ヘラルボニー新執行役員に岸武洋氏が就任。A BATHING APE®やTSIで培ったEC・DXの知見を生かし、商品開発から販売・プロモーションまでの一貫体制を強化します。持続可能な障害福祉×アートIPビジネスの新たな成長戦略と仕組みを解説します。

この記事で分かること

  • 岸武洋氏の経歴(A BATHING APE®、TSIホールディングスでの実績)と就任背景
  • ヘラルボニーが構築する「商品開発・製造〜販売・プロモーション」の一貫体制
  • 従来の障害福祉支援モデルとヘラルボニーのアートIPモデルとの比較
  • 障害福祉・EC・リテールに関する主要用語の初心者向け解説

ヘラルボニーが目指す「障害福祉×アートIP」の次なる成長フェーズ

株式会社ヘラルボニー(本社:岩手県盛岡市、代表取締役Co-CEO:松田崇弥・松田文登)は2026年10月19日、リテール事業部の責任者を務める岸武洋氏が2026年9月より新たに執行役員に就任したことを発表しました。

ヘラルボニーは「異彩を、放て。」をミッションに掲げ、主に知的障害のある作家が生み出すアートを起点に自社ブランド「HERALBONY」を展開するクリエイティブカンパニーです。障害のある作家が描く2,000点以上のアート作品をIP(知的財産)ライセンスとして管理し、プロダクトに落とし込むことで日常へ届け、新たな文化と価値の創出を目指しています。

近年、同社は商品カテゴリーの拡充や国内外でのブランド発信を急速に推進しており、2024年7月には海外初の子会社としてフランス・パリに「HERALBONY EUROPE」を設立するなど、グローバル展開を見据えた成長フェーズを迎えています。こうした事業規模の拡大と多様化に対応するため、リテール領域における経営体制の強化を目的に、新執行役員の就任が行われました。

岸武洋氏の経歴とリテール・EC・DX領域における知見(Know領域)

アパレル・リテール業界での主要実績(A BATHING APE®〜TSIホールディングス)

岸武洋氏(1977年生まれ、千葉県在住)は、アパレル・リテール業界において強固なブランドビルディングと大規模なデジタル変革を牽引してきた実績を持ちます。経歴の詳細は以下の通りです。

  • 株式会社NOWHERE時代: 大学卒業後に入社し、「A BATHING APE原宿店」の販売員としてキャリアをスタート。店長を経て本部へ異動し、営業、SV(スーパーバイザー)、EC、CRM、商品開発など幅広い業務に従事しました。世界的なストリートブランドとしてカルト的な人気を誇る同ブランドにおいて、単一強力ブランドの熱量を維持・向上させる顧客コミュニケーションと店舗・ECオペレーションの基盤作りに貢献しました。
  • 株式会社TSIホールディングス時代: 約60ブランドを横断するデジタル部門にてEC・デジタルマーケティングを担当。多様なアパレルブランドの成長戦略策定や、全社的なDX(デジタルトランスフォーメーション)推進を主導しました。大規模なマルチブランド展開におけるシステム統合やデジタルマーケティングの最適化において高度な知見を蓄積しています。

単一ブランドにおける熱狂的なファン基盤の構築手法と、複数ブランドを統括する大規模デジタル基盤の構築ノウハウの両面を兼ね備えている点が、岸氏の大きな強みです。

2025年ヘラルボニー参画から2026年9月執行役員就任への経緯と役割

岸氏は2025年10月に株式会社ヘラルボニーへ参画し、リテール事業部の責任者として自社ブランド「HERALBONY」の事業成長を現場で推進してきました。その実績が評価され、2026年9月に執行役員 兼 リテール事業部 責任者に正式に就任しました。

岸氏は就任にあたり、以下のコメントを発表しています。

「このたび、執行役員/リテール事業本部統括を拝命いたしました。 昨年10月に参画して以来、ブランド事業を通じて、異彩を放つクリエイティブを一人でも多くの人々の日常へ届けることに向き合ってきました。今回の就任を、HERALBONYの未来と事業成長に、これまで以上の責任を負う覚悟の表れだと捉えています。 ブランドとして圧倒的に選ばれること。事業として持続的に成長すること。そして、異彩が当たり前に社会に存在する未来をつくること。その実現に向けて、結果にこだわり、挑戦を恐れず、仲間とともに事業を前へ進めてまいります。」

