子どもの「難聴かもしれない」親御さんへ贈る、待望の入門書が誕生
「あなたのお子さんは耳が聞こえないかもしれない」――この言葉は、多くの親御さんにとって大きな衝撃と不安をもたらします。新生児聴覚スクリーニングで「要再検査」と告げられた瞬間から、補聴器や人工内耳、療育、ことばの発達、そして支援制度といった、これまで経験したことのない情報と選択の波に直面することになります。
そのような状況の中で、日本には、これらの情報を横断的に整理し、親御さんに寄り添う「最初に読むべき本」が不足していました。しかし、このたび、研究者、言語聴覚士、そして難聴児の親という3つの視点から生まれた書籍『難聴児のきこえを育てる』が、2026年5月20日に発売されました。

本書は、難聴児の「きこえ」と「ことば」を育てるために必要な知識を、専門家だけでなく、保護者にもわかりやすく届けることを目指しています。イラストを豊富に用い、難聴児を取り巻く特有の分かりづらさを解消しながら、ご家族が子育てを楽しめるようになることを願って制作されました。
日本で不足していた「最初の一冊」が、親の混乱と不安に寄り添う
お子さんの難聴が判明した際、親御さんは「この子の人生はどうなっていくのだろう?」という深い不安に包まれることでしょう。本書は、そうした親御さんの気持ちに寄り添い、具体的な情報を提供することで、混乱と不安を乗り越える手助けをします。

かつては、十分な聴こえの保障が得られない中で音声日本語を身につけることは、子どもと親にとって大きな挑戦でした。しかし、近年の難聴医療は大きく進歩し、補聴器や人工内耳をはじめとした医療工学の発展により、早期発見・早期診断・早期療育の介入が可能になっています。本書では、お子さんが補聴器や人工内耳を装用してから言葉が出始めるまでの前言語期に、どのように子どもと関わり、語りかけていくと良いのかを具体的に説明しています。この時期に育つ「聴こえに支えられた基礎力」は、その後の日本語という大きな言語体系を身につけていくための大切な土台となります。
専門家と親の視点から「きこえ」と「ことば」を育む具体的な道筋
本書は、難聴児の親が直面する多くの疑問や不安に対し、多角的な視点から回答を提供します。難聴と診断されてから子育てを始めるまでの準備、子育てで使う言葉の選択(音声言語か日本語手話言語か)、そして療育の全体像を理解するのに役立つ内容が網羅されています。
難聴の種類からコミュニケーション方法まで、基礎知識を網羅
本書では、難聴の種類と原因、聴力の程度を示すオージオグラムの見方といった基礎知識から、補聴器や人工内耳といった補聴機器を生活の一部にするための管理方法まで、分かりやすく解説されています。

また、聞こえない子どもがどのようにコミュニケーションをとるのか、手話言語、指文字、キュード・スピーチ、読話、筆談、音声言語といった多様な方法が紹介されています。親御さんがどの方法を選択すべきか、また、どこに相談すれば良いのかといった具体的な情報も提供されており、一人で悩むことなく、適切な支援へと繋がる道筋が示されています。


補聴機器の活用から実践スキルまで、家庭でできる「きく力」育成法
本書の後半では、音声日本語で子育てすると決めたご家庭向けに、家庭で実践しやすい具体的な「きく力を育てるスキル10」とそのスキルを使った「実践的な活動30」が紹介されています。音に気づくことから始まり、音の違いを弁別し、音や言葉の意味を理解するまでの4段階にわたる聴こえの発達をサポートする具体的な活動が、イラストと共に詳しく解説されています。


補聴機器を装用しても、すべての音が聞こえる子どもたちと同じように聞こえるわけではないという現実も踏まえ、聞こえにくい場面とその原因、そして親御さんができるサポート方法が具体的に示されています。お子さんの「きこえ」のサインを見逃さず、積極的に声かけや遊びを通して聴覚学習を促すヒントが満載です。


例えば、大きな音に気づかせる工夫や、会話音域に含まれる「リング6音」を使って聞こえをチェックする方法など、日々の生活の中で実践できる具体的なアプローチが紹介されています。歌や手遊び歌を活用した聴覚発達支援も提案されており、子育てを楽しみながら子どもの成長を促すことができます。




