと基礎研修:障害のある方の将来の課題を理解する第一歩

この研修は、障害のある方とそのご家族が抱える将来の不安や課題を「暮らし」と「相続」の両面から学び、「親なきあと問題」の全体像を把握することを目的としています。

金融機関、保険会社、不動産会社など、障害のある方とそのご家族と接点を持つ企業だけでなく、従業員に向けて親なきあと問題について学ぶ機会を設けたい企業にも適しています。

  • 主な研修内容

    • 親なきあと問題の定義

    • 「暮らし」と「相続」から考える親なきあと問題

    • 障害のある方と、そのご家族が抱える将来の不安や課題

    • 親なきあとに向けて、ご家族が考えておきたいこと

  • 研修時間: 90分×1回

  • 研修料金: 100,000円(税別)〜+講師交通費等

障害者雇用における親なきあと対応実践研修:より実践的な支援へ

この実践研修は、障害者雇用を行う企業の人事・障害者雇用担当者、管理職、現場責任者など、障害のある従業員と関わる方を対象としています。

企業が家族の代わりとなって従業員の暮らしに関する問題をすべて解決するのではなく、日々の関わりの中で「何か暮らしに変化が起きているのではないか」と気づき、必要に応じて支援者や専門家につなげるための考え方を身につけることを目的としています。

  • 講義①|親なきあと問題の全体像と相談事例

    • 「暮らし」と「相続」から考える親なきあと問題

    • 実際の相談事例から考える、本人・ご家族の将来の不安や課題

    • 暮らしの変化と、働く環境との関わり

  • 講義②|障害福祉制度の理解を深めてつなぐ連携の視点

    • 障害のある方の暮らしを支える福祉制度

    • 支援者・専門家それぞれの役割

    • 必要な支援につなぐための考え方

研修終了後には、研修内容を職場で活用するための「親なきあと問題 対応マニュアル」がPDF形式で提供されます。

  • 研修時間: 120分×2回

  • 研修料金: 300,000円(税別)〜+講師交通費等

なぜ企業が「親なきあと問題」を知るべきなのか?持続可能な障害者雇用への視点

親なきあと問題は、本来、ご家族だけで抱えるものではないとされています。しかし、企業が従業員やそのご家族の暮らしをすべて支えることも現実的ではありません。

だからこそ、企業に求められるのは「すべてを解決すること」ではなく、日々接している従業員の変化に気づき、本人の意思を尊重しながら、必要な支援へつながるきっかけをつくることではないでしょうか。

職場で起きている変化の原因が、必ずしも職場の中にあるとは限りません。親の高齢化や病気、家族関係、住まい、金銭管理など、本人を取り巻く「暮らし」の変化を知ることは、障害のある従業員が働き続けることを考えるうえでも、非常に大切な視点となります。

一般社団法人あしたパートナーズは、これまでの相談や、企業・障害福祉事業者・支援者・専門家との連携を通じて得てきた知見を、企業の皆さまと共有していく方針です。本研修が、障害のある方とご家族の暮らしを、家族だけでなく社会とともに支えるための一つのきっかけとなることが期待されます。

一般社団法人あしたパートナーズについて

一般社団法人あしたパートナーズは、障害のある方とそのご家族の「親なきあと問題」に関する相談支援や情報提供を行っています。

研修の目的や参加対象者に応じて、内容の追加・変更についても相談が可能です。研修実施前には事前打ち合わせが行われ、研修内容、講師、開催日時等が確認された上で実施されます。

Written by

菅間 大樹

findgood編集長、株式会社Mind One代表取締役
雑誌制作会社、広告代理店、障害者専門人材サービス会社を経て独立。
ライター・編集者としての活動と並行し、就労移行支援事業所の立ち上げに関わり、管理者も務める。職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修修了。
著書に「経営者・人事担当者のための障害者雇用をはじめる前に読む本」(Amazon Kindle「人事・労務管理」「社会学」部門1位獲得)がある。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0773TRZ77