発達支援の基礎を学ぶ「ポーテージ早期教育プログラム」とは

ポーテージプログラムは、1972年にアメリカ合衆国で開発された早期教育プログラムです。客観的な根拠に基づいた緻密さと、現場での使いやすさを兼ね備えていると評価されています。

このプログラムでは、子どもの発達状況を細かくアセスメントし、個別の指導計画を作成することを目指します。特に、令和6年度の報酬改定で重視されている「5領域」(健康・生活、運動・感覚、認知・行動、言語・コミュニケーション、人間関係・社会性)での個別支援計画作成にも対応できる内容が提供されます。

セミナーでは、561の具体的な行動目標を含む『ポーテージ早期教育プログラムセット』を実際に手元に置いて学習できます。これにより、子どもの発達の現在の様子や特徴を詳しく理解し、支援に活かすための基礎を2日間で習得できるでしょう。

個別指導計画に役立つ「ポーテージ早期教育プログラムセット」

ポーテージ早期教育プログラムの教材

セミナーの資料として提供される「ポーテージ早期教育プログラムセット」(定価15,000円)は、2020年に現代の子育て環境に合わせてリニューアルされたものです。このセットには、以下の内容が含まれており、受講後すぐに実践に役立てることができます。

  • チェックリスト: 「乳児期の発達」「社会性」「言語」「身辺自立」「認知」「運動」の6つの発達領域ごとに、0歳から6歳までの年齢段階順に達成を目指す561の行動目標が配置されています。子どもの発達状態のアセスメントや指導目標の選定、指導経過の記録に活用できます。家庭や相談場面だけでなく、児童発達支援事業所や保育園、幼稚園などの幼児教育施設での利用も可能です。

  • 発達経過表: 初回のアセスメント時や指導経過中に達成できた行動目標に応じたマスを時期別に色塗りすることで、子どもの発達の特徴や指導の経過を視覚的に把握できます。

  • マニュアル・活動カード: プログラムを用いたアセスメントから指導、評価までの過程が分かりやすく解説された「マニュアル」と、チェックリストの561の行動目標一つひとつに対応し、援助の方法や指導の手順、教材・教具などの示唆を記述した「活動カード」が含まれます。これらは、実際の指導に当たる支援者、相談員、そして親家族へのガイドとして役立つでしょう。

発達支援に活かす「応用行動分析(ABA)」の基礎を学ぶ

様々な色鮮やかな木製知育玩具

ポーテージプログラムの指導技法の基礎には、応用行動分析(ABA)の原理が用いられています。応用行動分析(ABA)とは、行動の原理を科学的に分析し、望ましい行動を増やし、望ましくない行動を減らすための手法を指します。発達支援や教育の分野で広く活用されています。

プログラムのチェックリストから選ばれた行動目標は、子どもの発達状況に応じて、達成可能な小さなステップ(スモールステップ)に細分化されます。そして、身体的援助、視覚的援助、言語的援助、またはそれらの組み合わせによって援助が行われます。この過程では、適切な補助を与える「プロンプト」など、応用行動分析の技法が活用されます。

応用行動分析の中心となる原理は、望ましい行動を褒める「強化」です。また、望ましくない行動を止めさせたい場合には、注意したり叱ったりせず、「消去」(知らん顔をする)や、望ましい行動(代替行動)を提示してその行動を促し、褒める(強化する)などの原理も応用されます。

子どもの行動だけを変えようとするのではなく、大人の側の行動を変えたり、周囲の環境を調整したりすることを重視するのが応用行動分析の特徴です。セミナーでは、子どもの支援現場で活用できる観察力を、演習を通して身につけることができます。

親と家族を支える「エンパワメント」の視点

親子と女性がテーブルを囲んで会話している様子

ポーテージプログラムの重要な特徴の一つに、親が家庭で指導を行う「親家族支援」があります。ポーテージ相談を通じて、親が子どもの発達を見る目と子育ての力を養い、家庭という自然な環境の中で、親が中心となって家族の協力を得ながら子どもの発達支援が進められるように支援していきます。

保護者は、日常生活の中で子どもにどのように働きかけたらよいか分からず、不安を感じることが少なくありません。他の子どもと比較して焦ることもあるでしょう。ポーテージ相談では、そうした保護者の声に耳を傾け、具体的な助言を行います。これにより、保護者は子どもの発達を正しく理解できるようになり、子どもの幅広い行動に対応できるようになることで、親としての自信を持つことにつながります。

子どもと親・家族のニーズに応じた行動目標を選び出し、無理のない具体的な指導計画を立て、指導経過を記録することで、支援の有効性を親・家族に示すことができます。エビデンスに基づいた支援・保育・教育を可能にするこの考え方を学び、支援の現場で有効に活用することが期待されます。

