「子どものため」だけでは足りない?新しい保育の視点【川名美雄氏の著書】
社会福祉法人絆友会の理事長である川名美雄氏は、長年の保育士経験の中で、二つの大きな違和感を感じていたと述べています。一つは、子どもの遊びに必要な備品の購入に時間がかかり、自費購入すれば叱責されるという硬直した仕組み。もう一つは、行事や活動において全員に一律の行動を求め、園長の価値観が子どもや職員に優先されるトップダウンの風土でした。
こうした経験から、川名氏は子どもが笑顔で過ごすためには、日々そばにいる保育士が疲弊せず、自分の強みを生かして働ける環境が不可欠であると考えました。また、保護者を単なる「サービスの受け手」ではなく、園と共に子どもを育てる「チームの仲間」として支えることの重要性も強調しています。
本書は、子ども・保育士・保護者の全員が主役となることを保育の質の土台として捉え直し、以下の3つの転換点を通じて、新しい保育のあり方を提案しています。
子どもが「自分で選ぶ」保育の実現

本書で提唱される一つ目の転換は、「全員一律」の保育から「一人ひとりの選択」を尊重する保育への移行です。見栄えを重視した行事や大人の得意分野を子どもに押し付けるのではなく、多様な経験の中から子どもたちが自らの好きなことを見つけ、自分で考え、選択する権利を尊重する保育を目指します。
保育士の「自己犠牲」をなくす働き方改革【心理的安全性と裁量】
二つ目の転換は、保育士の「自己犠牲」を前提としない組織づくりです。業務負担を減らすだけでなく、複数担任制の導入、手厚い新人育成、心理的安全性の確保、そして現場の裁量を尊重した予算運用(例:1万円以内の購入は担当保育士が判断可能)を通じて、保育士が笑顔で子どもと向き合える環境を整備します。
また、ICT(情報通信技術)の積極的な活用も特徴です。一人一台のPC、クラスごとのiPhone、連絡帳アプリの導入、さらには加工機器やロボット掃除機、用務員の配置により、保育士が雑務から解放され、子どもと関わる時間を十分に確保できる仕組みが実践されています。
保護者・地域との「子育ての仲間」になる関係性構築【絆友会の実践】
三つ目の転換は、保護者を「お客様」ではなく「子育ての仲間」として捉える関係性の構築です。写真や動画の共有、子育て講座の開催などを通じて、保護者の孤立や不安を軽減し、家庭、園、地域が一体となって子どもの成長を支えるチームとなることを目指します。
社会福祉法人絆友会では、異年齢保育、卒園児や地域の小中高生ボランティア、高齢者との交流などを通じて、助け合いの経験を保育の場に取り戻しています。さらに、保育園に隣接する児童発達支援事業所で相談しやすい環境を整え、こども食堂では在園児に限らず地域の子どもたちに食事と居場所を提供し、地域との「絆」を深めています。
「ちっちゃなまち」構想:世代と制度の境界を越えた地域のセーフティネット
本書が描く究極の目標は、保育園を核とした「ちっちゃなまち」構想です。これは、児童発達支援、学童保育、多目的交流施設、医療、就労支援、高齢者福祉などが連携し、子どもから高齢者まで、障がいの有無や国籍、世代を越えて生涯を通じて支え合える地域のセーフティネットを構築するという壮大なビジョンです。
川名氏からのメッセージは、「ないなら、本気で創る」というものです。業界の現状を嘆くのではなく、自ら実践し、成功例を惜しみなく共有することで、福祉の「未常識」を社会の「希望」へと変え、同じ志を持つ仲間とともに、子どもも大人も主役になれる社会を創造することを呼びかけています。
著者情報と書籍詳細【購入方法】
著者プロフィール
川名 美雄(かわな よしお)氏:社会福祉法人絆友会 理事長。1984年、埼玉県草加市生まれ。保育現場での経験から「子どもも大人も主役になれる舞台」を自ら創ることを決意し、2016年に社会福祉法人絆友会を設立。現在は保育所5施設と児童発達支援2事業所を運営し、年間延べ2,000名以上が参加する保育士等キャリアアップ研修にも取り組んでいます。
書籍情報
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書名: 『みんなが主役の保育園~ 子どもと親と保育士が地域の絆で笑顔を創る~』
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著者: 川名 美雄(社会福祉法人絆友会 理事長)
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刊行予定: 2026年9月10日
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発行: 恒健社
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価格: 電子書籍 1,980円(税込)/POD書籍 2,970円(税込)
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ISBN: ISBN978-4-911210-02-4
予約・販売
本書はAmazon等の書籍販売サイトで販売予定です(一般書店の店頭販売は予定していません)。
まとめ:保育現場と地域社会の未来を考える一冊
『みんなが主役の保育園』は、単なる保育の実践書に留まらず、子どもを中心に据えつつ、保育士の働きがい、保護者との連携、そして地域全体での子育て支援といった多角的な視点から、現代の保育現場が抱える課題に対する具体的な解決策を提示しています。
保育に携わる方々、子育て中の保護者、そして地域で福祉に関わるすべての方々にとって、本書は、子どもたちの笑顔を育み、より豊かな地域社会を築くための羅針盤となることでしょう。
社会福祉法人絆友会の取り組みや詳細については、以下の公式サイトをご覧ください。

