発達特性(ADHD・ASD等)のある子への接し方に悩んでいませんか?小児科専門医・西村佑美氏が教員イベント「先生の学校2026」で伝えた、エビデンスに基づく「褒め方」と行動の理由を探るアプローチを徹底解説。明日から教室や家庭で実践できる具体的な声かけテクニックや成果データ(教員167名の満足度100%)を紹介します。
「授業中に席を立ってしまう」「注意しても何度も同じことを繰り返す」「どのように褒めれば伝わるかわからない」——教室や家庭で子どもと向き合う中で、このような悩みを抱えていませんか?
文部科学省の2022年の調査によると、通常の学級に在籍しながら学習面や行動面で著しい困難を示す児童生徒は8.8%(小学1年生では12.0%)にのぼり、30人学級であれば3〜4人に相当します [17]。発達特性のある子への関わり方は、特別支援学級だけでなく、すべての教員・保護者にとって避けて通れないテーマとなっています。
本記事では、一般社団法人日本小児発達子育て支援協会代表理事で小児科専門医の西村佑美(にしむら ゆみ)氏が、教員向けイベント「先生の学校2026」や自治体研修(沖縄県立総合教育センター)等で発信した、エビデンスに基づく子どもへの関わり方を解説します。
この記事で分かること
- 発達特性のある子の「困った行動」の裏にある本当の理由と捉え方
- 応用行動分析(ABA)やペアレントトレーニングに基づく「科学的な褒め方」4つの技術
- 教職員167名が受講し「満足度100%」を記録した研修で得られたリアルな学びと変化
- 専門医の医学的根拠×当事者家族の実体験が選ばれる理由とおすすめ書籍・学習導線
学校の教室や毎日の家庭生活の中で、子どもに対して「また叱ってしまった」「どうして指示通りに動けないのだろう」と落ち込むことは誰にでもあります。
「静かにしなさい!」「ちゃんと聞きなさい!」と叱り続けると、子どもは「自分はダメな子だ」と否定感を強め、学校不適応や不登校といった二次障害を引き起こす原因になってしまいます。
しかし、根性論や感覚的な指導に頼る必要はありません。現在では、応用行動分析(ABA)やペアレントトレーニングなど、研究によって効果が実証された「子どもへの関わり方」が体系化されています。
専門医であり、最重度自閉症の姉を持つ「きょうだい児」、そして発達特性のある子を含む3児の母である西村佑美医師の知見から、明日からすぐ使える声かけの秘訣を紐解いていきましょう。
検索意図分析|なぜ今、発達特性への「新しいアプローチ」が必要なのか?
通常学級の12%が抱える発達上の困難(文科省データ)
文部科学省が2022年12月に発表した調査によると、通常学級に在籍する児童生徒のうち、発達障害の可能性のある著しい困難を抱える割合は小・中学校で8.8%、小学1年生では12.0%となっています。これは30人学級でおよそ3〜4人が該当する計算です。つまり、発達特性への理解と支援は、特定の専門家だけのものではなく、「すべての通常学級の担任教員や保護者に関わる必須のスキル」となっています。
「叱る・やめさせる」指導が二次障害を招くリスク
行動の表面だけを見て「やめさせよう」と叱り続ける指導は逆効果になりがちです。否定され続けた子どもは自己肯定感を低下させ、「自分はダメかもしれない」という思いから、不登校などの二次障害へとつながるおそれがあります。
小児科専門医・西村佑美氏が伝える「発達特性」3つの視点

西村佑美医師が教員イベント「先生の学校2026」などで提示した核心メッセージは以下の3点です。
- AI時代、「普通じゃない」ことは強みになる
- 子どもの「困った行動」には必ず理由がある(氷山の一角)
- 研究エビデンスに基づく声かけ・介入を身につける
1. AI時代、「普通じゃない」ことは強みになる
AIが普及する現代において、AIが持たない人間らしさや創造性は、いわゆる「普通じゃない」ユニークな部分に宿ります。例えば、ADHDの特性を持つ子は「席を立つ」「思いついたらすぐ発言する」ことで叱られやすい反面、その行動の裏には優れた「ひらめき」や「発想力」が潜んでいます。全員が同じ行動をすることを目指すのではなく、特性を強みとして伸ばす視点が求められています。
2. 子どもの行動には必ず理由がある
