鍼灸師であり2児の母でもある著者が、自身の経験を基に執筆した『こころもからだもととのえる繊細っ子のための親子マッサージ』がハート出版から刊行されました。繊細な子どもや発達障害、グレーゾーンの子どもを持つ親御さんにとって待望の一冊となっています。
中国の健康法「推拿(すいな)」を子ども向けにアレンジ
本書の特徴は、中国の伝統的な健康法である「推拿(すいな)」を子ども向けにアレンジした「小児推拿」を基にしていることです。小児推拿は、唐の時代から現代まで親しまれてきた手法で、子どもの病気予防や快癒に効果があるとされています。
著者は、発達特性のある子どもがイライラしがちな理由の一つに、体の不快な症状があることを指摘しています。小児推拿によるマッサージは、そうした症状を和らげ、子どものイライラを軽減する効果があるそうです。
また、マッサージは単なる身体的なケアにとどまりません。マッサージをしながら子どもの話を聞くことで、親子のコミュニケーションを深める機会にもなります。「今日あったこと」「悲しかったこと」「我慢して言えなかったこと」など、子どもの気持ちを引き出すきっかけになるのです。
本書は、発達特性のある子どもの親御さんはもちろん、繊細な子どもを持つ親御さん、子どもとの信頼関係を築きたい親御さん、子どもの急な体調不良に悩む親御さんなど、幅広い読者層に向けて書かれています。すべての子どもたちの幸せな成長を願う著者の思いが詰まった一冊といえるでしょう。
推薦のことば(伊藤剛 北里大学客員教授)
この本は単なる小児推拿(すいな)の解説本ではなく、子どもに起こりやすい発熱、風邪、腹痛、嘔気 、咳など、日常的によく遭遇する症状に対する細かい治療手技が、かわいらしいイラストとともに詳細に掲載されています。また、母親として、そして治療者として息子さんとともに歩んできた稲葉さんの、発達障害の治療体験やアドバイスが随所に書かれており、同じような困りごとを抱えているお母さんやお父さんにとって本当に役立つ本になっていると思います。
現在、子どもの発達障害に対する有効な西洋医学的治療書はほとんどありません。また漢方薬は別として、東洋医学においても、じっとしているのが難しく、不安がりやすい発達障害の子には鍼や灸は実施しにくいのが実状です。その点、小児推拿は親子のスキンシップで絆を深め合いながら、不調をすぐに治療できるという点でも、素晴らしい治療手技だと思います。原稿を初めて見せていただいた瞬間に、この本こそ繊細な子どもを育てている皆様が待ち望んでいた書であることを確信し、推薦する次第です。
伊藤 剛
北里大学客員教授 北里研究所病院漢方鍼灸治療センター(元 北里大学東洋医学総合研究所 漢方鍼灸治療センター副センター長)
著者プロフィール
稲葉貞子 Shoko Inaba 安泰漢方鍼灸院 院長
中国で中医学の医師を務めた後、来日して日本での鍼灸師資格を取得。研鑽を続け、東京都葛飾区にて開業。応急処置に留まらない本格的な施術、懇切丁寧な生活改善指導とその明るい人柄で、口コミにより人気を博している。
国際鍼灸専門学校卒業、北里大学東洋医学総合研究所研修生課程修了。
中国国家資格:中国中医師
日本国家資格:鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師・登録販売者
安泰漢方鍼灸院
【書籍情報】
書名:こころもからだもととのえる繊細っ子のための親子マッサージ
著者:稲葉貞子
仕様:A5判並製 144ページ
ISBN:978-4-8024-0179-1
発売:2024.09.20
本体:1400円(税別)
発行:ハート出版