この記事で分かること

  • 障害福祉や生活支援における「情報格差」の実態と相談先選びの課題
  • 西宮発の福祉情報ポータルサイト「ささえてネット」の3つの特徴と循環の仕組み
  • ひきこもりや不登校を経験した方が在宅で働ける就労機会創出の取り組み
  • 従来の行政窓口・単独事業所サイトと「ささえてネット」の機能比較
  • 地域福祉を支えるクラウドファンディングの概要と参加方法

必要な福祉支援へ「どこから相談すべきか」迷っていませんか?

障害、不登校、ひきこもり、生活困窮など、日々の暮らしの中で困難を抱えたとき、公的機関や民間の支援サービスは多数存在します。しかし、「自分にはどの支援が必要なのか」「最初の一歩としてどこに相談すべきなのか」を判断することは容易ではありません。

インターネット上には膨大な情報が存在する一方で、事業所ごとの特徴や実際の利用条件が整理されておらず、結果として必要な支援につながれないという「情報格差」が深刻な課題となっています。

本記事では、こうした地域福祉の課題を解決するために立ち上がった西宮発の福祉情報サイト「ささえてネット」の構想と、当事者・家族が適切な支援窓口を見つけるための具体的な視点を解説します。


現代の地域福祉が直面する「3つの社会課題」

日本の地域社会では現在、福祉支援を必要とする側だけでなく、支援を提供する側や就労の場においても構造的な課題が生じています。

① 深刻化する「福祉の情報格差」

公的支援や民間事業所などの情報があふれている一方で、当事者や家族にとって「どれが自分に必要な情報か」「どこへ相談すれば解決につながるか」を判断することが難しくなっています。制度ごとに窓口が分かれていることも多く、適切な窓口へたどり着く前に諦めてしまうケースが散見されます。

② 地域を支えるNPOの資金調達・活動継続の困難

不登校支援や生活困窮者支援など、公的制度の枠組みだけでは対応しきれない課題に向き合う民間NPOは、常に資金調達の負担を抱えています。活動を支える持続可能な財源モデルの構築が急務となっています。

③ 働きづらさを抱える人々の孤立と社会参加の機会不足

社会の中で自分に合った働き方や参加機会を見つけられず、つながりを持てない方が増加しています。 文部科学省の令和6年度調査によれば、全国の小・中学校における不登校児童生徒は353,970人に上ります。また、内閣府の令和4年度調査では、15~64歳の広義のひきこもり状態にある人は推計で約146万人と報告されています。


西宮発の福祉情報サイト「ささえてネット」とは?

「ささえてネット」は、兵庫県西宮市で不登校児童の居場所づくりや生活困窮者支援に取り組む「認定NPO法人みやっこサポート」(代表理事:中島恵美)が構築を進めている福祉情報ポータルサイトです。

単に地域の事業所情報を網羅するだけでなく、「情報を届ける」「地域の活動を支える」「仕事を生み出す」という3つの機能を組み合わせた新しい地域福祉モデルを目指しています。

【ささえてネットが描く地域福祉の循環モデル】

 [市民・当事者]
   │ ▲
   │ │ 分かりやすい比較情報で相談・支援につながる
   ▼ │
┌─────────────────────────┐
│   福祉情報ポータル「ささえてネット」   │
└─────────────────────────┘
 ▲                ▲
 │ 情報発信協力         │ データ入力・更新作業
 │ 広告収益還元         │ 在宅就労・社会参加
 ▼                ▼
[地域の福祉NPO]     [生きづらさ・働きづらさを抱える方]

特徴1:必要な支援を比較してすぐに見つけられる

こども、高齢者、障がい者支援などの情報を横断的に集約します。単なる所在地や電話番号の羅列ではなく、事業所ごとの特徴や支援内容、利用条件を整理し、利用者が自分に合った支援を比較検討できる構造を持ちます。さらに、災害時には支援物資などのリアルタイム情報を提供する機能も想定されています。

特徴2:NPOの情報発信協力と持続可能な運営還元

地域の現場を知るNPOや支援団体が情報作成に参加します。サイトの広告収益などを情報発信に協力したNPOへ還元することで、地域の民間団体の安定的かつ持続可能な運営基盤を支援します。

