唯一無二の表現が織りなす「UMUNI画廊プロジェクト」開催

NPO法人UBUNTUが展開するアートブランドUMUNIは、障害の有無に関わらず、一人ひとりの個性を尊重し、その人ならではの表現方法を追求しています。今回の「UMUNI画廊プロジェクトin PERTiCA」は、そんなUMUNIの理念を象徴するイベントです。

展示されるアート作品は、いわゆる「普通」とされる枠にとらわれない独自の表現方法で描かれています。それぞれの作品にはクリエイターのその瞬間のインスピレーションや気持ちが込められており、世界に一つだけのストーリーが息づいています。来場者は、これらの作品を通じて、創造性の多様性と奥深さを感じ取ることができます。

「あべこべクリエイター」とは?多様性を力に変えるUBUNTUの挑戦

NPO法人UBUNTUは、これまでも「あべこべマルシェ」や「あべこべWORK」といったユニークなイベントを実施してきました。「あべこべ」という言葉には、「世の中の『普通』を覆す」という意味が込められています。

社会が一般的に持つ「障害のない大人が物を生み出す、働く」というイメージに対し、年齢、カテゴリー、障害の有無、国籍といったあらゆる枠組みを取り払い、逆さまにすることで、新しい価値を創造しようとする試みです。その変革の中心にいるのが、「あべこべクリエイター」や「あべこべ店員」です。彼らは、それぞれの個性と能力を最大限に活かし、社会に新たな視点を提供しています。

障害の有無に関わらず、子どもたちが自由にアートを表現するUMUNIの活動を紹介する画像

「誰もが自分のライフデザイナーになれる街」を目指すNPO法人UBUNTUの活動

NPO法人UBUNTUは、「誰もが自分のライフデザイナーになれる街」というビジョンのもと、活動を展開しています。重症心身障害や医療的ケアが必要な方々であっても、必ず誰かに影響を与え、価値を提供できると信じ、その可能性を広げるための「ワークデザインプロジェクト」を推進しています。

3つの柱で展開する「ワークデザインプロジェクト」

このプロジェクトは、以下の3つの柱で構成されています。

  • あべこべマルシェ: 一つの場所に多数の店舗を集め、「あべこべ店員」が販売や接客を行うイベントです。

  • あべこべWORK: 「あべこべ店員」が地域の店舗に出向し、より身近な場所で人々との自然な出会いを創出します。

  • JOB-DESIGN事業: 地域の団体や企業と協働し、企業の課題解決と新しいビジネスモデルの創出を目指す事業です。障害のある方々の強みを引き出し、仕事へと繋げるハブとしての役割を担っています。重い障害のある方々が個人事業主として仕事を受注し、シェアオフィスや企業・団体で活動できるよう、ケアや仕事のサポートも行っています。

個性輝く「あべこべクリエイター」たちをご紹介

UMUNIには、多様な表現方法を持つ個性豊かなクリエイターが多数在籍しています。その一部をご紹介します。

音楽と感触を愛するPOTEさんの自由な表現

POTEさんは、音楽と外出をこよなく愛する高校生のクリエイターです。手で絵具を混ぜたり、箱に入れた画材と絵具を転がしたりして色付けをするなど、手で触れる感触を特に大切にしています。ゴムチューブを弾くといった工夫も凝らし、その日の気分で公園や庭など場所を選びながら、自由に表現活動を行っています。

カラフルな風車と手作りの装置を使い、段ボール上のキャンバスに絵の具を飛ばしてアート作品を制作しているPOTEさん

気分屋のRIKOPINさんが頭と腕で描く世界

食べることやおしゃれが大好きなRIKOPINさんは、ちょっぴり気分屋な一面も持つクリエイターです。手に拘縮があるため、筆を直接握ることが難しいですが、本人と相談し、頭に筆をつけて描くことで自由な表現を可能にしました。また、手の甲に筆を固定して腕を左右に動かす画法も取り入れ、その時の気分で描き方を変えています。好きな色はピンクで、絵を描くことは彼女にとって、外出や買い物とは別に、一つのことに集中して取り組める大切な表現の場となっています。