対面・オンラインのハイブリッド開催で参加しやすい

室内で開催されているセミナーの様子

本セミナーは、対面会場(東京都杉並区セシオン杉並)とオンライン(ZOOMとGoogleスプレッドシート)のハイブリッド形式で開催されます。受講しやすい方法や場所を選べるため、全国どこからでも参加が可能です。

対面会場では、講師との示唆に富んだ経験談を聞いたり、実際の事業所での活用についてより詳細な案内を受けたりできます。同じプログラムを学ぶ仲間との意見交換を通じて、学びを深める機会も得られるでしょう。また、紙ベースでの演習となるため、PC操作に不慣れな方でも講義に集中できます。会場には講師が赴くため、実践方法や個別の事例についても、休憩時間などを利用して気軽に質問できます。

オンライン受講の方には、双方向リアルタイムで演習できるスプレッドシートが利用されます。担当アドバイザーと小グループに分かれて演習を行うため、質問もしやすく、着実に理解を深めることができます。交通費や移動時間の削減にもつながり、カメラ付きのパソコン環境とGoogleアカウントがあれば、自宅からでも受講可能です。

セミナー詳細と申し込み方法

「第98回ポーテージ早期教育プログラム初級研修セミナー」の開催概要は以下の通りです。

開催概要

  • イベント名: 第98回ポーテージ早期教育プログラム初級研修セミナー

  • 開催日時: 2026年9月12日・13日(土日)10:00〜17:00

  • 申込締切: 2026年8月30日(日)

  • 開催形式: 対面会場(東京都杉並区セシオン杉並)とオンライン(ZOOMとGoogleスプレッドシートを使用した演習)のハイブリッド開催

  • 参加費: 32,000円(日本ポーテージ協会会員は28,000円)

  • 定員: 会場20名、オンライン30名

  • 主催: 認定NPO法人日本ポーテージ協会

  • 詳細・申込ページ:

プログラム

1日目

  • 10:00〜10:20 開講式・オリエンテーション

  • 10:20~11:40 ポーテージ早期教育プログラムの概要

  • 11:45~12:15 ポーテージ早期教育プログラムの家庭中心アプローチ

  • 13:15~17:00 ポーテージ早期教育プログラムの構成、指導の進め方

2日目

  • 10:00〜11:00 応用行動分析の基礎

  • 11:05~12:35 <演習>課題分析・活動チャート

  • 13:55~14:55 応用行動分析の実践

  • 15:05~15:45 ポーテージプログラムの相談事例

  • 15:55~17:00 まとめと振り返り 閉講式

※プログラムの内容は変更となる可能性があります。

お申し込み方法

  1. イベント詳細ページ(https://japan-portage.org/98th-beginner-hybrid/)より、必要事項を記入してお申し込みください。
  2. 入金確認後、申し込み時に登録したGoogleアカウントメールアドレス宛に演習用資料とポーテージ早期教育プログラムセットを含む講義資料一式が郵送で送付されます。

認定NPO法人日本ポーテージ協会について

認定NPO法人日本ポーテージ協会は、1985年に創立され、2025年に創立40周年を迎えた団体です。日本全国およびアジア地域に「ポーテージプログラム」を普及させることを目的としています。2014年には東京都より認定NPO法人に認定されました。

協会は、『ポーテージ早期教育プログラム』を活用し、発達に遅れや偏りのある乳幼児の家庭での親(保護者)指導について、早期からの発達相談とその家族支援を行っています。現在、会員数約500名を擁し、全国に30支部を展開しており、それぞれの地域の特徴を活かした相談活動を展開しています。

また、ポーテージプログラムを学びたい方やポーテージ相談員の養成のために、初級研修セミナーを年3回、中級セミナーを年1回開催しています。その他にも、グループ指導のセミナーや、要望に応じた1日セミナー、各地の研修会への講師派遣なども行っています。

  • 法人名: 認定NPO法人日本ポーテージ協会

  • 設立: 1985年4月(2014年に認定NPO法人格取得)

  • 事業内容: ポーテージ発達相談の実施・委嘱、ポーテージ認定相談員養成研修セミナー、各種福祉・教育団体向け研修事業

  • 公式サイト:

Written by

菅間 大樹

findgood編集長、株式会社Mind One代表取締役
雑誌制作会社、広告代理店、障害者専門人材サービス会社を経て独立。
ライター・編集者としての活動と並行し、就労移行支援事業所の立ち上げに関わり、管理者も務める。職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修修了。
著書に「経営者・人事担当者のための障害者雇用をはじめる前に読む本」(Amazon Kindle「人事・労務管理」「社会学」部門1位獲得)がある。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0773TRZ77