横浜市観光協会が推進する「ユニバーサルツーリズム」と「心のバリアフリー認定制度」を解説。GREEN×EXPO 2027に向けた障害福祉・バリアフリー観光の最新動向と、事業者向け無料研修の概要やメリットをお届けします。
この記事で分かること
- ユニバーサルツーリズムの基本概念と障害福祉分野における重要性
- 横浜市観光協会(YCVB)主催「令和8年度ユニバーサルツーリズム研修」の開催全容(日時・会場・プログラム)
- 観光庁「心のバリアフリー認定制度」の仕組みと横浜市内の認定施設例
- 国際園芸博覧会「GREEN×EXPO 2027」に向けたユニバーサルデザインと障害者観光の推進構想
- 読者向けのQ&A(対象者、参加費、バリアフリー情報の入手方法など)
そもそも「ユニバーサルツーリズム」とは?障害福祉と観光の接点を分かりやすく解説
近年、障害福祉や観光業界において「ユニバーサルツーリズム」という言葉を耳にする機会が増えています。まずは、その基本的な定義や背景について整理します。
ユニバーサルツーリズムの定義と目的
ユニバーサルツーリズムとは、高齢や障がいの有無にかかわらず、全ての人が安心して楽しめるよう配慮された旅行・観光のスタイルを指します。障害福祉の領域においても、当事者の外出機会の創出やQOL(生活の質)向上を支える大切な取り組みとして位置づけられています。
用語解説:ユニバーサルツーリズム
「すべての人が障害の有無や年齢等にかかわらず、安全で快適に観光を楽しめるようにする取り組み」のことです。
なぜ今、障害福祉・観光業界で注目されているのか?
共生社会の実現に向けた意識の高まりとともに、多様な人々が共に楽しめる環境づくりが社会全体で求められています。観光地や宿泊施設におけるアクセシビリティ(利用しやすさ)の向上は、障がいのある方や高齢者だけでなく、ベビーカーを利用する子育て世代などにとっても大きなベネフィットとなると考えられています。
「バリアフリー観光」との違いは?
「バリアフリー観光」が主に段差の解消やエレベーター設置といったハード面の対応に重きを置く傾向があるのに対し、「ユニバーサルツーリズム」はハード面に加え、接遇や声がけ、適切な情報提供といった「ソフト面」の配慮を含めて、包括的に誰もが過ごしやすい環境を目指す点が特徴とされています。
横浜市が目指す「誰もが楽しめる街」!GREEN×EXPO 2027に向けた障害者観光の推進
神奈川県横浜市では、2027年に開催が予定されている国際園芸博覧会「GREEN×EXPO 2027」を見据え、ユニバーサルツーリズムの推進に力を入れています。
国際園芸博覧会「GREEN×EXPO 2027」とは?
「GREEN×EXPO 2027」は、花や緑を通じて持続可能な社会を提示する国際的な博覧会です。多様な来場者が予想されることから、会場内や周辺観光地におけるバリアフリー化とユニバーサルデザインの実現が重要なテーマとなっています。
大阪・関西万博から継承されるユニバーサルツーリズムプロジェクト「LET’S EXPO」
大阪・関西万博でのユニバーサルツーリズムの取り組みを横浜へとつなげる構想として、「LET’S EXPO」プロジェクトが進められています。本プロジェクトを推進する栗原茂行氏(LET’S EXPOプロデューサー / 東京トラベルパートナーズ株式会社 代表取締役)は、介護施設向け旅行サービスの展開やオリンピック・パラリンピック等での車椅子観客送迎業務の経験を活かし、誰もが参加しやすいイベントづくりに貢献しています。
公式モビリティ「WHILL」を活用した次世代のバリアフリー移動
「GREEN×EXPO 2027」の会場内公式モビリティとして、近距離モビリティ「WHILL(ウィル)」の導入が計画されています。
用語解説:WHILL(ウィル)
段差乗り越え機能や高い操作性を備えた近距離移動用の次世代型電動モビリティ(電動車いす等)です。
スマートモビリティの活用により、移動に不安を抱える方の快適な回遊が期待されています。
令和8年度「ユニバーサルツーリズム研修」開催概要!体験型プログラムの魅力とは?
