千葉県では、農業の担い手不足解消と障害者の就労・社会参加促進を同時に目指す「農福連携」の取組を推進しています。令和8年12月4日(金)、JR千葉駅直結のペリエホールにて、令和8年度「ちば農福連携フォーラム」が開催されます。本記事では、農福連携の基本概念からフォーラムの開催概要、京丸園による基調講演、県内の先進事例発表、マッチング交流会の見どころ解説します。
この記事で分かること
- 農福連携の基本的仕組みと、農業・福祉・企業それぞれのメリット
- 令和8年度「ちば農福連携フォーラム」の開催日時・会場・申込手順
- 基調講演「京丸園」におけるユニバーサル農業の実践と実績
- 安房地域および大網白里市(ジョブファーム×内山農園)における県内先進事例
- 体験ブースや相談窓口を活用した具体的な農福連携の始め方
農業と福祉が抱える地域課題と「農福連携」の重要性
現代の日本において、農業分野では高齢化に伴う深刻な「担い手不足」や「耕作放棄地の増加」が大きな課題となっています。一方で、障害福祉分野においては、障害のある方の「就労機会の確保」や「賃金・工賃の向上」、「社会参加の推進」が強く求められています。
これら両分野の課題を解決する手法として注目を集めているのが「農福連携」です。千葉県では、令和6年度に開催された「農福連携全国フォーラム2024 in ちば」を契機として、農福連携に対する関心や取組の機運が広がっています。この機運をさらに継続・発展させるため、令和8年度「ちば農福連携フォーラム」が開催されます。
本フォーラムは、実際に現場で生まれている仕事や地域とのつながりを、講演、事例紹介、展示、試食などを通して総合的に体感できる機会となっています。
農福連携とは?仕組みと注目される理由を初心者向けに解説
農福連携とは、障害のある方が農業分野において活躍することにより、農業経営の維持・拡大と障害者の自立支援を同時に達成する取り組みを指します。
農業側・福祉側・企業側のメリット
農福連携の導入により、関係者それぞれに以下のような具体的な効果が期待できます。
- 農業側のメリット: 作業の手間がかかる種まき、雑草取り、収穫、袋詰めなどの工程を福祉事業所や障害者に委託・雇用することで、作業労力を確保し、規模拡大や高品質化に集中できます。
- 福祉側のメリット: 自然環境の中での農作業を通じて、利用者の心身の安定ややりがいの創出につながります。また、適切な農作業の受託により作業工賃の向上を実現できます。
- 企業・地域側のメリット: CSR(企業の社会的責任)活動やダイバーシティ&インクルージョン(多様性の尊重と包摂)の推進に直結します。障害者雇用の新しい選択肢としても活用可能です。
専門用語解説
農福連携を理解するうえで頻出する専門用語について、わかりやすく説明します。
- ユニバーサル農業: 年齢、性別、障害の有無にかかわらず、誰もが作業に参加できるよう作業工程や道具を工夫した農業の形です。
- 就労継続支援B型事業所: 障害のある方が、雇用契約を結ばずに作業を行い、技術習得や工賃獲得を目指す障害福祉サービス施設です。
- ノウフク商品: 農福連携の取組によって作られた農産物やその加工品のことを指します。
令和8年度「ちば農福連携フォーラム」の開催概要
「ちば農福連携フォーラム」は、農福連携に関心を持つすべての人が参加できる総合イベントです。事前申込制となっており、定員に達し次第受付終了となります。
開催日時・会場・参加費用
フォーラムの基本的な開催情報を以下の表にまとめました。
| 項目 | 詳細内容 |
|---|---|
| イベント名称 | 令和8年度 ちば農福連携フォーラム |
| 開催日時 | 令和8年12月4日(金)12:00〜16:00(受付開始 11:30〜) |
| 会場 | ペリエホール Room A・B(千葉市中央区新千葉1-1-1 ペリエ千葉7F) |
| 交通アクセス | JR千葉駅直結 |
| 参加費 | 無料(事前申込制・先着120名) |
| 対象者 | 農業関係者、福祉関係者、企業、教育関係者、消費者、行政機関 等 |
| 申込締切 | 令和8年11月27日(金)17:00(※先着順) |
主催・後援・運営体制
本フォーラムは行政および関連団体の強固な連携のもとで運営されています。
- 主催: 千葉県
- 後援: 一般社団法人日本農福連携協会、一般社団法人千葉県商工会議所連合会、千葉県農業協同組合中央会、全国農業協同組合連合会千葉県本部、特定非営利活動法人千葉県障害者就労事業振興センター、千葉県農業者総合支援センター
- 運営: 株式会社オニオン新聞社
- 協力団体: 一般社団法人ぶどうの木(習志野市を拠点に無農薬栽培や就労継続支援B型を運営する福祉団体)
【基調講演】京丸園が実践する「ユニバーサル農業」と経営の強さ
フォーラムの基調講演では、静岡県浜松市において農福連携のパイオニアとして知られる「京丸園株式会社」の代表取締役・鈴木厚志氏が登壇します。
20代から90代まで110名が働く農場経営の実態
京丸園株式会社では、年齢や障害の有無を問わず誰でも働ける環境づくりを目指す「ユニバーサル農業」を実践しています。現在では20代から90代までの多様なスタッフ約110名が活き活きと働いています。
作業スペースのバリアフリー化や、個々の能力に応じた作業工程の細分化・治具(補助具)の導入により、高い生産性と従業員のやりがいを両立させています。また、浜松市ユニバーサル農業研究会での活動を通じて、強い農業の実現に向けた地域連携を牽引しています。
京丸園の主な表彰実績
- 令和4年:ノウフク・アワード2021 グランプリ受賞
- 令和4年:障害者雇用優良事業所 厚生労働大臣表彰受賞
基調講演を通じて、単なる福祉的支援にとどまらない「農業経営としての強さ」と「持続可能な地域づくり」のリアルなノウハウを学ぶことができます。
【事例発表】千葉県内における農福連携最前線の実践モデル
千葉県内で実際に取り組まれている2つの先行事例について、農業側と福祉側双方の立場から発表が行われます。
事例①:安房地域における「点から面へ」広がる地域一体型農福連携
安房(あわ)地域では、令和5年度から農福連携の取組が開始されました。個別の農業者と福祉事業所の結びつきという「点」の取組から、地域全体を巻き込んだ「面」の連携へと発展しています。
- 登壇者: 安房農業協同組合 営農部担い手支援課 統括リーダー 加藤浩生氏 × 館山市・鴨川市・南房総市・鋸南町 地域自立支援協議会就労部会 部会長 岡田真美氏
- 発表内容: JA(農業協同組合)と地域自立支援協議会がタッグを組み、広域的に農福連携を推進するための経過や具体的な工夫が紹介されます。
事例②:大網白里市「ジョブファーム×内山農園」の10年におよぶ実践
大網白里市(おおあみしらさとし)では、約10年間にわたり継続的な農福連携が実施されています。
- 登壇者: NPO法人ジョブファーム(就労継続支援B型事業所)代表 高橋正己氏 × 内山農園 内山文子氏
- 発表内容: 福祉事業所による自主的な農作業への挑戦と、地域農家との信頼関係に基づくパートナーシップにより、障害のある方の居場所づくりと働く場づくりがどのように達成されたかが語られます。
マッチング交流会・体験ブース・ノウフク商品の魅力
本フォーラムでは、講演を聞くだけでなく、実際の展示や交流を通じて体験的に農福連携を学べる場が用意されています。
充実した出展ブースのラインナップ
- 相談窓口: 一般社団法人日本農福連携協会の専門スタッフが、全国の先進事例紹介や農福連携に関する個別相談に応じます。
- ノウフク体験ブース: 障害のある方でも安全かつ効率的に作業を行うための「治具(じぐ)」や作業補助器具を実際に体験できます。
- 取組事例・ノウフク商品紹介ブース: 県内で生産されたノウフク商品の展示が行われます。試食コーナーも設置されており、実際の品質や美味しさを体感できます。
企業・自治体関係者が農福連携に参加・導入すべきメリット

