障害福祉の可能性を切り拓き、社会に「異彩(いさい)」を放ち続ける株式会社ヘラルボニーが、新たな試みとしてローカルラジオ番組「矢野智美のISAIPARKラジオ」をスタートさせます。本記事では、障害福祉やダイバーシティに関心のある読者に向けて、新番組の概要や「できないことは、そのままに」という独自の考え方、音声・文字・イラスト・映像を組み合わせた画期的な情報アクセシビリティの取り組みを解説します。
📌 この記事で分かること
- 株式会社ヘラルボニーが開始するラジオ番組「矢野智美のISAIPARKラジオ」の概要と放送情報
- 「できないことは、そのままに」という独自の番組コンセプトと誕生の背景
- 「聴く・読む・見る」という多角的な情報アクセシビリティ(バリアフリー発信)の工夫
- ヘラルボニーが目指す障害福祉のイメージ変容とビジネスを通じた社会貢献
- 障害福祉や番組に関するよくある質問(Q&A)
ヘラルボニーが描く障害福祉の未来と「矢野智美のISAIPARKラジオ」の概要
ヘラルボニー初のレギュラーラジオ番組が岩手からスタート
岩手県盛岡市に本社を置く株式会社ヘラルボニーは、2026年10月6日(火)より、IBC岩手放送にて新ラジオ番組「矢野智美のISAIPARKラジオ」の生放送を開始します。
この番組は、ヘラルボニーにとって初となるレギュラー番組です。拠点である岩手・盛岡から、多様な人々の声や表情、そして暮らしの中で気付いた地域の魅力を届ける地域密着型のローカル番組として企画されています。
「矢野智美のISAIPARKラジオ」の放送日時・配信メディア一覧
番組の基本情報および配信メディアは以下の通りです。
| 項目 | 詳細内容 |
|---|---|
| 番組名 | 矢野智美のISAIPARKラジオ |
| 放送局 | IBC岩手放送 |
| 放送日時 | 毎週火曜日 16:30〜16:45(15分間生放送) |
| 放送開始日 | 2026年10月6日(火) |
| パーソナリティ | 矢野智美(ヘラルボニー広報 / 元テレビ岩手アナウンサー) |
| 音声配信メディア | radiko(タイムフリー1週間)、Apple Podcasts、Spotify、Amazon Music |
| 映像配信メディア | YouTube(IBC岩手放送公式チャンネル) |
💡 専門用語解説:「障害福祉」とヘラルボニーの「異彩」とは?
- 障害福祉(しょうがいふくし): 身体・知的・精神などに障害を持つ人々が、地域社会で自分らしく安心して生活できるよう支援する制度や取り組み全般を指します。
- 異彩(いさい): ヘラルボニーが掲げるミッション「異彩を、放て。」に由来する言葉です。障害を持つ作家や人々の個性を「欠落」ではなく「独特の才能や輝き(異彩)」として捉え直し、社会に新しい価値を提案する考え方を象徴しています。
「できないことは、そのままに」— 個性を魅力に変える番組コンセプト
元アナウンサー・矢野智美氏の経験から生まれたルビとひらがな進行表
番組パーソナリティを務める矢野智美氏は、アナウンサー時代に「緊張するとニュース原稿の漢字が記号のように見えてしまう」という課題を抱えていました。当時はその克服を目指すのではなく、すべての漢字にルビ(ふりがな)を振るという自分なりの工夫で放送に臨んでいたとされています。
今回の「矢野智美のISAIPARKラジオ」では、かつて隠していたその工夫を番組づくりの根幹に据えています。決められた厳密な台本は用意せず、手元にはひらがなを中心とした簡単な進行表のみを置いて生放送に挑みます。
「できないことを克服するのではなく、自分に合った方法をつくり、その場の対話を届ける」という姿勢は、障害福祉における多様性の尊重や合理的配慮の精神にも通じるアプローチと言えます。
【番組コンセプト:ISAIPARKで、会いましょう】
盛岡にある架空の公園「ISAIPARK」。特別な遊具があるわけではなく、アートがあり、人が集まり、お茶を飲んだり会話を楽しんだりする場所。何かをするためでなくても「そこにいていい場所」という安心感のあるラジオ番組を目指しています。
💡 専門用語解説:「ルビ」と合理的配慮(個別に合わせた工夫)
- ルビ(ふりがな): 漢字の読みを示すために添えられる小さな文字のことです。発達障害や難読症(ディスレクシア)を持つ人、あるいは本件のように強い緊張状態で文字認識が難しくなる人にとっても、視覚的なサポートとなります。
- 合理的配慮(ごうりてきはいりょ): 障害のある人が社会の中で不便や障害(バリア)を感じた際に、個々の状態に合わせて提供される過度な負担とならない範囲での変更や調整のことです。環境や手段を変えることで、誰もが参加しやすい状態をつくります。
「聴く・読む・見る」で届ける情報アクセシビリティの新しいカタチ
音声だけに頼らない多角的なメディア展開
一般的にラジオは「音声(耳)」で楽しむメディアですが、音声だけによる発信は、聴覚に障害のある方や音を聞き取ることが難しい環境にいる方にとってアクセスしにくい場合もあります。
そこで「矢野智美のISAIPARKラジオ」では、ラジオの側に複数の入口をつくる「聴く・読む・見る」という多角的なアプローチが採用されています。
- 聴く|ラジオ・radiko・Podcast IBC岩手放送の地上波生放送に加え、radiko(タイムフリー機能で1週間聴取可能)や主要なポッドキャスト(Apple Podcasts、Spotify、Amazon Music)で全国から配信を楽しめます。