公益財団法人横浜市観光協会(YCVB)は、障がいの有無や年齢にかかわらず全ての方が安全で快適に観光できる環境づくりを目指し、市内事業者を対象とした「令和8年度ユニバーサルツーリズム研修」を開催します。
研修の開催日時・会場・参加方法(参加費無料)
本研修は、接遇スキルの向上やバリアフリー知識の習得を目的とした実践的な内容となっており、参加費は無料です。
- 【日時】 令和8年10月8日(木) 13:30~16:00(13:00開場)
- 【会場】 帆船日本丸・横浜みなと博物館訓練センター 第3会議室(神奈川県横浜市西区みなとみらい2-1-1)
- 【参加費】 無料
- 【申込方法】 令和8年10月5日(月)まで、専用申込フォーム(Googleフォーム)にて受付
座学&体験で深まる!研修プログラムの構成
研修は、知識を深める「座学研修」と、当事者目線を身につける「体験研修」の二部構成で実施されます。
- 座学研修
- 「ユニバーサルツーリズムとは」(講師:渕山知弘氏)
- 「心のバリアフリー認定制度について」(講師:渕山知弘氏)
- 「全国の取り組み」(講師:渕山知弘氏)
- 「大阪・関西万博から横浜へ!GREEN×EXPO 2027におけるユニバーサルツーリズムプロジェクトLET’S EXPOについて」(講師:栗原茂行氏)
- 体験研修
- 「アイマスク、手引き体験」「車いす操作体験」(講師:渕山知弘氏)
- 「WHILL体験(GREEN×EXPO会場内公式モビリティ)」(講師:渕山知弘氏)
国内第一人者・渕山知弘氏をはじめとする豪華な講師陣
講師を務める渕山知弘氏(株式会社プランニングネットワーク ユニバーサルツーリズムアドバイザー)は、大手旅行会社で22年間にわたりバリアフリーツアーの運営に携わってきた国内第一人者です。「世界初!視覚障がい者夢の自転車運転ツアー」の企画などで第2回ジャパン・ツーリズム・アワード優秀賞を受賞した実績を誇ります。
また、前述の栗原茂行氏とともに、当事者の立場でどのようなサポートや声がけが必要とされるかが分かりやすく解説される予定です。
観光庁「心のバリアフリー認定制度」とは?横浜市内の認定施設例
本研修の講義テーマでもある「観光施設における心のバリアフリー認定制度」について解説します。
用語解説:心のバリアフリー認定制度
観光庁が実施する制度で、施設面(ハード)だけでなく、接遇対応や適切な情報発信(ソフト)に積極的に取り組む観光施設を認定する仕組みです。
心のバリアフリー認定制度の仕組みと目的
「心のバリアフリー認定制度」は、2021年9月にスタートした制度です。認定を受けた施設には認定マークが交付され、全国で3,500を超える施設が認定されています(令和8年時点)。
障害福祉視点から見る認定マークのメリット
施設側にとっては、広報やPR活動に認定マークを活用できるメリットがあります。一方、障がいのある方や高齢者、そのご家族にとっては、安全で快適な旅行環境を見極めるための安心な目印となると考えられています。
横浜市内の主な認定施設例(23箇所)
横浜市内では、令和8年8月31日現在で23箇所の宿泊施設・飲食店・観光案内所が認定を受けています。YCVBでは、認定基準に必要な「研修受講」の機会提供や「情報発信」の支援を行っています。
【横浜市内の主な認定施設例(一部抜粋)】
- ヨコハマグランドインターコンチネンタルホテル
- ホテルニューグランド
- アパホテル&リゾート〈横浜ベイタワー〉
- ローズホテル横浜
- 横浜港大さん橋国際客船ターミナル
- 萬珍樓
- 横浜駅観光案内所 / 桜木町駅観光案内所
【Q&A】

読者の皆様から寄せられやすい疑問について、Q&A形式でまとめています。
Q1. ユニバーサルツーリズム研修はどのような事業者が対象ですか?
A. 横浜市内の観光事業者(ホテル・宿泊施設、飲食店、観光施設、交通機関、案内所など)を主な対象としています。障がいのある方へのサポート技能向上や「心のバリアフリー認定」の取得を目指す事業者に適した講座となっています。
Q2. 研修の受講費用や事前申し込みは必要ですか?
A. 参加費は無料です。受講にあたっては事前申し込みが必要であり、令和8年10月5日(月)までに指定のウェブフォーム(Googleフォーム)から申し込みを行う手順となっています。
Q3. 横浜市内のバリアフリー情報はどこで確認できますか?
A. 公益財団法人横浜市観光協会(YCVB)の公式ウェブサイト「バリアフリー情報」ページ等にて、心のバリアフリー認定施設の一覧やアクセシビリティ情報が案内されています。
Q4. アイマスクや車いすの体験研修にはどのような効果がありますか?
A. 当事者の立場を自ら体感することで、どのようなポイントで不便を感じるか、どのような声がけや手助けが求められるかを実感を伴って理解できます。現場での適切なサポートや接遇力の向上につながると考えられています。
まとめ|誰もが観光を楽しめる共生社会の実現に向けて

横浜市観光協会が取り組む「ユニバーサルツーリズム研修」や「心のバリアフリー認定制度」は、障がいの有無にかかわらず誰もが観光を楽しめる街づくりの土台となっています。
2027年の「GREEN×EXPO 2027」に向けて、こうしたソフト面・ハード面双方のアクセシビリティ向上の取り組みが進むことで、より一層あたたかく魅力的な地域社会が醸成されることが期待されます。障害福祉に関心をお持ちの皆様や観光事業に携わる皆様にとって、こうした取り組みへの理解や協力が、共生社会実現への着実な一歩になると言えるでしょう。