ちば農福連携フォーラムは、農業・福祉関係者だけでなく、企業の障害者雇用担当者やCSR推進部、自治体の地域振興担当者にとっても非常に有益なイベントです。
企業におけるCSR・ダイバーシティ推進の活用
企業の障害者雇用において「どのような業務を任せればよいか分からない」という課題は多く見られます。農業分野での作業創出や福祉事業所への業務委託は、従業員の多様な働き方を推進する手段として有効です。
自治体における地域活性化への波及効果
耕作放棄地の再生、高齢農家の営農支援、福祉サービスの向上など、複数の行政課題を同時に解決する施策として農福連携を活用できます。
よくある質問(Q&A)

Q1. 農福連携について全く知識がない初心者ですが参加できますか?
A. もちろん参加可能です。本フォーラムは、基礎知識を学ぶ基調講演から県内の事例発表、体験ブースまで揃っており、初めて農福連携に接する方にもわかりやすい構成となっています。
Q2. 企業や個人での参加は可能ですか?
A. 可能です。対象者は農業・福祉関係者をはじめ、企業・行政・教育関係者・一般消費者まで広く設定されています。企業のCSR担当者や障害者雇用検討中の方にもおすすめです。
Q3. 事前申し込みは必要ですか?費用はかかりますか?
A. 参加費は無料ですが、事前申込制となっています。定員は先着120名であり、申込締切は令和8年11月27日(金)17:00までとなっていますので、早めの申し込みをおすすめします。
対象者別:フォーラム参加メリット比較表
本フォーラムに参加することで得られるメリットを立場別に比較整理しました。
| 対象者 | 主な参加メリット | 注目プログラム |
|---|---|---|
| 農業関係者(農家・JA) | 人手不足解消のヒント獲得、作業委託の具体的手順の把握 | 京丸園基調講演、安房地域事例発表 |
| 福祉事業者(障害福祉施設) | 新しい作業機会の創出、利用者の工賃向上・居場所づくりのノウフク事例習得 | ジョブファーム×内山農園事例発表、ノウフク体験ブース |
| 企業(人事・CSR担当者) | 障害者雇用の新しい選択肢発見、ダイバーシティ推進の具体策検討 | マッチング・相談窓口、ノウフク商品展示 |
| 自治体・行政機関 | 農業・福祉・地域振興を組み合わせた地域課題解決モデルの把握 | 事例発表、日本農福連携協会相談窓口 |
まとめ:ちば農福連携フォーラムから広がる新しい地域の可能性

令和8年12月4日(金)に開催される「ちば農福連携フォーラム」は、農業と福祉の連携による新たな価値創出と地域課題解決の現場を一度に体験できる貴重な機会です。
全国的な先駆者である京丸園の実践事例や、千葉県内の安房地域・大網白里市における「地域密着型」の実践発表を通じ、明日からの具体的なアクションにつながる知見を得ることができます。
定員120名の先着順となっていますので、農福連携に関心をお持ちの方はぜひお早めにお申し込みください。

