「ぴーすあんどらぶ」に込めたメッセージ:共生社会への願い

今年の「まぜこぜ一座」公演のテーマは「ぴーすあんどらぶ」です。公演日である8月9日は、長崎被爆の日でもあります。現代社会が抱える分断や対立に対し、過去を忘れずに今を見つめ、未来への願いをつなぐという強いメッセージが込められています。

第一幕では「平和」を、第二幕では「愛」をテーマに、歌やダンス、パフォーマンスが繰り広げられます。この舞台は、観客に感動だけでなく、心に何か引っかかる“モヤモヤ”をもたらすかもしれません。しかし、そのモヤモヤこそが、多様な人々と共に生きていくための新たな視点や対話のきっかけとなることが期待されます。

多様な人々が「まぜこぜ」で楽しめる舞台:充実の情報保障と生配信

「まぜこぜ一座」の舞台では、司会に身長114cmの俳優・マメ山田氏、声優の三ツ矢雄二氏、そして当団体代表の東ちづる氏が名を連ねます。ステージ上では、義足のダンサー・大前光市氏、車椅子のダンサー・かんばらけんた氏、全盲のシンガーソングライター・佐藤ひらり氏、ダウン症のダンサー・峰尾紗季氏など、多様な特性を持つプロパフォーマーたちが結集し、それぞれの個性を最大限に発揮します。

まぜこぜ一座 月夜のからくりハウス パフォーマンスショー

客席もまた、車椅子ユーザー、聴覚・視覚障害者、ダウン症、脳性まひ、自閉症など、様々な特性を持つ人々が「まぜこぜ」で鑑賞できる環境が整えられています。これは、本来の「多様性のある社会」をギュッと凝縮した空間、時間、人間関係を体験できる機会となるでしょう。

障害福祉分野における情報保障の取り組み

本公演では、誰もが等しくエンターテインメントを楽しめるよう、以下の情報保障と環境整備が徹底されています。

  • 聴覚障害者への情報保障:手話通訳とパソコン文字通訳(リアルタイム字幕)が提供され、歌詞は字幕で表示されます。手話通訳や文字通訳が見やすい「聴覚障害者優先席」も用意されています。また、生配信にも手話通訳が付きます。

  • 視覚障害者への情報保障:バリアフリー音声ガイド(バリアフリー活弁士による実況中継)が専用端末で貸し出されます。読み上げ対応のデジタルパンフレットも用意され、生配信にも音声ガイドが付きます。

  • 物理的環境の整備:桟敷席に板を貼り補強し、車椅子スペースが設置されます。

プロジェクターに歌詞が映し出された会場
聴覚障害者優先席
ステージで講演する女性とプロジェクター
松葉杖の人物と車椅子の人物による舞台パフォーマンス
音声ガイドブース

さらに、全国の視聴者からの声に応え、今年は生配信にも挑戦します。これにより、地方に住む方や、障害、難病、家庭の事情などで会場に足を運べない方々も、「まぜこぜ」の居心地の良さを共有できる機会が提供されます。

「まぜこぜ一座」10年の軌跡と今後の展望

「まぜこぜ一座」は、日本のエンターテインメントが多様性を包含することで「まぜこぜの社会」を実現できると信じ、2017年に旗揚げされました。社会はすでに多様な特性を持つ人々で構成されているにもかかわらず、「共生社会をめざす」といった表現が使われることへの問いかけを、10年間にわたり投げかけ続けてきました。

まぜこぜ一座の舞台風景

これまでの活動では、品川や渋谷での定期的な公演に加え、東京2020オリパラ文化プログラム『MAZEKOZE アイランドツアー』への出演、世界配信、映画制作など、多岐にわたる実績を重ねてきました。

今回の日本公演が一旦の区切りとなる理由として、資金繰りの困難が挙げられています。公演経費約1400万円に対し、共催金や助成金、企業協賛などで賄っているものの、外資系企業の協賛打ち切りなどの影響もあり、資金が不足している状況です。鑑賞料金の値上げには抵抗があるとし、ビジネスとしての成立を目指す中での限界が感じられています。

