「公共訴訟」とは?社会を変える新しい選択肢

「声を上げても社会は変わらない」「声を上げたいけれど、どうすればいいか分からない」と感じている方は少なくないかもしれません。現代社会では、同性婚や選択的夫婦別姓、環境問題、人種差別など、さまざまな社会課題への関心が高まる一方で、個人の声が政策や制度に反映されにくい現状があります。

このような状況の中、司法を通じて社会に変化をもたらす「公共訴訟」が、重要な選択肢として注目されています。しかし、日本ではまだその役割や可能性が十分に知られているとは言えません。

2026年5月15日(金)に集英社新書から発売される『はじめての公共訴訟 社会を動かす、私たちのツール』は、この「公共訴訟」を主題とした初の一般向け書籍です。本書は、司法を通じて社会課題の解決を目指すこの手段を、はじめて包括的に紹介する入門書として、多くの人々にその可能性を提示します。

障害福祉の未来にも繋がる「公共訴訟」の具体的な事例と可能性

公共訴訟は、個別の権利救済にとどまらず、社会全体の制度や慣習に影響を与え、より公正な社会を築くための強力なツールとなり得ます。本書では、「結婚の自由をすべての人に」訴訟や「タトゥー裁判」といった実際のケースを取り上げ、当事者や弁護士の声を交えながら、その背景や経緯を描いています。

これらの事例は、一見すると障害福祉とは直接関係ないように見えるかもしれません。しかし、公共訴訟の持つ「社会を変える力」は、障害者の権利擁護や合理的配慮の実現といった障害福祉分野の課題解決にも繋がり得ます。

例えば、障害のある方々が直面する差別や不当な扱い、あるいは必要な支援が制度上不十分であるといった問題に対して、公共訴訟は現状を問い直し、新たな規範を形成するきっかけとなる可能性があります。一人ひとりの「おかしい」という声が、法を通じて社会全体に波及し、よりインクルーシブな社会へと導く原動力となることでしょう。

『はじめての公共訴訟』で学ぶ、社会を動かすステップ

本書は、「公共訴訟とは何か」という基本から、実際に社会を動かしてきた事例、公共訴訟の意義・歴史・課題、そして未来や、自分自身が関わるための具体的なステップまでを幅広く解説しています。

<目次より抜粋>

  • 第1章 声をあげる人々、その物語 ──公共訴訟を知る

  • 第2章 公共訴訟は社会をどう変えるか

  • 第3章 公共訴訟の誕生と歴史

  • 第4章 データで見る公共訴訟

  • 第5章 なぜ数が少なく、勝ちにくいのか ──公共訴訟の抱えるハードル

  • 第6章 新たな動きが生み出す、新しい連帯

  • 第7章 公共訴訟の未来

第1章では、当事者や弁護士の声を交えながら、実際の訴訟ケースの背景や経緯が描かれています。第2章では公共訴訟の社会的意義を整理し、個別の権利救済にとどまらない役割を示します。また、第5章では日本における公共訴訟の課題を掘り下げ、なぜそれが生じているのかを具体的な事例とともに分析。そして第6章・第7章では、近年の変化や新たな担い手の登場、そして「レイシャルプロファイリング」訴訟などを手がかりに、公共訴訟のこれからの可能性が展望されています。

難しそうと思われがちな訴訟を、専門知識がない方でも理解できるよう、平易な言葉で構成されており、「社会を変えたい」と願うすべての人に開かれた一冊となっています。

「はじめての公共訴訟」と題し、社会を動かすためのツールとしての公共訴訟を解説。

推薦の声に込められたメッセージ

本書には、哲学者・朱喜哲氏、NO YOUTH NO JAPAN創設者・能條桃子氏、小説家・山内マリコ氏といった各界の著名人からの推薦コメントが寄せられています。

「よりマシな社会をあきらめたくないすべての人へ。ここに私と公共をつなぐ回路がある。」(哲学者 朱 喜哲氏)

「少数の痛みは、『大したことない』ことにされやすい。『こうなってほしい』が、感情の問題と一瞥(いちべつ)される。公共訴訟はそんな社会の扉をこじ開ける、希望。」(NO YOUTH NO JAPAN創設者 能條桃子氏)

これらの言葉は、本書が単なる法律解説書ではなく、社会をより良くしたいと願うすべての人々に向けた希望の書であることを示唆しています。

書籍情報と著者紹介

書籍概要

  • タイトル: 集英社新書『はじめての公共訴訟 社会を動かす、私たちのツール』

  • 著者: 井桁大介、亀石倫子、谷口太規、丸山央里絵

  • 発売日: 2026年5月15日(金)

  • 電子版発売日: 2026年5月22日(金)

  • 定価: 1012円(本体920円+税)

  • 仕様: 新書判、224ページ

  • ISBN: 978-4-08-721410-9

  • 出版社: 集英社

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著者紹介(五十音順)

  • 井桁大介: CALL4 副代表、弁護士。公共訴訟を専門とし、これまでに25件ほどの公共訴訟に関わる。

  • 亀石倫子: 弁護士。刑事事件を中心に、タトゥー裁判などで無罪を勝ち取る。一般社団法人LEDGE代表理事として公共訴訟の普及・支援に従事。

  • 谷口太規: CALL4共同代表、弁護士。司法アクセスの改善をライフワークとし、公共訴訟や刑事事件のエキスパートとして活動。

  • 丸山央里絵: CALL4共同代表、クリエイティブディレクター。情報誌編集長を経て独立後、CALL4の活動に参加し、訴訟の背景にある人々の思いや物語を届ける。

公共訴訟を支援する「CALL4」の活動

本書の執筆には、日本で初めて(2019年9月の弁護士による見解など調査の結果、日本初とされています)公共訴訟支援に特化したウェブプラットフォーム「CALL4(コールフォー)」を運営する認定特定非営利活動法人CALL4の共同代表理事・副理事が参加しています。

CALL4は、公共訴訟のクラウドファンディングやケースに関する情報発信などを行い、司法をより身近に感じてもらえるよう活動しています。本書はその知見をもとに、市民一人ひとりがどのように法を使い、社会を動かしていけるのか、その具体的な方法と可能性を提示しています。

CALL4の詳細はこちらから
https://www.call4.jp/

CALL4は今後も、ウェブプラットフォームの運営やイベント、書籍等を通じて、司法が社会を変えるツールであることを広く伝えていくことでしょう。

 

Written by

菅間 大樹

findgood編集長、株式会社Mind One代表取締役
雑誌制作会社、広告代理店、障害者専門人材サービス会社を経て独立。
ライター・編集者としての活動と並行し、就労移行支援事業所の立ち上げに関わり、管理者も務める。職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修修了。
著書に「経営者・人事担当者のための障害者雇用をはじめる前に読む本」(Amazon Kindle「人事・労務管理」「社会学」部門1位獲得)がある。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0773TRZ77