この記事で分かること

  • 愛媛県今治市で開催される小学3年生・田中優璃さんの個展「ゆりの森とキャンプ」の概要

  • 農業用ビニールハウスというユニークな会場がアート空間に変貌する様子

  • 田中優璃さんの創作への思いと、愛らしい作品の魅力

  • 社会福祉法人来島会が「だんだんBASEギャラリー展」を通じて目指す共生社会の実現に向けた取り組み

  • 「放課後等デイサービス」といった障がい福祉分野の専門用語の解説

愛媛県今治市で、小学3年生の田中優璃さんによる初の個展「ゆりの森とキャンプ ~ビニールハウスの愉快な仲間たち~」が開催されます。この展示会は、普段は作物を育てる農業用ビニールハウスを舞台に、田中さんが生み出した動物や昆虫の作品が並ぶユニークなアート空間として注目を集めています。社会福祉法人来島会が運営する「放課後等デイサービス なかよし学童くらぶ」を利用する田中さんの作品は、「相手を喜ばせたい、笑顔にしたい」という純粋な願いから生まれています。

ゆりの森とキャンプ ~ビニールハウスの愉快な仲間たち~

農業用ビニールハウスがアート空間に!田中優璃さんの創造世界

今回の個展の大きな特徴は、会場として選ばれた「農業用ビニールハウス」です。社会福祉法人来島会が運営する就労継続支援B型事業所「麦の穂」が、つい先日シャインマスカットを収穫し終えたばかりのビニールハウスが、田中優璃さんの手によって動物や昆虫が集う「森」へと姿を変えます。キャンプを愛する田中さんの作品世界が、この特別な空間で展開されることになります。

田中さんは、今治市内の公立小学校に通う小学3年生です。幼少期から、言葉で気持ちを伝えることが苦手な一方で、「目の前の人にいつも笑っていてほしい、喜んでいてほしい」という強い願いを持っていました。その思いを表現する方法として、相手が好きなものを絵や造形物にしてプレゼントすることを続けてきました。特に動物や昆虫の表現にはこだわりがあり、その特徴を捉えた愛らしい作品は見る人の心を和ませるといいます。

本展のために制作された造形25点、スケッチ25点からなる愉快で賑やかな動物たちが、ビニールハウスの森を彩ります。

青いゾウの段ボール工作

緑のワニの段ボール工作

ウサギのようなキャラクターの段ボールオブジェ

工作中の子供

「放課後等デイサービス」とは

田中優璃さんが利用している「放課後等デイサービス」とは、障がいのある6歳から18歳の就学児童を対象に、特性や発達に合わせた支援を提供する施設です。学校の授業終了後や長期休暇中に利用され、自立支援や生活能力の向上、社会性の育成などを目的としています。

「だんだんBASEギャラリー展」が目指す共生社会の実現

本個展を主催する社会福祉法人来島会は、2025年度より「だんだんBASEギャラリー展」を開催してきました。この取り組みは、一人ひとりが持つ「好き」や「表現したい」という純粋な気持ち、そして大切なこだわりが、社会や地域とつながる大きな力になるという考えから始まったものです。創作活動を通じて、障がいのある方々の多様な表現を地域社会に開くことを目指しています。

来島会は、「創作を特別なものではなく、一人ひとりの暮らしの中から生まれる自然な表現として捉え、その価値を地域社会と共有する」という理念のもと、ギャラリー展を展開しています。今年度は対象を地域で暮らす障がいのある方々へと広げ、年間4回の展覧会を予定しています。創作をきっかけに人と人が出会い、互いの違いを認め合える地域づくりを目指しているとのことです。

ぶどう畑の内部

社会福祉法人来島会とは?地域に根差した多様な福祉サービス

社会福祉法人来島会は、1994年(平成6年)に知的障害者入所更生施設「今治福祉園」の開設とともに設立されました。以来、障がいのある方の多様なニーズに応えるトータルサポートグループとして、地域に根ざした福祉サービスを展開しています。

現在では、障がい者福祉事業に留まらず、児童福祉事業や高齢者福祉事業、公益事業(委託事業)など多岐にわたる領域で、21施設・55事業を運営しています。ビジョンとして「すべての人が『障害』を感じることなく、自分の意思で質高く暮らすことのできる地域社会の実現」を掲げ、地域社会に適応したサービスを提供し続けています。より詳しい情報については、以下の関連リンクもご覧ください。

開催概要と今後の注目イベント

田中優璃さんの個展は、以下の日程で開催されます。入場は無料です。

  • 展示期間: 2026年9月19日(土)~24日(木)

  • 時間: 10:00~15:00

  • 場所: だんだんBASEギャラリー敷地内ビニールハウス(今治市高市甲161-3)

また、来島会では今年度、以下のギャラリー展も予定されています。

  • 2026年12月19日~24日(予定):「杏のクリスマス・シンフォニー」

  • 2027年3月6日~15日の土・日・月曜(予定):「勇気のカタチ~切実なごっこ遊び~」

これらの展覧会も、障がいのある方々の創造性や表現を通じて、地域社会とのつながりを深める貴重な機会となるでしょう。

Q&A:読者からのよくある質問

Q1: 放課後等デイサービスとは何ですか?

A1: 放課後等デイサービスは、障がいのある小学校から高校生までの子どもたちが、学校の授業終了後や長期休暇中に利用できる福祉サービスです。個々の特性や発達段階に合わせた支援を通じて、自立心や社会性を育むことを目的としています。

Q2: 障がい者アートとはどのようなものですか?

A2: 障がい者アートは、障がいのある方が自身の内面や感性を表現した芸術作品全般を指します。絵画、彫刻、音楽、ダンスなど表現方法は多岐にわたり、その多様な表現は見る人に新たな視点や感動をもたらすことがあります。障がいの有無にかかわらず、個人の持つ「表現したい」という純粋な気持ちから生まれるものです。

Q3: 展示会は入場無料ですか?

A3: はい、田中優璃さんの個展「ゆりの森とキャンプ ~ビニールハウスの愉快な仲間たち~」は入場無料です。気軽に足を運んで、彼女の創造する世界を体験することができます。

社会福祉法人来島会が推進する「だんだんBASEギャラリー展」は、障がいのある方々の「好き」や「表現したい」という気持ちを尊重し、それを地域社会とつなげることで、誰もが自分らしく生きられる共生社会の実現を目指しています。今回の田中優璃さんの個展も、その大切な一歩となるでしょう。ぜひ会場に足を運び、小学3年生の豊かな感性と、表現がもたらす笑顔や前向きな気持ちを感じてみてはいかがでしょうか。

Written by

菅間 大樹

findgood編集長、株式会社Mind One代表取締役
雑誌制作会社、広告代理店、障害者専門人材サービス会社を経て独立。
ライター・編集者としての活動と並行し、就労移行支援事業所の立ち上げに関わり、管理者も務める。職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修修了。
著書に「経営者・人事担当者のための障害者雇用をはじめる前に読む本」(Amazon Kindle「人事・労務管理」「社会学」部門1位獲得)がある。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0773TRZ77