脳卒中や交通事故の後遺症として生じる「高次脳機能障害」は、外見からわかりにくい「見えない障害」として知られています。本記事では、2026年4月施行の「高次脳機能障害者支援法」が目指す地域共生社会の姿や、当事者・家族が利用できる地域支援体制について分かりやすく解説します。さらに、2026年11月1日に開催される参加費無料の「第30回 脳外傷・高次脳機能障害リハビリテーション講習会」(ハートピア京都/オンライン)のプログラム概要や申し込み方法も網羅しています。
この記事で分かること
- 高次脳機能障害の基礎知識:脳卒中や交通事故の後遺症による「見えない障害」の症状と現状
- 2026年4月施行「高次脳機能障害者支援法」のポイント:切れ目のない地域支援体制と法改正の意義
- 地域での相談・支援ステップ:医療機関から地域障害者職業センター、当事者会・家族会への接続の流れ
- 第30回 講習会(11月1日開催)の全貌:専門家講演・当事者シンポジウムの概要と事前申し込み(オンライン締切:10月26日)
日常生活や社会復帰における「目に見えない生きづらさ」
脳卒中や交通事故などの病気やケガをきっかけに、誰もが当事者となり得る後遺症が「高次脳機能障害」です。手足の麻痺などの身体的障害とは異なり、記憶力、注意維持、感情のコントロールといった認知機能に影響が及ぶため、外見からは障害の存在がわかりにくいという特徴があります。
そのため、職場や学校、家庭内で「怠けている」「わがままだ」と誤解を受けやすく、当事者や家族が必要な支援を受けられないまま孤立してしまう課題が指摘されてきました 。本記事では、こうした不安や課題を解消するため、最新の法制度の動きや地域での相談窓口、学びの場となる講習会情報について第三者的な視点から客観的に整理・解説します。
高次脳機能障害とは?脳卒中や交通事故後に生じる「見えない障害」の基礎知識
記憶障害や注意障害など外見では分かりにくい症状の特徴
高次脳機能障害とは、脳卒中(脳血管障害)や脳外傷(交通事故や転倒など)によって脳が損傷を受けた結果、言語・思考・記憶・注意・情緒などの高次な脳機能に障害が生じた状態を指します。
初心者向けに分かりやすく例えると、「パソコンの本体(外観)は壊れていないように見えても、内部のOSやソフトの処理(集中力や記憶管理)にエラーが起きている状態」に似ています。主な症状には以下のようなものがあります:
- 記憶障害:新しい出来事を覚えられない、約束を忘れてしまう
- 注意障害:集中力が続かない、二つのことを同時に行えない
- 遂行機能障害:計画を立てて順序立てて行動することができない
- 社会的行動障害:感情のコントロールが難しくなる、意欲が著しく低下する
外見上は身体が健康に見えることが多いため、周囲からの理解を得にくく、「見えない障害」とも呼ばれています。
全国で推計約23万人が直面する地域差と支援の「切れ目」
日本全国における高次脳機能障害の当事者数は推計で約23万人とされています。しかし、医療機関退院後のリハビリテーションや社会復帰、福祉サービスの利用において、地域ごとの支援体制にばらつきが存在し、医療から福祉・就労への「支援の切れ目」が生じるケースが課題となっていました。
当事者や家族が必要な時期に必要な情報・支援へアクセスできるよう、地域全体で支えるネットワーク構築が長年求められてきました 。
2026年4月施行「高次脳機能障害者支援法」で変わる地域支援体制
法律制定の背景と目指す「地域共生社会」の姿
これまで全国各地の当事者団体や医療・福祉関係者による草の根の啓発活動が続けられてきました。こうした長年の取り組みや支援の必要性の高まりを受け、2026年4月に「高次脳機能障害者支援法」が施行されました。
本法律は、高次脳機能障害を持つ人々が住み慣れた地域でその人らしく暮らし続けられるよう、都道府県や市区町村における支援体制の充実や相談窓口の整備を法的根拠に基づいて推進するものです。支援法制定は、従来の切れ目があった支援体制を強化し、「地域共生社会」を実現するための大きな転換点と位置付けられています。
医療・福祉・行政・当事者団体が連携する支援ネットワーク
高次脳機能障害支援法の施行により、医療機関だけでなく、高次脳機能障害支援センター、福祉事務所、就労支援機関、そして当事者会や家族会などが一体となった連携ネットワークの構築が期待されています。
専門家である武澤信夫医師(御所南リハビリテーションクリニック医師/講習会実行委員長)は、医療・福祉・行政・当事者といった多様な視点から地域共生のあり方を考えることの重要性を指摘しています。
【参加費無料】第30回 脳外傷・高次脳機能障害リハビリテーション講習会(11月1日開催)
地域での理解促進や情報提供の一環として、2026年11月1日(日)に京都にて無料の講習会が開催されます。
