難聴を公表する気象予報士 舩橋沙貴さんが「きこえのパートナー」に就任

補聴器専門店ブルームを運営するブルームヒアリング株式会社は、気象予報士の舩橋沙貴さんを「きこえのパートナー」として迎え入れたことを発表しました。

舩橋さんは、テレビ朝日「グッド!モーニング」に出演する気象予報士として知られる一方、自身が難聴当事者であり、補聴器を装用していることを公表しています。SNSでは気象情報だけでなく、自身の「きこえ」や補聴器のある生活についても積極的に発信を続けています。

「きこえのパートナー」とは、きこえに悩む人に寄り添い、共に歩みながら、難聴や補聴器への理解を広げていくパートナーシップの名称です。今後、舩橋さんはブルームのWebサイトやSNS、動画などに登場し、難聴や補聴器に関する情報を、当事者としての経験を交えながら発信していく予定です。

日本の補聴器利用の現状と社会の「きこえ」に対する理解の課題

日本では、自己申告による難聴者のうち、補聴器を所有している人の割合が15.6%にとどまっています。これは欧米諸国における約40~50%と比較すると、非常に低い数字です。(出典:Anovum –JapanTrak2025)

補聴器を必要としている方の中には、補聴器に関する十分な情報を得られていないケースや、補聴器の見た目、年齢に対するイメージから使用をためらう人も少なくありません。ブルームは、きこえに不安を感じる人が自分に必要な情報を得て、安心して相談できる機会を増やすためには、まず難聴や補聴器について広く正しく知ってもらうことが重要だと考えています。

また、難聴や補聴器への理解は、当事者だけでなく、家族や友人、職場など周囲の人々にも求められます。周囲の理解が深まることで、コミュニケーション上の工夫や必要な配慮が生まれやすくなり、誰もがより暮らしやすい環境へとつながる一歩となるでしょう。

舩橋さんが難聴当事者として等身大の発信を続ける姿勢と、「すべての方に素晴らしいきこえを届けたい」というブルームの理念が合致し、「きこえのパートナー」就任が実現しました。

舩橋沙貴さんが語る「きこえのパートナー」としての想い

舩橋沙貴さんは、「きこえのパートナー」就任にあたり、自身の難聴経験が誰かの役に立てばという思いから、耳に関する発信を始めたとコメントしています。そして、この活動を通じて縁がつながり、今回のパートナーシップに至ったことへの感謝を表明しました。

「耳が聞こえにくい」という状況は、見た目では気づかれにくく、初対面でコミュニケーションをとる際に「もしかして、きこえに困りがあるのかな?」という発想にはなりにくいのが現状です。舩橋さんは、難聴や補聴器について発信を続けることで、人々が初対面の相手と接する際に「もしかして、耳が聞こえにくいのかも?」という視点を持ったり、「こうしたら助かるかな?」と、ちょっとした気遣いを自然にできるようになることを願っています。そのような社会になれば、世界は今よりもずっと優しくなるだろうと語っており、「きこえのパートナー」としてそのきっかけを作っていきたいと意欲を見せています。

舩橋沙貴さんのプロフィール

1997年北海道出身の舩橋沙貴さんは、株式会社ウェザーマップ所属の気象予報士であり、防災士でもあります。6歳の時に難聴となり、現在も補聴器を装用して生活しています。北海道教育大学を卒業後、中学校の理科教諭として勤務。教員時代に生徒に気象を教えるための勉強を始めたことをきっかけに気象予報士を志し、資格を取得しました。現在はテレビ朝日「グッド!モーニング」内の気象コーナーに出演するほか、講演会やSNSでの情報発信など、多岐にわたる活動を行っています。

