この記事で分かること
- 障害者アートが注目される背景と、企業内での活用事例(パーソルグループの最新事例)
- パーソルグループ3社による「笑顔」をテーマにしたアート提供・展示の取り組み概要
- 特例子会社や就労継続支援A型事業所など、障害福祉における多様なはたらき方の仕組み
- 企業が**DEI(多様性・公平性・包摂性)**を推進することによる職場環境や社内コミュニケーションへの影響
近年、福祉の枠組みを超えて企業経営やオフィスの空間づくり、CSR・CSV活動として「障害者アート」を導入する動きが広がりを見せています。障害のある方が制作したアート作品は、描いた人の個性を伝えるだけでなく、職場で共感や対話を生み出すきっかけとしても注目されています。
本記事では、2026年9月に発表されたパーソルグループ3社によるアート作品の提供と、パーソルテンプスタッフ新本社での展示事例を通じて、障害福祉と企業雇用が連携する意義やDEI推進のヒントを解説します。特例子会社や就労継続支援A型といった専門用語の基礎知識もまとめています。
障害者アートが注目される背景と企業雇用の現状
障害者アート(障害福祉×アート)が持つ可能性とは?
障害者アートとは、障害のあるアーティストや社員が自由な発想や独自の感性で表現した絵画、立体作品、デジタルアートなどを指します。従来の福祉的な支援活動にとどまらず、クリエイティブな才能の発揮や経済的自立の支援、さらには社会との新たなつながりを創出する手段として評価が高まっています。
企業にとっても、障害者アートをオフィス装飾や広報ノベルティ、プロダクトデザインなどに活用することで、「多様性の尊重」や「誰もが自分らしく活躍できる環境づくり」を具体化する取り組みとして導入が進んでいます。
企業における障害者雇用とDEI(多様性・公平性・包摂性)推進の重要性
法定雇用率の引き上げなどを背景に、多くの企業で障害者雇用の取り組みが加速しています。そうした中で重要視されているのがDEI(ディ・イー・アイ)の視点です。
- DEI(Diversity, Equity & Inclusion)の専門用語解説
- Diversity(多様性): 性別、年齢、国籍、障害の有無など、多様な背景を持つ人々が集まっている状態。
- Equity(公平性): 一人ひとりのスタートラインや課題に応じた適切な配慮・機会を提供すること。
- Inclusion(包摂性): 互いの違いを認め合い、すべての人が組織の一員として活かされていると感じられる状態。
単に障害のある方を雇用するだけでなく、職場全体で相互理解を深め、一人ひとりの強みを活かせる文化を作ることが、定着率の向上や社内イノベーションにつながると考えられています。
【事例紹介】パーソルグループ3社による「笑顔」をテーマにしたアート展示の取り組み
パーソルグループのビジョン「はたらいて、笑おう。」から生まれた全34作品の展示
2026年9月30日、パーソルダイバース株式会社、パーソルエクセルアソシエイツ株式会社、パーソルネクステージ株式会社の3社は、障害のある社員が制作したアート作品34点をパーソルテンプスタッフ株式会社へ提供したことを発表しました。
今回の作品募集は、パーソルグループのビジョンである「はたらいて、笑おう。」にちなみ、「笑顔」をテーマに行われました。3社の障害のある社員が、それぞれの思い描く「笑顔が生まれる瞬間」や温かな想いを自由に描き、計34点の作品が集まりました。これらの作品は、2026年10月5日よりパーソルテンプスタッフの新本社にて展示される予定です。
| 項目 | 概要 |
|---|---|
| 展示開始日 | 2026年10月5日~(予定) |
| 展示場所 | パーソルテンプスタッフ新本社(東京都新宿区・新宿イーストサイドスクエア内 執務室エリア) |
| 展示作品数 | 全34作品 |
| テーマ | 笑顔(グループビジョン「はたらいて、笑おう。」に連動) |
| 提供会社 | パーソルダイバース、パーソルエクセルアソシエイツ、パーソルネクステージ |
社内コミュニケーション活性化と相互理解を促すオフィス空間の設計
パーソルテンプスタッフ新本社のオフィスコンセプトは「集い、まじわり、創り出す。」です。多様な社員が集い、交流を通じて新たな価値を創出する場づくりを目指しています。
当初は応募作品の中から10作品を選出して展示する計画でしたが、応募作品一つひとつに込められた想いや個性、表現の豊かさを届けるため、展示スペースを活用して応募された全34作品を展示することへと変更されました。
パーソルテンプスタッフの取締役執行役員である大垣内好江氏は、作品の温かな想いや発想から大きな力を感じているとし、新本社に集う社員の偶然の出会いや対話を生み出し、相互理解と新たな価値創造へとつながることを願っている旨を表明しています。アート作品がオフィスに並ぶことで、立ち止まった社員同士が自然と会話を交わし、多様性への理解を深めるきっかけになることが期待されています。
出展作者の想いと個性が光るアート作品の紹介
提供されたアート作品には、作者一人ひとりの温かい願いや多様性へのアプローチが込められています。プレスリリースで紹介された主な作品と作者のコメントをご紹介します。
- 作品名:『あなたに花冠を』
- 作者: 半田 友紀乃 氏(パーソルダイバース株式会社)
