”障害福祉から世界を変える” 商品企画会議Vaccursによるイベントの様子をレポート。

2019年6月30日(日)神奈川県横浜市のKAAT芸術劇場1FにあるカフェレストランVENT VELAで行われたVaccursトークライブVol.4&ムービー上映会のイベントレポートをお届けします。

Vaccurs(バッカーズ)は、障害福祉に関わる、または関わらない有志によって続けられている商品企画会議。
findgoodでも取材させていただいた平塚市のスタジオクーカ施設長の関根幹司さんの呼びかけでスタートしました。

バッカーズのFacebookからプロフィールをご紹介。
【「障害者でも…」はもうおしまいにしよう!
障害者だからこそ、の魅力に取りつかれた、おバカな福祉関係者、無関係者が終結した電撃障害者商品会議。略して「バッカーズ」。
福祉?アート?まあ、どっちでもいいか! 】

現在の 中心メンバーは関根さん、横浜市のカプカプ所長の鈴木励滋さん、相模原市ののびやか施設長の神沼由紀夫さんの神奈川県内の3つの施設長。

Vaccursメンバー
トークの登壇者左から、ムービーを手掛けた飯塚聡さん。今回の運営、司会も務めています。Vaccursのボス、スタジオクーカ施設長の関根幹司さん、のびやか施設長の神沼由紀夫さん、カプカプ所長の鈴木励滋さん、KAATの中野敦之さん。

月一回開かれている会議には、誰でも参加することが出来、緩やかに流動的に有志が集っています。

9年もの間、「障害者だからこそ」の力を存分に伝える究極の商品を世に送り出そうと、時には迷走しながらも開発を続けてきました。

今回のイベントでは、美味しいブッフェを楽しみながら、VaccursメンバーとKAAT神奈川芸術劇場の中野敦之さんによるトークライブ、ムービー上映、クッキープロジェクトの投票が行われました。

ブッフェ
ブッフェの様子。

まずは、クッキープロジェクトについての紹介からスタート。
Vaccursが長年取り組みながら、思索→試作→迷走→試作を続けてきたクッキープロジェクトが初めて公の場に登場。
参加者の投票によって、商品化第一号(?!)が決定されました。

候補になっていたクッキーはどれもユニークなものばかり。
そのユニークなクッキーは何故生まれたのか、クッキー開発にまつわるトークを交えながら投票が行われました。
クッキープロジェクトは、施設の利用者さんたちに妄想クッキーレシピを募集したところから始まりました。
集まったレシピは「これ、クッキーのレシピ?!」という奇想天外なものが沢山。

クッキー軌跡Facebookより
中々説明しづらいクッキープロジェクトの軌跡の一部をVaccursのFacebookから抜粋。
こんなこと、あんなことを長年繰り返しいよいよ公の場へ。

その発想のユニークさを形にするべく、何年もの間、沢山の試作と失敗を重ねてきたなかで選ばれた3つのクッキーが今回参加者に配られました。

cookies
左がジャコ味の「湘南天国」、中央がクッキープロジェクトの始まりでもある「蛇の神様クッキー」、右がしらす味「シーラスの化石クッキー」。

クッキーの投票結果はイベントの最後に発表。
果たしてどのクッキーが選ばれるのか楽しみです。

クッキープロジェクトの次は、ムービー上映。
Vaccursの取り組みと施設の様子が綴られたショートムービー。
テレビのドキュメンタリー番組を数多く手掛けてきた映像作家、ディレクターの飯塚聡さんが、何故か今回のイベントの主催、運営、司会、そして雑務も全て担当しながら(!)作り上げたムービーです。

movie
ムービー上映中。

クッキーの制作風景、Vaccurs会議の模様、スタジオクーカ、カプカプ、のびやかの3施設での普段の様子、利用者さんたちと職員の日常の風景が、素晴らしいナレーション(飯塚さんの娘さんによるものだそう)と共に紹介されています。

ムービーに映し出される断片からは、Vaccursのプロフィールにある【おバカな福祉関係者】が、実は誰よりも真摯に福祉に取り組んでいる事が伝わってきます。
飯塚さんはこれからも、Vaccursに伴走しながらムービーを作っていくそうです。
面白くてユニーク、でも形が見えにくいVaccursの活動が映像という形になることで、より多くの人にダイレクトにその「面白いけど実は真摯な活動」が届くと感じました。
続編、続々編も楽しみです。

