障害のある当事者の日常の気づきや声を、企業の商品・サービス開発や社会づくりに直接活かす新たな取り組みが始まっています。本記事では、株式会社ミライロとオシロ株式会社が連携して開設したオンラインコミュニティ「&ミライロ(アンドミライロ)」の取り組みについて、背景にある「バリアバリュー」の考え方やサービスの特徴、参加プラン、期待される社会的なベネフィットまで解説します。
この記事で分かること
- 「&ミライロ」開設の背景:障害当事者の知恵や気づきが社会に届きにくかった従来の課題と、その解決策。
- 「バリアバリュー」という考え方:障害をマイナスと捉えず、独自の価値に変えていく理念の解説。
- コミュニティの主な活動内容:当事者・家族・企業が対話し、共に新しい価値を生み出す仕組み。
- 利用料金と参加方法:「ミライロメンバーズ」の3つのプラン(U30・メンバー・サポーター)と入会手続きの特徴。
- 読者へのベネフィット:当事者・家族・応援したい企業や個人が、能動的に社会へ貢献・参加できる機会の創出。
障害福祉の新たな潮流「バリアバリュー」とは?企業と当事者がつながる背景
日本国内では、およそ10人に1人の割合(国民の約9.3%)で何らかの障害のある方が生活しています(内閣府「令和7年版 障害者白書」参考資料より)。障害のある方々は、日々の暮らしの中でさまざまな工夫を重ねていますが、そこで得られた知恵や気づきは個人の中に留まりがちで、同じ状況にある人や商品・サービスを開発する企業へ十分に届いていない現状がありました。
そのような中、障害を克服すべき対象としてではなく「独自の強みや価値」として捉え直す「バリアバリュー」という考え方が注目を集めています。
【専門用語解説:バリアバリュー(Barrier Value)とは?】 障害(バリア)を単に制限や負の要素と捉えるのではなく、当事者ならではの視点や経験を活かして「新たな価値(バリュー)」へと転換・創出していく考え方を指します。
従来の課題:単発的なヒアリングから「当事者起点の発信」へ
従来も、企業が障害のある当事者の意見を聞く機会は存在しましたが、その多くはアンケートやヒアリングなど「企業が知りたいこと」を尋ねる単発の接点にとどまるケースが一般的でした。当事者自身が「こうしたい」「こんなものがあったらいい」と自ら発信や提案を行える日常的な場は限られていたと指摘されています。
こうした課題を解決し、当事者が話したいことから対話をスタートさせる場として誕生したのが、オンラインコミュニティ「&ミライロ」です。
オンラインコミュニティ「&ミライロ」の概要と特徴
デジタル障害者手帳「ミライロID」を展開する株式会社ミライロと、コミュニティ専用プラットフォームを提供するオシロ株式会社は、2026年9月17日に「&ミライロ」をオープンし、2026年9月24日より一般メンバーの募集を開始します。
【専門用語解説:ミライロIDとは?】 障害者手帳の情報をスマートフォンアプリ上で管理・提示できるようにしたデジタル障害者手帳サービスです。2026年8月末時点での登録者数は65万人を超えています。
【専門用語解説:OSIRO(オシロ)とは?】 オシロ株式会社が開発・提供する、クリエイターや企業とファン・メンバーをつなぐコミュニティ専用オウンドプラットフォームです。会員同士の相互交流や安心感のある場づくりを強みとしています。
「&ミライロ」のコンセプトと「&」に込められた意味
「&ミライロ」の「&」には、「ともに」という思いが込められています。障害のある当事者だけでなく、そのご家族、障害者の活躍を応援する人、事業を展開する企業など、多様な立場の人が集い、経験や気づきを持ち寄ることで新しい価値を生み出すことを目指しています。
具体的な活動内容
コミュニティ内では、以下のような多角的な交流が行われる予定です。
- テーマ別グループ:関心のあるテーマごとに集まり、意見交換や対話を行う。
- イベント開催:オンラインおよびリアルでのイベントを通じて直接交流を深める。