- 想い: 温かい気持ちが伝わる絵を目指して描かれており、ご覧になった方に笑顔が届くようにという願いが込められています。
- 作品名:『笑顔の記録』
- 作者: 溝上 結希 氏(パーソルエクセルアソシエイツ株式会社)
- 想い: 楽しいことや嬉しいことを花に例え、笑顔が絶えない良い思い出をキャンバスに記録して残したいというイメージで制作されています。
- 作品名:『七色の音、笑顔』
- 作者: 秋永 陽 氏(パーソルネクステージ株式会社)
- 想い: 身近な「ドレミファソラシ(7つの音)」と虹が持つ「7色」の共通点に着目し、身近さとお互いの多様性を認め合うことで、その先に笑顔が待っているという温かなつながりへの願いが表現されています。
障害福祉における多様なはたらき方を支える仕組みと用語解説
障害のある方がそれぞれの強みを活かして活躍するためには、適切な就労支援や環境整備が欠かせません。今回のアート提供に関わったパーソルグループ各社の事業領域から、障害福祉の代表的な仕組みを解説します。
特例子会社とは?障害者の強みを活かす雇用形態の解説
- 特例子会社(とくりつけいがいしゃ)の定義 障害者の雇用促進と安定を図るため、事業主が特別な配慮をした子会社を設立し、一定の要件を満たすことで親会社の障害者雇用率に合算・参入できる仕組みです。
今回作品を提供したパーソルダイバース株式会社は、パーソルグループの特例子会社として「障害者雇用を成功させる。そして、その先へ。」をミッションに掲げ、障害者の転職・就職支援サービス「dodaチャレンジ」や就労移行支援事業所「ミラトレ」「Neuro Dive」などの運営、雇用コンサルティングを手掛けています。
また、大阪を拠点とするパーソルエクセルアソシエイツ株式会社も特例子会社であり、「ともにはたらき、成長する。」をミッションとして、オフィスサービス、クリーンサービス、パティスリー(焼き菓子製造)、アグリ(農業)の4事業を展開し、多様な就労機会を提供しています。
特例子会社では、障害特性に合わせたバリアフリー環境や専門スタッフによるサクセス支援が整っており、個々の能力を十分に発揮しやすい環境が作られているのが特徴です。
就労継続支援A型とは?就労移行支援との違いと特徴
- 就労継続支援A型の定義 障害や難病のある方に対し、雇用契約を結んだ上で就労の機会を提供し、生産活動を通じて知識や能力の向上を目指す障害福祉サービスです。原則として都道府県の最低賃金が適用されます。
パーソルネクステージ株式会社は、“「はたらく」に、ボーダレスな世界を。”をミッションに設立され、この「就労継続支援A型」事業を展開しています。障害の状況に応じた多様な働き方を提案し、企業とのミスマッチ解消に取り組んでいます。
- 【比較】就労支援サービスの主な分類
- 就労移行支援: 一般企業への就職を目指す方向けのトレーニング期間(最長2年)。
- 就労継続支援A型: 雇用契約を結び、給料を得ながら働く形態。
- 就労継続支援B型: 雇用契約を結ばず、授産活動などの対価として工賃を受け取りながら自分のペースで働く形態。
このように、多様な選択肢が存在することで、一人ひとりの状態や目標に合わせたステップアップが可能となっています。
Q&A

Q1. 障害者アート作品をオフィスに飾ることでどのような効果が期待できますか?
A. オフィスに障害者アートを飾ることで、働く空間に温もりや彩りが生まれるだけでなく、社員が作品や作者に想いを巡らせることで対話や偶然の出会いが生まれるとされています。また、多様性への関心や理解が深まることで、社内の包摂的な文化(インクルージョン)を育むきっかけとしても有効であると考えられています。
Q2. パーソルテンプスタッフ新本社でのアート展示は一般の人も見学できますか?
A. 今回の展示はパーソルテンプスタッフ新本社の執務室エリア内で行われるため、一般公開は行われていません。社内で働く社員や来訪する関係者が鑑賞できる空間となっており、主に社内の相互理解やコミュニケーション促進を目的として運用されています。
Q3. 障害のある方がアート活動や仕事で活躍するための支援にはどんなものがありますか?
A. 特例子会社や就労継続支援事業所、企業連携プログラムなど、多様な枠組みが存在します。また、企業側が業務内容や環境を整える「合理的配慮」を行うことで、個々のスキルや得意分野を発揮できる機会が増加しています。
まとめ:障害者アートと多様な雇用支援が創る誰もが生きやすい社会へ

障害のある社員によるアート作品34点をオフィスに展示するパーソルグループの取り組みは、障害者雇用やDEI推進を身近に体感できる優れた事例です。
- アートを通じて表現された想いや個性は、オフィス内で新しい対話や相互理解を生み出す。
- 特例子会社や就労継続支援A型といった制度・事業構造が、障害のある方の多様な働き方を支えている。
- 多様性を認め合い、強みを活かせる職場環境づくりが、グループビジョンである「はたらいて、笑おう。」や“はたらく Well-being”の実現へとつながる。
障害福祉や障害者アートへの関心を持つことは、私たちが共に暮らしやすい社会について考える第一歩となります。企業や地域、福祉事業が連携し、誰もが自分らしく活躍できる未来に向けた取り組みが、今後さらに広がっていくことが期待されます。

