トゥレット症の理解を深める児童書『ぼくのいうことを、きかないぼく』が伝える友情と共感

2026年5月13日、株式会社ポプラ社より、児童書『ぼくのいうことを、きかないぼく』(作/柴野理奈子・絵/中田いくみ)が発売されます。この作品は、トゥレット症という神経発達症に悩む小学6年生の主人公・駿と、彼を理解しようと歩み寄る幼なじみ・遥斗の心の交流を描いた物語です。障害福祉に関心のある方々にとって、トゥレット症への理解を深め、多様な社会における友情や共感の重要性を再認識するきっかけとなるでしょう。

トゥレット症とは?児童書が伝える「ぼくのいうことを、きかないぼく」の世界

トゥレット症に悩む主人公の葛藤と友達との絆を描く児童書『ぼくのいうことを、きかないぼく』

『ぼくのいうことを、きかないぼく』の主人公である駿は、自分の意思に反して体や声が勝手に動いてしまう症状に苦しんでいます。この症状は「トゥレット症」として知られる神経発達症の特徴であり、運動チックと音声チックが1年以上続くものです。世界的に有名なアーティストであるビリー・アイリッシュさんもトゥレット症を公表しており、その認知度は高まりつつあります。

毎年5月15日から6月15日は「トゥレット症啓発月間」とされており、この時期に発売される本書は、トゥレット症への社会的な理解をさらに促進する役割を担うことが期待されます。物語を通じて、読者はトゥレット症を抱える子どもたちの内面的な葛藤や、周囲との関わりの中で生まれる感情に触れることができます。

主人公・駿と幼なじみ・遥斗の心の交流:友情が育む理解と受容

物語は、自分の症状に悩み、孤独を感じる小学6年生の駿と、1年生の頃に仲が良かった幼なじみの遥斗が、学習発表会で同じ班になることから始まります。最初は駿の症状に戸惑いを感じていた遥斗ですが、共に時間を過ごすうちに、昔見慣れた駿の本当の笑顔に出会い、心を通わせていきます。

遥斗は駿の症状が「トゥレット症」ではないかと疑い、一方の駿も、スマートフォンで自分と同じように声や体が勝手に動く人の動画を見つけ、「トゥレット症」という神経発達症の存在を初めて知ります。自分の症状に名前があったことへの安堵と、治療法がないことを知った絶望。そんな複雑な感情の中で、遥斗から直接「駿ってトゥレット症なの?」と問われた駿は、動揺から「ちがうよ」と答えてしまいます。

悩み、すれ違いながらも、少年たちは本当の友情を見つけていく過程が描かれています。この物語は、トゥレット症を抱える子どもの葛藤と、友達との絆を通じて、相手を知り、理解し、受け入れる勇気の大切さを伝えます。小学校高学年から中学生まで、心に響く一冊として、読書感想文や道徳の授業の教材としても推奨されています。

読者の声が語る感動:「知る」ことの大切さと共感の輪

本書をいち早く読んだ一般の方々からは、以下のような感想が寄せられています(NetGalleyより)。

  • 「『知る』ことの大切さを優しく、そして力強く教えてくれる、世代を問わず多くの人の心に届いてほしい素晴らしい作品ですね。周囲の無理解によって孤独に追いやられていく苦しみが痛いほど伝わってくる一方で、偏見を持たずに『知ろう』と歩み寄ってくれる存在の温かさに、深く救われる思いがします。劇的な魔法で解決するわけではありませんが、互いの違いを受け入れ、不器用ながらも共に歩んでいこうとする姿に、とても勇気をもらいました。」

  • 「涙、涙で一気に読んでしまいました。登場人物ひとりひとりの成長が伝わってきて、私自身も成長できました。」

  • 「これは子どもたちにとっても衝撃の一冊になるでしょう。きっと、他の病気や障害に苦しむ人の気持ちにまで寄り添う心が育まれますよ。」

  • 「この本を読んだ子どもたちが、自分の周りの友達や自分と重ねて、友達をもっと知ろう、思いやろうと思ってくれたらいいなと思いました。」

これらの感想からも、本書が読者に深い共感と気づきを与え、「知る」ことの重要性を強く訴えかける作品であることがうかがえます。

著者・柴野理奈子氏からのメッセージ:トゥレット症への理解を深めるために

著者の柴野理奈子氏からは、本書に込めた熱いメッセージが寄せられています。

「『知らない』ということが、時には暴力になりうる。『知っている』ただそれだけで、少しでも心の負担が軽くなる方々がいる。それならば、一人でも多くの人にトゥレット症のことを知ってもらいたい。トゥレット症は小学生で発症することが多いというなら、子どもたちに、そして子どもたちと接する大人たちに、知ってもらいたい。そんな思いに突き動かされたのが、この話を書きたいと思ったはじまりでした。」

奈良県出身で愛知県在住の柴野理奈子氏は、2007年に『うわさのミニ巫女』(講談社青い鳥文庫)でデビュー以来、数々の児童書や小説を執筆されています。彼女の作品は、常に読者の心に寄り添い、温かいメッセージを届けてきました。

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書籍情報と購入方法:『ぼくのいうことを、きかないぼく』詳細

『ぼくのいうことを、きかないぼく』書誌情報

書誌情報

  • タイトル:『ぼくのいうことを、きかないぼく

  • 著者:柴野 理奈子(しばの りなこ)

  • :中田いくみ

  • 監修:トゥレット当事者会

  • 発売年月:2026年5月

  • 定価:1,760円(10%税込)

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Written by

菅間 大樹

findgood編集長、株式会社Mind One代表取締役
雑誌制作会社、広告代理店、障害者専門人材サービス会社を経て独立。
ライター・編集者としての活動と並行し、就労移行支援事業所の立ち上げに関わり、管理者も務める。職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修修了。
著書に「経営者・人事担当者のための障害者雇用をはじめる前に読む本」(Amazon Kindle「人事・労務管理」「社会学」部門1位獲得)がある。
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