【内容情報】(出版社より)

脳の外傷・損傷によって生じる障害である「高次脳機能障害」。
現在では国による支援の対象となっており、
一方では各地域で当事者団体が設立されるなど医療・福祉のサポートも広がりをみせている。
だが、わずか20年ほど前までは障害者手帳交付の対象にもなっておらず、
公的な支援がほぼないという状況だった。
そうしたなかで当事者たちが声を挙げ、国会議員がその声をすくい上げて制度化へと動き出し、
医療者・行政が枠組みをつくり、各地域に支援の輪が少しずつ広がっていったのである。
本書はその渦中にいた著者がこれまでの歩みを振り返り
いかにして高次脳機能障害者への支援が進んでいったのか、回顧的に記したものである。
支援に携わる医療者・関係者はもちろん、
現在も多くの課題が山積する医療・福祉の分野において
どうすれば制度として当事者に支援を届けられるのか、理解にもつながる貴重な内容となっている。

                                                                      【目次情報】
                                                                                                                           はじめに 3
第1章 高次脳機能障害とは
高次脳機能障害とは 8
ケーキを食べるための認知機能 9
高次脳機能障害は見える 12
脳のキズと高次脳機能障害 13
高次脳機能障害のリハビリテーション 17

第2章 高次脳機能障害が国会へ
井上義久議員の主張 23
西川きよし議員の主張 31

第3章 当事者の訴え
「作業所ヤモリクラブ」の開所 56
「一般社団法人ぷらむ佐賀」設立 58
「高次脳機能障害者と家族の会」発足の経緯 61
息子の居場所 63
【江東・失語症のある方のコミュニケーションを豊かにする会】設立の経緯 65

第4章 高次脳機能障害支援モデル事業の開始
高次脳機能障害支援モデル事業の開始 68
連続したケア 72
モデル事業の実施体制 76
評価基準作業班の活動 80
高次脳機能障害と診断した事例 97
高次脳機能障害が示す症状と行動の解説 101
訓練プログラム作業班の活動 116
社会復帰・生活・介護支援プログラム作業班の活動 138
モデル事業のまとめ 152

第5章 高次脳機能障害支援普及事業
支援事業の一般事業化 156
自立支援法下での支援普及事業の開始 160
地域支援ネットワークの構築 162
障害者施策推進本部による重点施策 173
一般事業開始後の社会点描  175
研究班の活動 177
高次脳機能障害と精神障害者保健福祉手帳 179
支援普及事業の発展 182
認知リハビリテーションの実態調査 186
スポーツ外傷と高次脳機能障害 188
新たなマーケット 190
高次脳機能障害に関する制度、仕組みの改定 192

第6章 民間の活躍
民間施設が訴える受入れ困難 195
民間施設の経験から学ぶこと 199
多様な活動とそれらがもたらしたこと 207

第7章 これからの課題
生物学的課題 211
診断技術と診断基準 213
軽度外傷性脳損傷(MTBI) 215
診療体制 218
隠れた高次脳機能障害 219
発達障害と高次脳機能障害 221
社会的行動障害の強い事例 223
自動車運転 225
家族 226
就労 228
直接損失と間接損失 230
医学教育での高次脳機能障害の扱い 232
診断基準改定 233

第8章 家族会活動のこれから
家族会活動のこれから 235

おわりに 251
巻末資料 254

  • 出版社 ‏ : ‎新興医学出版社
  • 発売日 ‏ : ‎‎ 2023/4/20
  • 単行本(ソフトカバー) ‏ : ‎276ページ

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Written by

今井 靖之

findgood編集者、ライター。

大手電機メーカーで半導体電子部品のフィールドアプリケーションエンジニア、インターネットサービスプロバイダのプロモーションやマーケティングに従事。以後フリー。

身内に極めて珍しい指定難病者を抱える。

神奈川県川崎市在住。サブカルヲタク。「犬派?猫派?」と聞かれたらネコ派、猫同居中。