山口県「シビックテックチャレンジ」で社会課題解決を推進

山口県が取り組む「シビックテック チャレンジ YAMAGUCHI(CCY)」は、2021年から続く地域課題解決プロジェクトです。「シビックテック」とは、市民(Civic)と技術(Tech)を組み合わせた造語で、IT技術やデータサイエンスなどのテクノロジーを活用して、市民が主体的に地域の課題解決に取り組む活動や、そのための技術を指します。このプロジェクトは、行政だけでは解決が難しい社会課題に対し、スタートアップ企業などの柔軟な発想と技術力を結びつけることで、新たな解決策を生み出すことを目指しています。

事務局を担うアーバン・イノベーション・ジャパン(UIJ)は、2018年の兵庫県神戸市での取り組みを皮切りに、全国各地の自治体と連携し、地域に根ざした課題解決を支援してきました。山口県では、デジタル技術を最大限に活用し、豊かで安心・安全な未来を実現するためのデジタル改革を推進しており、今回の協働実証もその一環です。

採択された事業者には、実証プロジェクト経費として上限50万円(税込み)が支払われ、2026年9月上旬から2027年1月にかけて開発・実証実験が行われます。これにより、課題解決に向けた効果が検証され、次年度以降の展開が検討される予定です。

障害福祉に関わる注目課題:8つの課題から見る地域貢献の可能性

今回募集される8つの課題の中には、障害福祉分野や高齢者支援、子育て支援に深く関わるものが含まれています。これらの課題にテクノロジーがどう貢献できるのか、具体的な内容を見ていきましょう。

視覚障害者の情報格差解消に向けた取り組み

情報格差をゼロにしたい!視覚障害者へ迅速に情報を届ける実証

屋外のイベント会場で、人々が細いラインの上でバランスを取るゲームに参加している様子

長門市地域福祉課が所管するこの課題は、視覚障害のある住民への情報提供の持続可能性に焦点を当てています。現状では、広報誌などを音声化して提供する手段があるものの、ボランティアの減少や機材の老朽化により、体制維持が困難になっています。この実証では、視覚障害者がタイムリーに音声配信を受け取れるような、持続可能な情報提供の仕組み構築を目指しています。

中山間地域の高齢者移動支援

免許がなくても自由に動ける、中山間地域の移動を変えたい!

濃い青色のミニバン型バスが屋外に駐車している様子

山口市地域振興課が取り組むこの課題は、中山間地域における高齢者の移動手段の確保がテーマです。阿東地域では、免許返納後の移動手段が限られ、高齢者の農作業や地域交流が困難になっています。免許不要で安全なモビリティの実証を通じて、高齢者の生活の足を確保し、さらには観光客も利用できる新たな移動の仕組みを構築しようとしています。

子どものスマートフォン利用における見守りシステム

「うちの子は大丈夫」を変える!危機意識の隙間を埋め、親子の対話を促す見守りシステム

暗い部屋のベッドに座る若い女性が、スマートフォンの画面の光に照らされながら操作している様子

県警本部人身安全・少年課が所管するこの課題は、小学生のスマートフォン利用に関する保護者の不安解消を目指します。スマートフォンを持つ子どもが増える一方で、保護者が子どもの利用状況を十分に把握できていない現状があります。トラブルの兆しとなるような行動を子どもが取った際に、保護者がそれを察知し、適切に介入できるような仕組みの構築が求められています。

その他の注目課題

上記以外にも、地域活性化、情報伝達、文化教育など多岐にわたる課題が募集されています。

実証パートナー募集の詳細と応募方法

今回の実証事業への応募受付は2026年7月12日(日)に終了し、9月上旬には採択事業者が決定される予定です。応募を検討している企業やスタートアップにとって、自治体職員と直接話ができるオンライン課題説明会は貴重な機会となるでしょう。

山口県の地域課題解決を目指す「シビックテックチャレンジ」の実証パートナー募集説明会の告知

オンライン課題説明会情報

Urban Innovation JAPAN(UIJ)とは:全国の自治体とスタートアップを繋ぐプラットフォーム

2021年のグッドデザイン賞を受賞した「Urban Innovation JAPAN」の取り組みを紹介する画像

Urban Innovation JAPAN(UIJ)は、神戸市から生まれたオープンイノベーション・プラットフォームです。全国の自治体が抱える課題と、スタートアップ・事業者の持つ革新的な技術やサービスをマッチングさせることで、地域課題の解決を加速させています。その取り組みは高く評価され、2021年にはグッドデザイン賞を受賞しています。

UIJは、自治体のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進に貢献し、本当に課題を解決できる事業者との出会いを創出することで、地域社会の発展を支援しています。

まとめ:デジタル技術で豊かな山口県へ

山口県が推進する「シビックテック チャレンジ YAMAGUCHI 2026」は、デジタル技術とスタートアップの力を活用し、地域が抱える喫緊の課題解決を目指す画期的な取り組みです。特に、障害福祉、高齢者支援、子育て支援といった分野における課題解決は、誰もが安心して暮らせる共生社会の実現に直結します。

このような取り組みを通じて、新たなサービスや技術が社会実装され、山口県がより豊かで安心・安全な地域へと発展していくことが期待されます。関心のある事業者や個人は、ぜひこの機会に、山口県の未来を共に創るパートナーとして参加を検討してみてはいかがでしょうか。

Written by

菅間 大樹

findgood編集長、株式会社Mind One代表取締役
雑誌制作会社、広告代理店、障害者専門人材サービス会社を経て独立。
ライター・編集者としての活動と並行し、就労移行支援事業所の立ち上げに関わり、管理者も務める。職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修修了。
著書に「経営者・人事担当者のための障害者雇用をはじめる前に読む本」(Amazon Kindle「人事・労務管理」「社会学」部門1位獲得)がある。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0773TRZ77