- 読む|放送内容のテキスト化(文字起こし) 放送後、番組公式サイトにトーク内容の全文文字起こしが掲載されます。耳で聴くことが難しい方でも、文字を読むことで番組内容を把握できます。
- 見る|グラフィックレコーディング 一部の放送では、会話の流れやキーワード、ゲストとの関係性がイラストと文字で可視化されます。直感的に内容を理解しやすい工夫が施されています。
- 見る・感じる|スタジオ風景の映像配信 IBC岩手放送の公式YouTubeチャンネルにて、スタジオ内の放送風景が映像で公開されます。話し手の表情や身振り手振りが伝わることで、音声だけでは得られない臨場感を届けています。
💡 専門用語解説:「情報アクセシビリティ」と「グラフィックレコーディング」
- 情報アクセシビリティ: 高齢者や障害者を含めた誰もが、必要な情報に円滑にアクセスし、利用できる状態のことを指します。音声・文字・映像など多様な手段を用意することが重要とされています。
- グラフィックレコーディング(グラレコ): 対話や議論の内容を、文字だけでなくイラストや図形を用いてリアルタイムに整理・可視化する記録手法のことです。情報を視覚的に把握しやすくなるという特徴があります。
障害福祉のイメージを変えるヘラルボニーのビジネスモデルと社会貢献
障害のある作家とともに生み出す「アートIPライセンス」の仕組み
番組の企画元である株式会社ヘラルボニーは、「異彩を、放て。」をミッションに掲げ、福祉を起点とした新たな文化創出を目指すクリエイティブカンパニーです。
ヘラルボニーでは、主に以下のような事業を展開しています。
- アートIPライセンス管理 障害のある作家が描いた2,000点以上のアート作品をIP(知的財産)として管理し、企業商品やプロダクトに活用しています。
- 正当なロイヤリティ還元 アート作品の商業利用を通じて正当なロイヤリティを作家に支払うことで、持続可能なビジネスモデルを確立しています。
- 多角的な事業展開 自社ブランド「HERALBONY」の運営をはじめ、企業との共創事業、空間プロデュース、国際アートアワード「HERALBONY Art Prize」の主催などを展開しています。2024年にはフランス・パリに「HERALBONY EUROPE」を設立し、グローバルな発信も進められています。
単なる支援や慈善事業としてではなく、ビジネスやアートという市場で正当な評価を行う姿勢は、福祉業界全体に新たな選択肢を示していると考えられます。
💡 専門用語解説:「IPライセンス」とロイヤリティ
- IPライセンス(知的財産権の利用許可): アート作品やデザインなどの著作権(知的財産=IP)を、第三者が利用する対価として契約を結ぶ仕組みのことです。
- ロイヤリティ(対価): 著作物を利用した企業が、その使用料として創作者(作家)に支払う報酬のことです。福祉の分野において作家の経済的自立を支える手段の一つとなっています。
Q&A

Q1: 岩手県外に住んでいても番組を聴くことはできますか?
A1: はい、インターネットやアプリを通じて全国から聴くことができます。 地上波放送(IBC岩手放送)はエリア限定ですが、radiko(エリアフリー機能やタイムフリー機能)や、Apple Podcasts、Spotify、Amazon Musicなどのポッドキャストプラットフォームで配信されます。また、YouTubeでもスタジオ風景が公開される予定です。
Q2: 耳が聞こえにくい場合でも番組を楽しめる工夫はありますか?
A2: 番組公式サイトでの文字起こし(テキスト掲載)やグラフィックレコーディングが用意されています。 放送後に番組公式サイトへトーク内容のテキストが掲載されるほか、一部の放送ではイラストと文字で会話を整理したグラフィックレコーディングやYouTubeでの映像配信が行われるため、文字や視覚情報として楽しむことができます。
Q3: 「ISAIPARKラジオ」のタイトルにある「ISAIPARK」とは実在する施設ですか?
A3: 実在する公園ではなく、番組が掲げる架空のコンセプト空間です。 盛岡にある架空の公園をイメージしており、「何かをするためでなくても、そこにいていい場所」という温かい居場所のような雰囲気をラジオ番組として表現しています。
まとめ:ヘラルボニーの発信から学ぶ障害福祉の新たな可能性

株式会社ヘラルボニーが新たにスタートさせる「矢野智美のISAIPARKラジオ」は、単なる地域のラジオ番組にとどまらず、「できないことをそのまま活かす姿勢」や「誰もがアクセスできる多角的な情報発信」という、障害福祉の未来に向けた大切なメッセージを含んでいます。
ラジオというメディアに「聴く・読む・見る」という複数の入口を設ける試みは、障害の有無にかかわらず、多様な人々に情報を届けるための素晴らしいアイデアと言えます。
ヘラルボニーの挑戦や「異彩」に触れることで、日常の工夫や個性の捉え方、そして障害福祉への関心がより一層深まるきっかけとなることが期待されます。
参考リンク・公式情報
- 番組公式サイト:https://www.ibc.co.jp/radio/isai/
- 株式会社ヘラルボニー コーポレートサイト:https://www.heralbony.jp