頭部を支えられたRIKOPINさんが、特製の長いペンを使ってタブレットで絵を描いている様子

満面の笑顔が魅力のKIRAさんが目線と筆で紡ぐアート

人が大好きで、いつも満面の笑みを浮かべているKIRAさんは、中学生のクリエイターです。可動できる手の範囲は限られていますが、手を前後に伸縮させたり、指を細やかに使ったりしてアート制作に取り組んでいます。人を視線で追いかけることを活かし、目線を変え、頭に付けた筆やペンの角度を自在に変えることで、彼ならではの表現を生み出しています。

鼻チューブを装着したKIRAさんが、頭に固定された絵の具チューブを使い、キャンバスに抽象画を描いている様子

なぜ今、画廊で作品を展示するのか?アートを通じた新たな出会い

これまでNPO法人UBUNTUは、自主開催のマルシェや販売イベントを通じて、あべこべクリエイターの作品を届けてきました。しかし、これらのイベントにはクリエイターの関係者が多く来場する傾向がありました。ある販売イベントで、これまでとは異なる客層の人々が作品を手に取り、その価値を感じて購入する機会があったことから、新たな気づきを得たといいます。

NPO法人UBUNTUが本当に伝えたいのは、「絵を売ること」だけではありません。「この絵がどのようなストーリーで描かれたのか」を伝え、作品を手にした人が「自分ならではの価値を見出す」ことだと改めて感じています。そのためには、絵を購入してもらうだけでなく、絵を見て、その背景にある物語を伝える場が必要だと考えました。

今回のギャラリーは、仙台の中心街であるいろは横丁に位置する「PERTiCA」で開催されます。居酒屋や飲食店が立ち並ぶこのエリアでは、普段NPO法人UBUNTUが出会うことのない方々にも作品が目に留まることが期待されています。この画廊は、アートを通じて新たな人々との接点を創出するための挑戦の一環です。

NPO法人UBUNTUが描く「誰もが自分のライフデザイナーになれる街」

NPO法人UBUNTUは、「誰もが自分のライフデザイナーになれる街をつくる」という理念を掲げ、2018年11月から仙台で活動している団体です。重症心身障がい児(者)や医療的ケア児、ろう重複児(者)など、サービスが届きにくい方々への地域生活サポート事業(児童発達支援・放課後等デイサービス、居宅介護事業など)や、「手輪プロジェクト」、災害キャンプなど、多岐にわたる取り組みを行っています。

カラフルな髪の毛を持つ漫画のキャラクターがジャンプしているNPO法人UBUNTUのロゴ

障害のある方々へのイメージチェンジやパラダイムシフトを起こすための仕掛けを考え、専門職や経験者でなければ重度の障害のある方のケアに関われないという先入観や属人化をなくすため、地域の無資格・未経験人材の登用や、小学生から大学生までの学生ボランティアの積極的な受け入れも行っています。

NPO法人UBUNTUの詳細については、以下のウェブサイトをご覧ください。

「UMUNI画廊プロジェクトin PERTiCA」開催概要

  • 期間: 2026年5月1日(金)から5月31日(日)まで(不定休)

  • 開場日時: Instagramにて告知された日のみオープン・クローズ

  • 会場: 東北駆け込み寺 居場所ギャラリー「PERTiCA」

  • 所在地: 〒980-0811 仙台市青葉区一番町2丁目3-28 (いろは横丁内)

  • 主催: NPO法人UBUNTU

この機会に、唯一無二の“あべこべクリエイター”たちが織りなす感動的なアートの世界を体験し、彼らのストーリーに触れてみてはいかがでしょうか。新たな発見と、心温まる出会いがきっとあなたを待っています。

 

Written by

菅間 大樹

findgood編集長、株式会社Mind One代表取締役
雑誌制作会社、広告代理店、障害者専門人材サービス会社を経て独立。
ライター・編集者としての活動と並行し、就労移行支援事業所の立ち上げに関わり、管理者も務める。職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修修了。
著書に「経営者・人事担当者のための障害者雇用をはじめる前に読む本」(Amazon Kindle「人事・労務管理」「社会学」部門1位獲得)がある。
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