ブルームヒアリング株式会社とは

ブルームヒアリング株式会社は、補聴器専門店ブルームを運営する企業であり、WS Audiology(WSA)グループの一員です。WSAはデンマークに本社を置き、WIDEX(ワイデックス)やSignia(シグニア)といった世界トップブランドの補聴器を有する、世界有数の聴覚ケアグループです。ブルームはWSAの小売ブランドとして、「Wonderful Sound for All」(すべての方に素晴らしいきこえを届ける)という理念を追求し続けています。同社は1956年に創業した日本補聴器株式会社(ワイデックス社の前身)の小売部門をルーツとしています。

ブルームヒアリングのロゴ

ブルームヒアリング株式会社の詳細については、以下の公式サイトをご覧ください。

難聴や補聴器に関するQ&A

Q1: 難聴はどのように気づくことが多いですか?

A1: 難聴の気づき方は人それぞれですが、テレビの音量が大きくなったと言われる、会話中に聞き返すことが増える、騒がしい場所での会話が困難になる、電話の声が聞き取りにくい、といった日常的な状況で自覚することが多いとされています。早期発見のためには、少しでも「きこえ」に不安を感じたら、専門機関への相談が推奨されます。

Q2: 補聴器はどのような種類がありますか?

A2: 補聴器には、耳にかけるタイプ(耳かけ型)、耳の穴に入れるタイプ(耳あな型)、メガネと一体になったタイプ(骨導型)など、様々な種類があります。最近では、小型で目立ちにくいデザインや、スマートフォンと連携して音量調整やプログラム変更ができる高機能なものも登場しています。個人の難聴の程度やライフスタイルに合わせて最適なタイプを選ぶことが大切です。

Q3: 補聴器の購入には公的な支援がありますか?

A3: 補聴器の購入には、身体障害者手帳の交付を受けている場合、補装具費支給制度の対象となることがあります。また、自治体によっては独自の助成制度を設けている場合もありますので、お住まいの市区町村の窓口や、地域の福祉事務所、補聴器販売店などで相談してみることをお勧めします。制度を利用することで、経済的な負担を軽減できる可能性があります。

Q4: 周囲の人が難聴の人とコミュニケーションをとる上で大切なことは何ですか?

A4: 難聴の人とのコミュニケーションでは、いくつかの配慮が有効です。まず、話しかける際は相手の目を見て、口の動きが読み取りやすいようにゆっくりはっきりと話すことが重要です。また、騒がしい場所を避け、静かな環境を選ぶ、筆談やスマートフォンの文字入力機能を活用する、といった工夫も役立ちます。相手の「きこえ」の状態を理解し、お互いに快適なコミュニケーションを築く意識が大切です。

まとめ: 「きこえのバリアフリー」社会への一歩

気象予報士の舩橋沙貴さんが「きこえのパートナー」として活動を開始したことは、難聴や補聴器に対する社会の理解を深める上で大きな意味を持ちます。日本における補聴器利用率の低さや、難聴に対する情報不足といった現状がある中で、当事者としてのリアルな声が発信されることで、多くの人が「きこえ」の問題を身近なものとして捉えるきっかけとなるでしょう。

舩橋さんとブルームヒアリング株式会社の活動は、難聴や補聴器を特別なものとして遠ざけるのではなく、誰もが身近なテーマとして知り、話し合える社会を目指しています。このような取り組みが、より多くの人々が「きこえ」に関するバリアフリー社会へと意識を向ける一歩となり、誰もが安心してコミュニケーションできる優しい社会の実現につながることが期待されます。

「きこえのパートナー」舩橋沙貴さんの活動詳細は、以下の特設ページで確認できます。

Written by

菅間 大樹

findgood編集長、株式会社Mind One代表取締役
雑誌制作会社、広告代理店、障害者専門人材サービス会社を経て独立。
ライター・編集者としての活動と並行し、就労移行支援事業所の立ち上げに関わり、管理者も務める。職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修修了。
著書に「経営者・人事担当者のための障害者雇用をはじめる前に読む本」(Amazon Kindle「人事・労務管理」「社会学」部門1位獲得)がある。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0773TRZ77