開催の背景と目的
盲ろう者は視覚と聴覚の両方に障害を併せ持つため、情報入手やコミュニケーション、移動に困難を抱えています。彼らの自立と社会参加には、通訳・介助者の存在が不可欠ですが、近年、若年の支援者不足が課題となっています。本イベントは、将来の共生社会を担う若年層や一般市民が、映画や講演、体験を通じて「盲ろう」の世界を知り、支援への興味・関心を喚起することを目的に開催されました。
心で感じる「盲ろう」の世界:A会場の様子
A会場の牛込箪笥区民ホールでは、「感情に訴える場」をコンセプトに、映画上映と講演会が実施されました。
午前中には、世界で初めて盲ろう者の常勤大学教員となった福島智さんと母・令子さんの実話を基にした映画『桜色の風が咲く』が上映され、180名を超える観客が親子の物語に見入っていました。
午後に開催された福島智氏ご本人による講演会には、約220名の参加者が詰めかけました。福島氏はユーモアを交えながら、自身の生い立ちやコミュニケーションの重要性について語り、参加者は熱心に耳を傾けました。質疑応答では、Webフォームを通じて多くの質問が寄せられ、関心の高さがうかがえました。

体験を通じて「自分ごと」に:B会場の様子
B会場の東京都盲ろう者支援センターでは、「体験と学びの場」として、より実践的なプログラムが展開されました。
「盲ろう疑似体験」および「ミニセミナー(盲ろう児教育、触手話・弱視手話、指点字)」は、事前申し込みの段階で定員(各20〜30名)が全て埋まるほどの人気でした。
参加者はアイマスクと耳栓を装着して「見えない・聞こえない」状態を体験したり、盲ろう者と直接触れ合いながら「指点字」や「触手話」でのコミュニケーションに挑戦したりと、障害を“自分ごと”として捉える貴重な時間を過ごしました。

参加者の声
来場者からは、多くの感動や気づきの声が寄せられました。
- 言語聴覚士を目指している学生からは、「今回のイベントに来て、ようやく盲ろう者とのコミュニケーションの入口に立てたような気がします」という感想が聞かれました。
- 特別支援学校の教員を目指す学生からは、「大学で様々な障害について勉強していますが、盲ろう者と実際に関わったり、話を聞いたりしたことはなかったので大変勉強になりました」との声がありました。
- 「福島さんの講演に参加させていただき、1対1のコミュニケーションを支える通訳だけではなく、周囲の状況も伝え、孤独にならない『世界を広げるための通訳』の大切さをすごく学びました」という声も寄せられています。
主催者からのコメント
認定NPO法人 東京盲ろう者友の会 事務局長の前田晃秀氏は、「本日は、予想を上回る多くの方にご来場いただき、誠にありがとうございました。特に、盲ろうについて興味・関心を抱く40名もの学生の方々に参加いただけたことは、これからの盲ろう者支援を考える上で大きな希望です」と述べました。
また、「『見えない、聞こえない』という過酷な状況にあっても、コミュニケーションという架け橋があれば、人はつながり、豊かに生きることができます。今回のイベントが、皆様にとって『盲ろう』を知る第一歩となり、盲ろう者を含め、誰もが安心して暮らせる地域社会づくりにつながることを願っております」と、イベントの意義と今後の展望について語りました。
開催概要
- イベント名: 盲ろうコミュニケーション・キャンパス ~見えない・聞こえない世界を“自分ごと”に~
- 日時: 2025年2月11日(水・祝) 10:30~16:30
- 会場:
- A会場:牛込箪笥区民ホール(新宿区箪笥町15)
- B会場:東京都盲ろう者支援センター(新宿区岩戸町4)
- 内容: 映画『桜色の風が咲く』上映、福島智氏講演会、盲ろう疑似体験、コミュニケーション体験、ミニセミナー等
- 主催: 認定NPO法人 東京盲ろう者友の会
- 助成: 令和7年度 独立行政法人福祉医療機構 社会福祉振興助成事業
認定NPO法人 東京盲ろう者友の会について
東京盲ろう者友の会は、視覚と聴覚の両方に障害がある「盲ろう者」の自立と社会参加を支援する団体です。1991年の設立以来、盲ろう者向け通訳・介助員派遣事業・養成事業、生活訓練、社会参加促進などを通じて、盲ろう者の福祉向上に取り組んでいます。
- 所在地: 東京都新宿区岩戸町4番地 87ビルディング岩戸町2階
- 代表者: 理事長 藤鹿 一之
- 設立: 1991年4月
- URL: http://www.tokyo-db.or.jp