目に見える「立ち歩く」「すぐ手が出る」といった困った行動は、海の上に浮かぶ「氷山の一角」に過ぎません。 やめさせようと焦る前に、「なぜこの子は今この行動をとっているのか?」を探偵のように背景を探ることが解決への第一歩となります。
3. 「特性のある子に限らない」学級・家庭全体へのユニバーサルデザイン
「先生の学校2026」の分科会にて、参加した教員から「それって、特性のある子に限らない話ですよね?」という質問が寄せられました。まさにその通りで、発達特性のある子に配慮したエビデンスに基づく声かけや捉え方は、学級全体のすべての子ども、あるいは兄弟姉妹全員に良い影響を与える万能なアプローチなのです。
科学的根拠(エビデンス)に基づく具体的な「褒め方・声かけ」4つの技術

西村医師の講演・著書で紹介されている手法は、いずれも国内外の研究で効果が立証されている手法をベースにしています [4, 12, 16]。忙しい現場でも明日からすぐに実践できる4つのポイントにまとめました [11, 13]。
① 肯定的注目:良い行動をそのまま言葉にして返す(ペアレントトレーニング・PCIT)
子どもが望ましい行動(座っている、静かに話を聞いている、手元に集中している等)をしている瞬間を見逃さず、「〜しているね」とその状態をそのまま言葉にして伝えます。 特別な大成功でなくても、「今、鉛筆を持てたね」「静かに座って待てているね」と肯定的な注目を与えることで、子どもはその行動を繰り返すようになります。
② 行動の理由を探る:直前のきっかけと直後の結果を見る(応用行動分析 ABA)
行動(Behavior)の直前に何が起きたか(Antecedent)、直後に何が起きたか(Consequence)を分析します。 「先生の注目を引きたいから立ち歩くのか」「課題が難しすぎて逃げたいから騒ぐのか」という理由が分かれば、根性論で叱るのではなく、課題の難易度を下げたり事前に声をかけたりする適切な介入が可能になります。
③ CCQ(Calm, Close, Quiet):落ち着いて・近づいて・静かな声で(ペアレントトレーニング)
どうしても注意や指示が必要な場面では、遠くから大声で怒鳴るのではなく、「Calm(穏やかに)」「Close(子どもの近くに寄って)」「Quiet(落ち着いた低い声で)」伝えます。 感情的な大声は子どもの脳に警戒感を与え、具体的な指示が伝わりにくくなるためです。
④ 自然な応答:無理に目を合わせようとさせない(ESDM)
「こっちの目を見なさい!」と強制することは、緊張を持つ子にとって負担になります。アーリー・スタート・デンバー・モデル(ESDM)等の知見に基づき、無理に目を合わせようとするのではなく、「ふと子どもと目が合った瞬間に大人が笑顔や言葉で応える」接し方が有効です。
教職員167名が受講!沖縄県研修&「先生の学校2026」のリアルな成果
西村佑美医師が登壇した沖縄県立総合教育センターの教員向け研修では、受講した教職員167名へのアンケートで高い成果が報告されています。
アンケート結果データ(満足度100%)
- 満足度: 「満足」86%、「どちらかというと満足」14%(満足度合計100%)
- 振り返り自由記述のキーワード集計:
| 振り返り自由記述のテーマ | 人数 | 割合 |
|---|---|---|
| 褒め方・肯定的注目に触れた | 87名 | 52% |
| 行動の理由や背景を探る視点に触れた | 52名 | 31% |
| 障害の捉え方(「治す」から「活かす」へ等)に触れた | 50名 | 30% |
| 「2学期から」「明日から」「すぐ実践できる」 | 42名 | 25% |
専門用語の解説
記事内で登場する用語を解説します。
- 発達特性: 生まれ持った脳の働き方の違いや個性のこと。ADHD(注意欠如・多動症)やASD(自閉スペクトラム症)などがあり、「治すもの」ではなく「理解して活かすもの」という捉え方が広がっています。
- 応用行動分析(ABA): 「人の行動は直前と直後の環境によって変化する」という法則を利用し、好ましい行動を増やす科学的手法。例えば「片付けができたらすぐ褒める」ことで片付けの習慣化を促す仕組みです。
