2026年7月法定雇用率2.7%引き上げ、約4割の企業担当者が「知らない」と回答

2026年7月に法定雇用率が2.7%に引き上げられるという重要な改正を前に、障害者雇用ゼロの企業に勤務する人事担当者の約4割が「知らない」と回答していることが、株式会社スタートラインが実施した「障害者雇用の開始に関する実態調査」で明らかになりました。

この調査は、法定雇用率の適用対象でありながら現在「障害者雇用0人」の企業に勤務する人事担当者100名を対象に行われました。改正まで残り4カ月となる中で、多くの企業で具体的なアクションが遅れている実態が浮き彫りになっています。

約4割が制度改正を「把握していない」という衝撃

「2026年7月から法定雇用率が2.7%に引き上げられることを知っていますか。」という問いに対し、約4割の担当者が制度改正を「把握していない」と回答しました。これは、重要な制度情報が十分に周知されていない現状を示唆しています。

法定雇用率引き上げの認知度

担当者の半数が「雇用を開始したい」と意欲、しかし組織の実行力に課題

担当者個人としては、約半数が「障害者雇用を開始したい」という前向きな意欲を持っていることが判明しました。現場には取り組みたいという姿勢があるものの、組織として実行フェーズに進めていない企業が多い実態がうかがえます。

障害者雇用開始意欲

また、障害者雇用を実現するために具体的な行動(検討や準備など)を起こしたことがあるかという問いには、52%が「ある」と回答。情報収集などの行動は始めているものの、次のステップに進めていないケースが多いことが示されています。

障害者雇用に向けた行動経験

66%の企業が「採用予定なし」と回答、具体的なアクションの遅れが浮き彫りに

「2026年7月の法定雇用率引き上げに向けて障害者雇用を開始する予定はありますか。」という問いに対しては、「開始したいが、具体的な予定は立っていない」が30%、「直近の開始は難しいと思う」が26%、「開始する予定はない」が10%という結果でした。これらを合わせると、全体の66%が“採用の予定はなし”という状況であり、法定雇用率引き上げへの対応が遅れていることが明らかになりました。

法定雇用率引き上げに向けた採用予定

障害者雇用を推進するために必要な3つの視点

株式会社スタートラインの障害者雇用エバンジェリストである吉田 瑛史氏は、今回の調査結果についてコメントを寄せています。

特に危惧しているのは、法定雇用率2.7%への引き上げを約4割の担当者がまだ「知らない」と回答している点です。情報が届いていなければ、現場は準備不足のまま急な対応を迫られるリスクがあると考えられます。

また、66%もの企業が「採用予定なし」と回答した背景には、担当者の方々の「中途半端な受け入れはできない」という強い責任感が隠れていると分析しています。この前向きな想いを組織の実行力につなげるためには、以下の3点が不可欠であると提言しています。

  • 制度情報の共有: まずは「知らない」を解消し、準備の必要性を社内の共通認識にする
  • 職域の整理: 任せる業務を明確にし、受け入れ部署が抱える心理的ハードルを軽減する
  • 定着支援の仕組み化: 入社後のサポートを個人に依存せず、組織のシステムとして整える

法定雇用率の引き上げは大きな変化ですが、多様な人材が活躍できる組織づくりのチャンスでもあります。企業が一歩踏み出す際の「まず相談したい相手」として、支援を続けることの重要性が示されています。

障害者雇用に関する過去の調査

調査概要

  • 調査対象: 法定雇用率の対象企業(従業員40名以上)で、現在障害者を1人も雇用していない企業の経営者・人事責任者100名
  • 調査方法: IDEATECHが提供するリサーチデータマーケティング「リサピー®︎」の企画によるインターネット調査
  • 調査期間: 2026年2月24日〜同年2月25日

株式会社スタートラインについて

株式会社スタートラインは、「自分をおもいやり、人をおもいやり、その先をおもいやる。」を企業理念に掲げ、障害者雇用支援を展開しています。ABA(応用行動分析)やCBS(文脈的行動科学)に基づいた専門的な支援を提供し、障害者の「採用」と「定着」に重点を置いています。

サポート付きサテライトオフィス「INCLU」をはじめ、屋内農園型障害者雇用支援サービス「IBUKI」、ロースタリー型障害者雇用支援サービス「BYSN」などを運営。総合コンサルティングからカスタマイズ研修、在宅雇用支援まで、多岐にわたるサービスメニューで、多様な人々の可能性を拡張し、「誰もが自分らしく生きる社会」の実現を目指しています。

株式会社スタートラインの事業サイクル

詳細については、株式会社スタートラインの公式サイトをご覧ください。

Written by

菅間 大樹

findgood編集長、株式会社Mind One代表取締役
雑誌制作会社、広告代理店、障害者専門人材サービス会社を経て独立。
ライター・編集者としての活動と並行し、就労移行支援事業所の立ち上げに関わり、管理者も務める。職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修修了。
著書に「経営者・人事担当者のための障害者雇用をはじめる前に読む本」(Amazon Kindle「人事・労務管理」「社会学」部門1位獲得)がある。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0773TRZ77