講習会の開催概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| イベント名称 | 第30回 脳外傷・高次脳機能障害リハビリテーション講習会 |
| テーマ | 「住み慣れた地域で、その人らしく暮らし続けるために~高次脳機能障害支援法が目指す地域共生とは~」 |
| 日時 | 2026年11月1日(日)13:00~16:00(開場 12:30) |
| 会場 | 京都府立総合社会福祉会館 ハートピア京都/オンライン併用 |
| 参加費 | 無料(定員:会場120名) |
| 主催 | 脳外傷・高次脳機能障害リハビリテーション講習会 京都実行委員会(事務局:京都大原記念病院グループ) |
特別講演とシンポジウムのプログラム詳細
本講習会は二部構成で実施されます。
- 第一部:特別講演「住み慣れた街で暮らすために知ってほしいこと」
- 講師:深津玲子先生(医師・国立障害者リハビリテーションセンター 顧問、元同センター学院長・高次脳機能障害情報・支援センター長)
- 座長:武澤信夫先生(御所南リハビリテーションクリニック 医師/実行委員長)
- 第二部:シンポジウム「住み慣れた地域で、その人らしく暮らし続けるために」
- 当事者会(アンサーズ)、家族会(里やま)、京都府高次脳機能障害者支援センター、京都市高次脳機能障害支援課の代表者が登壇し、行政・福祉・当事者の多角的な視点から議論が行われます。
会場参加およびオンライン参加のお申し込み方法
- 会場参加:事前申込は不要です。直接会場(ハートピア京都)へお越しいただけます(定員120名)。
- オンライン参加:事前のWeb申し込みが必要です。申し込み締め切りは2026年10月26日(月)となっています。
地域で利用できる相談窓口と支援獲得の4ステップ
高次脳機能障害の疑いがある場合や、退院後の生活・社会復帰に悩んでいる場合の一般的な相談ステップは以下の通りです。
[ステップ1:医療機関での診断・リハビリ]
脳神経外科や神経内科、リハビリテーション科での適切な受診・検査
↓
[ステップ2:高次脳機能障害者支援センターへの相談]
各都道府県・指定都市に設置されている専門相談窓口へ問い合わせ
↓
[ステップ3:福祉サービス・就労支援の活用]
障害福祉サービス受給者証の申請や地域障害者職業センター等の利用
↓
[ステップ4:当事者会・家族会への参加]
同じ悩みを持つ当事者や家族との情報交換・心理的サポートの取得
専門窓口や支援機関、当事者団体が相互に連携することで、日常生活の安定や復帰に向けた切れ目のないサポートが可能になります。
よくある質問(Q&A)
Q1. 本人が障害を自覚していない(病識がない)場合はどうすればよいですか?
高次脳機能障害の特徴として、脳の損傷部位により自身の症状に気づきにくい(病識欠如)傾向があります。無理に説得しようとせず、まずはご家族が地域高次脳機能障害支援センターや専門医療機関の相談窓口へ相談し、対応方法のアドバイスを受けることが推奨されます。
Q2. 2026年4月の「高次脳機能障害者支援法」施行で、当事者にはどのようなメリットがありますか?
法的根拠に基づき、自治体における専門相談員の配置や医療・福祉・就労の連携体制が強化されます。これにより、従来生じがちだった「病院退院後の情報不足」や「地域による支援の格差」が軽減され、円滑なサービス利用につながることが期待されています。
Q3. 11月1日の講習会は当事者や家族以外の一般人も参加できますか?
はい、参加費無料でどなたでも参加可能です(会場定員120名)。医療・福祉・教育・介護関係者だけでなく、障害への理解を深めたい一般の方の参加も歓迎されています。
参加・相談方法の比較表
| 区分 | 会場参加(ハートピア京都) | オンライン参加 | 地域相談窓口(支援センター) |
|---|---|---|---|
| 対象 | 近隣在住の方・直接受講したい方 | 遠方の方・自宅から受講したい方 | 継続的な個別相談・支援を希望する方 |
| 費用 | 無料 | 無料 | 原則無料(サービス利用時要確認) |
| 事前申込 | 不要(当日直接受付) | 必要(10/26締切) | 要事前連絡・予約 |
| 特徴 | 専門家や当事者会の雰囲気を直接体体可能 | 自宅等から手軽にプログラムを視聴可能 | 個別の状況に応じた具体的な制度・サービス案内 |
まとめと次のステップ
脳卒中や交通事故の後遺症として生じる高次脳機能障害は、正しく理解し適切な支援につながることが社会復帰・地域生活の第一歩となります。2026年4月の支援法施行に向け、地域のサポート体制や講習会などの機会を活用することが推奨されます。
- 講習会(11/1開催)への参加をご希望の方:オンライン受講は10月26日締め切りとなりますので、早めの申し込み手続きをお勧めします。
- 地域での個別相談をご希望の方:お住まいの自治体の福祉課や「高次脳機能障害支援センター」の問い合わせ窓口へご相談ください