しかし、「まぜこぜ一座」の挑戦は終わりません。今後は海外へのチャレンジを計画しており、現在アメリカ在住のプロモーターと具体的な計画を進めているとのことです。

公演ロビーでは、6月にラフォーレ原宿で開催された「愛と狂気のマーケット」で展示された13人のアーティストの作品展「まぜこぜアート展」も開催されます。フライヤーのアートワークは、自閉症という特性を持つアーティスト衣笠泰介氏の作品です。

まぜこぜ一座 月夜のからくりハウス 公演ポスター

公演詳細とチケット情報

“まぜこぜ一座 ”月夜のからくりハウス『ぴーすあんどらぶ』

  • 日時: 2026年 8月9日(日) 17:30開演(16:30ホールフロア開場、17:00客席入場)

  • 会場: 渋谷区文化総合センター大和田 伝承ホール

  • 主催: 一般社団法人Get in touch

  • 共催: 渋谷区

  • 定員: 会場250名 自由席(手話通訳優先席、車椅子スペースあり)(当日16時より、整理券配布)

会場鑑賞チケット

  • 一般:7,500円(当日8,000円)

  • 高校生以下:5,000円(当日5,000円)

  • 車椅子スペース利用(車椅子利用者一般・車椅子同行介助者):7,500円(当日8,000円)

  • 車椅子スペース利用(車椅子利用高校生以下):5,000円(当日も5,000円)

チケット購入はこちら

一般社団法人Get in touchの活動紹介

一般社団法人Get in touchは、2011年に活動を開始し、2012年に法人化されました。俳優の東ちづる氏らが設立し、アートや音楽、映像、舞台などのエンターテインメントを通じて、誰も排除しない「まぜこぜの社会」を目指して活動しています。

主な活動には、4月2日の世界自閉症啓発デーを「WarmBlueDay」と称し、「WarmBlue キャンペーン」を展開するほか、LGBTQのリアルな声を集めた映画「私はワタシ~over the rainbow~」、障害者アーティストのアート作品と社会をつなげる「MAZEKOZEアート」などがあります。生きづらさを抱える人々とのトーク&グループセッション「生きづらさだヨ!全員集合!」や「スナック★げっと~チイママちづる~」などもYouTubeで配信中です。

渋谷区長と東ちづる氏からのメッセージ

渋谷区長である長谷部健氏は、「まぜこぜ一座」の公演が渋谷区が掲げる「ちがいを ちからに 変える街。」という未来像と合致し、ダイバーシティとインクルージョンの考え方に基づく大変意義深い取り組みであるとメッセージを寄せています。多様な出演者が調和し、楽しい空間を作り上げる本公演が、多様性について深く考える素晴らしい機会となることを願っているとのことです。

一般社団法人Get in touch代表の東ちづる氏は、正義がぶつかり合い、人々が消耗する時代だからこそ、真正面から「平和」と「愛」をテーマに掲げたショーを演出すると語っています。感動だけでなく、心に「モヤモヤ」を持ち帰ることで、その違和感が新たな気づきにつながることを期待しています。また、今回の「LIVEと生配信」への挑戦を通じて、「日本中まとめて巻き込みたい!」という意気込みと共に、これまでの活動への感謝と、新たなチャレンジへの見守りを呼びかけています。

「まぜこぜ一座」の10年目の公演『月夜のからくりハウス〜ぴーすあんどらぶ』は、多様な人々が共に生きる社会の可能性をエンターテインメントを通じて提示する、貴重な機会となるでしょう。会場に足を運ぶか、生配信で参加することで、この特別なメッセージを受け取ってみてはいかがでしょうか。

Written by

菅間 大樹

findgood編集長、株式会社Mind One代表取締役
雑誌制作会社、広告代理店、障害者専門人材サービス会社を経て独立。
ライター・編集者としての活動と並行し、就労移行支援事業所の立ち上げに関わり、管理者も務める。職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修修了。
著書に「経営者・人事担当者のための障害者雇用をはじめる前に読む本」(Amazon Kindle「人事・労務管理」「社会学」部門1位獲得)がある。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0773TRZ77