岸氏の今後の主要な役割は、これまでアパレル業界で培ってきた知見を生かし、商品開発・製造から店舗・ECでの販売、プロモーションまでを一貫して推進する組織体制を確立することです。自社ブランド「HERALBONY」の成長を強力に牽引し、国内外の多様な顧客へブランドの思想と価値を届ける事業戦略の策定および組織づくりを担います。

初心者向け用語解説:障害福祉・リテールアパレルビジネスの基礎知識

  • IPライセンス・ロイヤリティ還元
    • 障害のある作家が描くアート作品を知的財産(IP)として管理し、企業やブランドが製品化やプロモーションに使用する際、使用料(ロイヤリティ)を作家に還元する仕組みです。作品の権利を守りながら、持続可能な対価支払いを実現します。
  • DX(デジタルトランスフォーメーション)
    • デジタル技術を活用して業務プロセスやビジネスモデル、組織カルチャーを改革する取り組みです。岸氏は前職で約60ブランドのデータを活用したEC・CRM基盤の構築やDX推進を手掛けた実績を持ちます。
  • リテール事業・一貫体制
    • 商品の企画・製造から、直営店・ポップアップストアなどの実店舗販売、ECサイトの運営、広告プロモーションに至るまでを分断させず、統合的に管理・推進する仕組みのことです。顧客体験の均一化と経営の高速化を両立します。
  • DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)
    • 多様性を尊重し(Diversity)、公平な機会を提供し(Equity)、互いを受け入れる(Inclusion)考え方です。ヘラルボニーでは法人向け体験型DE&I研修プログラム「HERALBONY ACADEMY」などを展開しており、同プログラムは「HRアワード2026」プロフェッショナル人材開発・育成部門で最優秀賞を受賞しています。

従来型福祉支援モデルとヘラルボニーのビジネスモデルの比較

比較項目従来の障害福祉支援モデルヘラルボニーのクリエイティブIPモデル
主な収益源・構造授産製品の販売・補助金等アートIPライセンス・自社ブランドプロダクト販売
作家・当事者への還元内職的作業工賃著作権に基づく正当なロイヤリティ還元
事業展開・ブランド地域限定・小規模手作業グローバル展開(パリ子会社等)・大手企業コラボ
経営・販売体制福祉施設内での個別の生産・販売リテール/EC一貫体制・DX推進による事業拡大

よくある疑問(Q&A)

  • Q1: 岸武洋氏の執行役員就任日はいつですか?
    • A1: 2026年9月に就任しました(公式プレスリリース発表日は2026年10月19日です)。
  • Q2: ヘラルボニーはどのようなビジネスモデルで障害のある作家を支援していますか?
    • A2: 障害のある作家が描く2,000点以上のアート作品をIPライセンスとして管理し、プロダクト化や企業コラボレーションを通じて得られた収益から正当なロイヤリティを支払う持続可能なビジネスモデルを展開しています。
  • Q3: HERALBONYの製品や取り組みはどこで確認できますか?

まとめ

本記事の要点は以下の3点に集約されます。

  • 岸武洋氏の執行役員就任: A BATHING APE®やTSIでの実績を生かし、EC・リテール事業の一貫体制構築とDX推進を加速。
  • 持続可能な福祉ビジネスの拡大: アートIPライセンス管理とロイヤリティ還元により、障害のある作家への正当な対価還元を拡大。
  • グローバルを見据えたブランド成長: 海外子会社「HERALBONY EUROPE」(パリ)の展開など、国内外でのブランド価値と経済圏の創出を推進。

ヘラルボニーが展開する最新のアートプロダクトや企業共創の取り組みについては、以下の公式チャネルよりご覧いただけます。

Written by

菅間 大樹

findgood編集長、株式会社Mind One代表取締役
雑誌制作会社、広告代理店、障害者専門人材サービス会社を経て独立。
ライター・編集者としての活動と並行し、就労移行支援事業所の立ち上げに関わり、管理者も務める。職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修修了。
著書に「経営者・人事担当者のための障害者雇用をはじめる前に読む本」(Amazon Kindle「人事・労務管理」「社会学」部門1位獲得)がある。
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