トークパート

イベントの後半はVaccursメンバーであるクーカの関根さん、カプカプの鈴木さん、のびやかの神沼さんの3人と、イベント会場であるKAAT芸術劇場の職員である中野敦之さんによるトークライブ。

トークライブのテーマは「Vaccurs的に考える共生共創社会」。
神奈川県が掲げる「ともに生きる、ともに創る」共生共創事業の文化事業を県から請け負うKAATの拠点で実施された今回のイベントに合わせたテーマです。
Vaccursメンバー、カプカプの鈴木さんからは開口一番
「共生共創という言葉のもつ胡散臭さ」についてのトーク。
表面的にではなく、本気で共生共創について考えている鈴木さんの想いがそこにはありました。

KAAT中野さん
右がKAATの中野さん、左はカプカプの鈴木さん。

KAATの中野さんはVaccursのイベントの企画が持ち上がった時にそのユニークな視点と活動に「これはなんか面白いぞ!」とKAATの職員としてではなく、個人として(KAATの有志も一緒に)Vaccursの会議に参加。
鈴木さんの言う「胡散臭さ」の本質を理解し、楽しんで積極的にイベントに協力。
劇団にも所属、演劇人でもある中野さんはクッキープロジェクトの奇想天外なクッキーレシピに衝撃を受け、レシピを暗唱出来るほど、その魅力にとりつかれたそうです。

関根さん、鈴木さん、神沼さんそれぞれの独自な視点から共生共創について、Vaccursの活動の根源となるもの、これからの展望(壮大な野望?)と色々なトークが飛び交いました。

また、ムービーに登場した各施設の様子についても話が及びました。

ムービーに登場したカプカプやのびやかでの利用者さんの日常生活。
・大好きな○○君への激しい執着をもつ利用者さんが、毎朝カプカプ職員の鈴木まほさんと行う、思いを成仏させる儀式(お経を唱えて思いを箱に入れることで成仏させる)
・施設での紙漉き作業のため、ちぎった紙を口に入れ噛み続けるのびやかの利用者さん
・毎日必ず一つ、施設から何か物を選んで持ち帰ることが日課ののびやかの利用者さん。職員が用意した中から毎日2~3時間かけて持ち帰るものを却下したりしながら選んでいる様子。

鈴木さん

生産性を求める作業や仕事からは外れてしまうであろう、その一人一人の日常。
行動規範にそぐわない困った行動は「問題行動」といわれ、居場所を得にくい人たちも存在しています。

カプカプでは、それを自然に受け入れ、楽しむこと。
また、それ自体、カプカプ自体をオープンに見せる事で、訪れる人たちもその場に参加する日常空間として地域に溶け込んでいます。
そうしてカプカプのあるひかりが丘団地で、本当の共生共創に向けて日々活動を続けています。

カプカプのつくりかた
カプカプの本。

のびやかの神沼さんは、紙を咀嚼している利用者さんについての対応について聞かれ、「私達が彼に対して出来る事はそっと口元に手を差し出すことでしょうか」と答えていました。
飲み込むわけではなく、ガムのように噛んでいるだけだとわかっているので、やめさせるのではなく、紙を吐き出す手を差し出す=それが自分達ができるサポートだという神沼さんの話は深く印象に残るものでした。

神沼さんトーク
もの静かな神沼さんの、優しくも深い話が印象的。

静かに熱いトークライブもあっという間に時間が過ぎ、最後にクッキーの投票結果の発表です。

クッキー結果発表1
投票結果の発表

名誉ある商品化第一号として選ばれたのはこちら。

1位
蛇の神様クッキー

長年迷走を続けたクッキープロジェクトの商品化第一号が遂に実現するのか?と聞かれた関根さんは一言「まだ納得いってないんだよね。」!!!

クッキー1位

果たしてVaccursクッキープロジェクトにゴールはあるのでしょうか?(笑)

司会の飯塚さん曰くVaccursらしい「もやもや」した最後で今回のイベントは締めくくられました。

面白いけれどもふざけているわけではない、熱い真摯な想いが根底に流れる、なんとも不思議なVaccursの世界。

福祉関係者も無関係者も誰でも参加できる商品企画会議Vaccurs。
毎月一回神奈川県の3施設のいづれかで行われています。
「なんか面白そう」「なんだかよくわからないけど覗いて見たい」と思った方はVaccursのFacebookを是非チェックしてみて下さい。

実は筆者、坂東も参加しています!へへ(笑)

Vaccurs /Facebook: https://www.facebook.com/Vaccurs