- ペアレントトレーニング: 保護者や支援者が、子どもの行動観察や適切な褒め方・指示の出し方を学ぶ実践プログラム。「肯定的な注目」を与えるトレーニングが中心となります。
- 二次障害: 周囲からの不理解や「叱られ続ける体験」によって自己肯定感を損ない、不登校や学校不適応などを二次的に引き起こしてしまう状態。
- きょうだい児: 障害や慢性疾患を持つ兄弟姉妹がいる子どものこと。西村医師自身も最重度自閉症の姉を持つ「きょうだい児」として育ちました。
【比較表】従来の指導法 vs エビデンスに基づく最新のアプローチ
| 比較項目 | 従来の指導法(感覚・経験則) | エビデンスに基づくアプローチ(西村医師) |
|---|---|---|
| 子どもの捉え方 | 「立ち歩く=注意不足・反抗的」と捉える | 「行動には理由がある(強み・環境の課題)」と捉える |
| 目標設定 | みんなと同じようにできるように矯正する | 特性を強みとして伸ばし、ユニバーサルに活用する |
| 注意・叱り方 | 遠くから大声で「静かにしなさい!」と叱る | 近くにより落ち着いた声で伝える(CCQ) |
| 褒め方 | 大きな成果が出たときだけ「偉いね」と褒める | 望ましい行動をしている瞬間をそのまま言葉にする(肯定的注目) |
| 視線合わせ | 「こっちの目を見なさい!」と指示する | 目が合った瞬間に大人が自然に応える |
| 結果・影響 | 子どもが自己肯定感を損ない、二次障害のリスクが高まる | 自己肯定感が向上し、学級・家庭全体が安定する |
【Q&A】

Q1. 小さなことばかり褒めていると、子どもが調子に乗ったり甘えたりしませんか?
A. いいえ、調子に乗るのではなく「安心感と自己肯定感」が育ちます。「肯定的注目」は、おだてたりご機嫌をとったりすることではありません。「あなたが望ましい行動をしていることを大人が見ているよ」というメッセージを届ける作業です。土台となる安心感ができることで、子どもは自立的に挑戦できるようになります。
Q2. 毎日忙しくて、理想通りの声かけができない日はどうすればいいですか?
A. 「教科書通りにいかない日があって当たり前」と考え、自分を責めないでください。西村佑美医師自身も、3児の母としてイライラした日や教科書通りにいかなかった体験を語っています。大切なのは100点を目指すことではなく、「うまくいかなかったら明日また試してみよう」と気楽に切り替えることです。
Q3. この褒め方は、特別支援学級の子だけに有効なのですか?
A. 通常学級の子どもや、すべての兄弟姉妹に高い効果を発揮します。研修の振り返りでも「特性のある子に限らない話だ」と多くの先生が実感しています。肯定的な声かけと明確なルール設定は、学級全体・家庭全体の雰囲気を明るく改善します。
結論&次のステップ

発達特性のある子への関わり方は、一朝一夕で完璧になるものではありません。しかし、根拠のある方法を知り、小さな「肯定的注目」から始めることで、子どもの表情や行動は確実に変わり始めます。
1. まずは1冊から学びたい方へ(おすすめ書籍)
西村佑美医師の著書『発達特性に悩んだらはじめに読む本』(Gakken)は、研究で確かめられた声かけを、専門医の解説と母・きょうだい児としての体験談を交えて分かりやすくまとめた単行本です。 Amazonランキングでも4冠を達成し、累計1万4,000部を突破。保護者・教員必読のバイブルとなっています。
- 👉 『発達特性に悩んだらはじめに読む本』(Gakken)の詳細はコチラ
2. 研修・講演・相談コミュニティをご検討の方へ
一般社団法人日本小児発達子育て支援協会では、全国の小・中・高校、教育委員会、自治体、保育園・幼稚園向けの研修や講演会を受け付けています。また、保護者向けオンラインコミュニティ「子ども発達相談アカデミーVARY」等も運営されています。
- 👉 一般社団法人日本小児発達子育て支援協会 公式サイト
一般社団法人 日本小児発達子育て支援協会(CDPSA-JAPAN)
• 所在地:東京都港区北青山1丁目3番1号 アールキューブ青山3階
• 代表理事:西村 佑美(医師)
• 公式サイト:https://www.cdpsa-japan.net/
• お問い合わせ:office@cdpsa-japan.net
