【内容情報】(出版社より)

わたしたちの人生は、生物の進化史に人類史を重ねている。初期人類の原人は哺乳類の進化の頂点にあり、自己像を獲得していたので、あらかじめ必要な石器をイメージ(心象)して握斧などの道具をつくることができた。また、物から離れた表像が声にくっついて言語がうまれ、心象の形成によって話言葉を完成させている。旧人(ネアンデルタール人)は埋葬遺跡などから死の認識をもっていたことが分かっている。

このことは、自分の身体から遊魂離脱し、観念的な第三者の位置から自己像を客体視する意識の位相を持っていたことを意味している。それは、原人の像の表出による感性的な了解作用とは位相を異にする、推論形式(思考)をもつ悟性的な了解作用である。

さらに、新人はわれわれという立場から考えることができた。新人は無数の他者の見方や考え方を統合し、悟性的な了解作用とは異なる位相にある理性的な了解作用を獲得したのである。そして、社会集団の掟や秩序を踏まえた理性の働きによって、統制のとれた集団的行動を行ったのである。ネアンデルタール人が血縁家族の単位で暮らしていたのに対して、新人は社会を形成し、集団の社会的な力によって石器や骨角器などの量産や食糧等の分業生産、他の集団との交易等を飛躍的に発展させた。

わたしたちは出生後、原人から旧人そして新人へ至る人類の進化史を成長過程で反復する。したがって、わたしたちの心の成長は、子供期の感性的了解作用の形成に始まり、若者期の悟性的了解作用への相転移を経て、大人期の理性的了解作用の獲得へ至る道筋である。そして、本書が取り上げる発達障害とは、子供の表出像の発達過程における意識の3領域(知覚的関係作用、感性的了解作用、統合作用)の異常ということができる。

  • 発売日 : 2021/4/23
  • オンデマンド (ペーパーバック) : 168ページ
  • 出版社 : NextPublishing Authors Press
  • 言語 : 日本語

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Written by

今井 靖之

findgood編集者、ライター。

大手電機メーカーで半導体電子部品のフィールドアプリケーションエンジニア、インターネットサービスプロバイダのプロモーションやマーケティングに従事。以後フリー。

身内に極めて珍しい指定難病者を抱える。

神奈川県川崎市在住。サブカルヲタク。「犬派?猫派?」と聞かれたらネコ派、猫同居中。