Last Updated on 2021年2月22日 by 今井 靖之
人馬一体の息づかい 呼吸と気持ちを合わせ、同調性を高める
競技概要
人馬一体の華麗な演技を競う馬場馬術、オリンピックの馬術とは異なり、パラリンピックでは技の正確さや演技の美しさを競う馬場馬術(ドレッサージュ)種目のみが行われます。
種目として、個人課目と、選手3名で構成される団体課目(音楽付き)があります。また、個人課目の結果が上位の選手のみが出場できる「馬のバレエ」とも呼ばれ、選手が考えたオリジナルな動きのパターンを組み合わせ音楽に合わせて乗りこなす自由演技課目(音楽付き)の3つがあります。
オリンピックと同様に男女混合での採点競技で行われますが、障がいの内容や程度により、5つのクラスに分かれて競います。
グレードIは、全四肢および体幹に重度の障がいがある選手のクラス。グレードIIは、上肢の障がいは最小だが体幹に重度の障がいがある、または体幹、腕、足に中度の障がいがある選手のクラス。グレードIIIは、体幹の障がいは最小または障がいが無いが両下肢に重度の障がいがある、または両上肢、両下肢および体幹に中度の障がいがある選手のクラス。
グレードIVは、両上肢欠損または両上肢に重度の障がいがある、全四肢に中度の障がいがある、または低身長症の選手のクラス。重度の視覚障がいがある、または盲目(B1クラス)の選手も該当。
グレードVは、可動域または筋力に軽度の障がいがある、片下肢欠損、または軽度の両下肢欠損の選手のクラス。視覚障がい(B2クラス)がある選手も該当。
視覚障がいの選手はグレードIVやVにクラス分けされますが、「コーラー」がマークの位置を声で知らせ、競技をサポートします。コーラーは最大13人まで。高次脳機能障がいなどで記憶障がいがある選手は、「コマンダー」が馬場外からコースを逐次伝えることができる。こうしたアシスタントとのチームワークも見どころ。
選手はヘルメットやジャケットの着用が義務付けられます。まひや切断のため下半身の支えがない状態でも、選手はバランスよく鞍に乗って騎乗するので、ブーツの中は義足の場合もあります。
ルール
馬場を囲むように5人の審判員が座っており、動きの正確さ、馬の頭の位置など項目ごとに採点シートに点をつけていく。順位は各審判員の採点を満点で割ったパーセンテージで決まる。
クラスごとに求められる技術レベルが異なり、障がいを補うための馬具の使用や改造なども認められている。
馬場は、グレードIVとVはオリンピックと同じ20メートル×60メートルのサイズで、グレードIからIIIは少し小さい20メートル×40メートルの馬場を使う。選手はこの馬場内で決められたコースを移動しながら、図形などを描き、馬を操る技術レベルを審査される。最も基本的な技術の「常歩(なみあし)」、対角線上の肢が交互に2拍子のリズムで動く「速歩(はやあし)」、スピードのある「駈歩(かけあし)」、さらに高度な、前肢と後肢が異なる軌跡を描く「二蹄跡運動(にていせきうんどう)」がある。グレードIは常歩、グレードIIは常歩と速歩など、クラスによって求められる技術レベルが異なる。
種目
個人課目
グレード I (混合)
グレード II (混合)
グレード III (混合)
グレード IV (混合)
グレード V (混合)
団体課目(音楽付き)
団体課目(音楽付き)(混合)
自由演技課目
グレード I (混合)
グレード II (混合)
グレード III (混合)
グレード IV (混合)
グレード V (混合)
対象障がい
肢体障がい
視覚障がい
東京2020パラリンピック情報
日程:2021年8月26日(木)〜8月30日(月)
会場:馬事公苑