- 会員主体の投稿・交流:運営側からの一方的な情報発信だけでなく、参加メンバー自身が気づきややってみたいことを自由に投稿する。
- 企業との対話:当事者起点のアイデアや課題意識が、将来的な商品・サービスづくりへとつながるきっかけを作る。
「&ミライロ」の参加プランと利用方法(ミライロメンバーズ)

「&ミライロ」では、参加者の状況や立場に合わせて3つの会員プラン(ミライロメンバーズ)が用意されています。
| プラン名 | 対象者 | 月額料金(税込) | 申し込み方法の特徴 |
|---|---|---|---|
| U30 | 30歳未満で「ミライロID」に障害者手帳を登録している方 | 1,000円 | ミライロIDアプリ内から直接申し込み可能 |
| メンバー | 30歳以上で「ミライロID」に障害者手帳を登録している方 | 1,500円 | ミライロIDアプリ内から直接申し込み可能 |
| サポーター | 障害者のご家族、障害者の活躍を応援する個人・企業など | 2,000円 | WEB等を通じて申し込み可能 |
ミライロID連携による配慮と手続きの円滑化
「U30」および「メンバー」プランの申し込みは、「ミライロID」アプリ内で完結する仕組みとなっています。アプリ側で手帳の確認が行われるため、コミュニティ入会時に障害の詳細などを改めて申告する必要がなく、プライバシーに配慮されたスムーズな手続きが可能です。
主宰者・垣内俊哉氏(株式会社ミライロ代表)のメッセージから見る展望
自身も車いすで生活している株式会社ミライロ代表取締役社長の垣内俊哉氏は、「日々の暮らしの中で『こうだったらいいのに』と感じる工夫や声が、個人の中にとどまってしまう現状」に触れています。
「&ミライロ」は、企業からの問いかけに答える一方向の関係ではなく、「障害のある人が話したいこと」から始まるコミュニティです。一人ひとりの日常の気づきが誰かの支えとなり、企業との対話を通じて商品やサービスという形になって社会へ還元されていく循環づくりが期待されています。
また、このような場を実現するために、OSIROが持つクローズドで安心感のある環境や、メンバー同士が交流しやすい設計が活用されています。
Q&A
障害福祉に関心のある読者や、コミュニティへの参加を検討している方向けのよくある質問をまとめました。
Q1. 障害者手帳を持っていない家族や一般の人も参加できますか?
A. 参加可能です。「サポーター」プラン(月額2,000円・税込)が用意されており、障害のある方の支援者やご家族、障害福祉やユニバーサルデザインに関心のある個人や企業など、どなたでも参加できます。
Q2. 入会時に自分の障害について詳しく申告する必要がありますか?
A. 「U30」または「メンバー」プランで申し込む場合、「ミライロID」アプリ側で障害者手帳の確認が完結するため、入会時に障害の詳細を申告する必要はありません。プライバシーが守られた環境で安心して交流を始められます。
Q3. コミュニティではどのような交流が行われますか?
A. テーマごとのグループでのやり取りや、オンライン・リアルイベント、会員自身による日常の気づきの投稿などが行われます。運営側が内容をすべて決定するのではなく、参加メンバーとともに活動を考え、育てていくスタイルが採られています。
まとめ:当事者と社会をつなぐ「&ミライロ」がひらく福祉の未来

オンラインコミュニティ「&ミライロ」は、障害のある当事者の視点を社会の価値に変える「バリアバリュー」を実践するための新しい取り組みです。
従来の単発的なアンケートやヒアリングを超えて、当事者・ご家族・応援する人々・企業が対等な立場で継続的に対話できる場ができたことは、障害福祉分野における大きな前進と言えます。
日々の暮らしの中にある気づきやアイデアを社会に活かしたい当事者の方や、当事者のリアルな声を取り入れた商品・サービス開発を目指す事業者にとって、今後の動きが注目される注目のコミュニティです。