特徴3:外出が困難な方への「在宅ワーク・社会参加機会」の創出

サイトのデータ入力や情報更新作業を、ひきこもりや障害などで一般的な就業形態での勤務が難しい方々の仕事として発注します。体調や環境に合わせて自宅で無理のない範囲で従事でき、社会的な役割とつながりを実感できる機会を提供します。


福祉情報窓口の比較表

支援を探す際の選択肢として、従来の行政窓口、個別の支援事業所サイト、そして「ささえてネット」の違いを整理しました。

項目自治体の公的広報・窓口個別事業所の公式Webサイトささえてネット(構築モデル)
主な情報内容法的制度、給付要件、手続き窓口自社のサービス概要、理念、空き状況地域全体の福祉情報、各事業所の詳細比較
比較・検索性制度ごとの縦割り記載が多い自社情報のみ目的や困りごとに合わせた横断的比較
民間支援の網羅性許認可事業所中心各団体独自現場NPOの独自支援も反映
災害時対応指定避難所等の公式発表原則更新なし支援物資などのリアルタイム情報提供
就労・社会参加支援窓口での紹介・あっせん自社採用のみサイト運営を通じた在宅作業の創出

専門用語解説

障害福祉や就労支援の分野で頻出する用語について、基本的な意味を解説します。

  • 地域福祉:行政の制度だけでなく、地域住民、民間NPO、ボランティアなどが協力し、地域全体で生活の困りごとを支え合う取り組み全般を指します。
  • 情報格差(デジタルデバイド・福祉情報格差):必要な制度や支援窓口が存在しているにもかかわらず、その存在を知らない、あるいは探し出せないことによって生じる支援の不公平のことです。
  • ひきこもり(広義):様々な要因により社会参加(就学、就労、家庭外での交遊など)を回避し、原則として6か月以上にわたって概ね家庭にとどまり続けている状態を指します。

よくある質問(Q&A)

コラム

Q1. 「ささえてネット」は西宮市民以外でも利用できますか?

初期の構築は西宮市の福祉情報を集約するモデルとして進められていますが、将来的にはこの仕組みを全国の各地域へ展開していく展望が示されています。

Q2. どのような支援情報が掲載される予定ですか?

こどもの支援(不登校の居場所等)、高齢者支援、障がい者支援をはじめとする地域福祉情報全般が掲載対象です。また、通常時の相談窓口だけでなく、災害時の支援物資情報などの緊急情報発信も想定されています。

Q3. データ入力などの仕事はどのように提供されますか?

外出や一般的な時間拘束での勤務が難しい方に向けて、自宅で体調に合わせて進められるデータ入力や更新作業などが仕事として用意される仕組みです。


クラウドファンディング実施概要

  • プロジェクト名:西宮発・福祉情報サイト「ささえてネット」構築プロジェクト
  • 実施期間:2026年10月9日〜2026年12月25日
  • 目標金額:350万円(ネクストゴール:500万円)
  • 寄付金の使途:サイト構築費、人件費、通信運搬費、データ管理費、広告宣伝費等
  • 実施主体:認定NPO法人みやっこサポート(兵庫県西宮市西田町6-5、理事長:中島恵美)

詳細なプロジェクト内容や寄付支援の手続きについては、認定NPO法人みやっこサポートの公式Webサイトおよび特設クラウドファンディングページにて確認できます。


まとめとプロジェクト支援への参加方法

地域の中で「必要な情報が届き、支援団体が持続し、働きたい人がつながれる」という循環を作る取り組みは、地域の孤立を防ぐ重要な基盤となります。

認定NPO法人みやっこサポートでは、本ポータルサイト「ささえてネット」の構築に向けたクラウドファンディングを実施しています。

Written by

菅間 大樹

findgood編集長、株式会社Mind One代表取締役
雑誌制作会社、広告代理店、障害者専門人材サービス会社を経て独立。
ライター・編集者としての活動と並行し、就労移行支援事業所の立ち上げに関わり、管理者も務める。職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修修了。
著書に「経営者・人事担当者のための障害者雇用をはじめる前に読む本」(Amazon Kindle「人事・労務管理」「社会学」部門1位獲得)がある。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0773TRZ77