Last Updated on 2025年6月18日 by 菅間 大樹
2025年6月17日、一般社団法人日本障害者雇用促進事業者協会(以下、促進協)は、東京駅近くのTKPカンファレンスセンターにて「障害者支援サービス適格事業者認定制度」の創設に関する記者会見を開催しました。本制度は、障害者雇用支援サービスを提供する民間事業者のコンプライアンス遵守体制を自主点検により確認し、認定を行う新たな取り組みです。
制度創設の背景と目的
促進協は、障害者雇用の未来を創造することを目的に、サテライトオフィスや屋内農園などのサービスを提供してきた6社によって2024年10月に設立されました。(西村賢治理事長※株式会社スタートライン)https://jeap.or.jp/
近年、障害者の法定雇用率が段階的に引き上げられる中、障害者雇用支援サービスへの需要が高まり、業界の健全な発展と信頼性向上が急務となっています。
このような背景から、促進協は「障害者支援サービス適格事業者認定制度」を創設。加盟企業が自主点検を行い、認定審査委員会による審査を経て、適格と認められた企業には「認定証」が発行されます。
認定制度の概要
認定制度の主な目的として、障害者支援サービス事業の社会的信用の向上、そして健全な運営と発展を図ることが発表されました。これは、昨今の報道にある「障害者雇用代行ビジネス」の自浄作用としての役割と考えられます。一部の障害者雇用代行事業者による、障害雇用促進法の趣旨から疑義を抱かざるを得ない事業展開は、国会で付帯決議されるなど、社会問題化しています。この認定制度は、そうした「悪しき雇用代行事業者」とは一線を画したもので、障害者支援サービス事業の社会的信用の向上、業界の健全化、障害者雇用の質の充実、発展に大きく寄与することが期待されます。
- 点検項目数:107項目に及ぶ詳細なチェックリスト
- 審査開始から認定までの期間:約3か月
- 認定の有効期間:3年間
- 審査料:一部費用が必要
また、この制度は、企業のブランディングや社会的信用の向上に寄与することが期待されており、認定証の取得がステータスとなる可能性もあります。
今後の課題と展望
現在、促進協の正会員は16社、賛助会員は2社にとどまっており、今後の課題としては正会員の拡大が挙げられます。また、制度の継続的な運用に向けては、監査体制の維持やガイドラインの運営コストなども重要な検討事項となりそうです。
まとめ
「障害者支援サービス適格事業者認定制度」は、障害者雇用支援業界の透明性と信頼性を高める画期的な取り組みといえます。障害者雇用支援サービスを提供する民間事業者が自浄作用を働かせる制度を設立することは大変評価できるとともに、実際に社会的責任を果たす一助として機能するかどうか、今後の運用や展開に注目が集まります。また、認定取得が企業のブランド価値向上につながることを期待し、制度の普及と発展に期待していきたいところです。
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