📌 この記事で分かること

  • バリアフリーeスポーツとは何か:障害福祉分野で注目される新しい取り組みと株式会社ePARAの企業概要
  • 2026シーズンのグローバル展開:サウジアラビアの「Hawk Gaming Group」との戦略的提携および国際交流プロジェクト
  • 民間企業との「共創」事例:サイコム、Yogibo、JAPANNEXT、ウィルウェイ各社が担う役割と連携内容
  • 挑戦を象徴する新ユニフォーム:障害当事者(Jeni氏)がデザインしたユニフォームコンセプトとメッセージ
  • よくある疑問(Q&A):就労支援との関係性や個人・企業の参加方法

近年、「障害福祉」や「D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)」といった言葉を耳にする機会が増えています。その中でも、デジタル技術やゲームを活用して障害の有無に関わらず対等に競い合い、活躍の場を創出する「バリアフリーeスポーツ」という新しいアプローチが注目を集めています。

本記事では、バリアフリーeスポーツを推進する株式会社ePARA(イーパラ)が発表した2026シーズンのグローバルユニフォームや、国内外のパートナー企業との共創(きょうそう)の取り組みについて紹介します。


バリアフリーeスポーツとは?障害福祉に新たな可能性をもたらす株式会社ePARAの挑戦

株式会社ePARAの基本情報とミッション

株式会社ePARA(本社:埼玉県戸田市、代表取締役:加藤大貴)は、「個性を発掘し、未来をつくる。」をミッションに掲げ、障害の有無に関わらず誰もが自分らしく活躍できる社会の実現を目指している企業です。

同社では、企業メッセージとして「挑戦の、連鎖(コンボ)を決めろ。」、バリアフリーeスポーツ事業の合言葉として「本気で遊べば、明日は変わる。」を掲げています。事業内容としては、主に以下の3つの領域を展開しています。

  1. 就労支援事業:障害のある方の就労やキャリア構築をサポート
  2. バリアフリーeスポーツ事業:イベントや大会の企画・運営を通じて活躍の機会を創出
  3. 共創事業:企業や自治体、福祉事業者と連携した社会課題解決の取り組み

用語解説:バリアフリーeスポーツと「共創」の考え方

  • バリアフリーeスポーツ(Barrier-free Esports): 身体障害や精神障害、発達障害などの有無に関わらず、独自のアクセシビリティ設定や周辺機器の工夫、ルールの配慮などを用いて、あらゆる人が対等に参加・観戦できるように設計されたeスポーツの取り組みを指します。
  • 共創(Co-creation): 一方的な支援や寄付にとどまらず、企業、福祉事業者、行政、そして障害当事者が対等な立場でお互いの強みやアセットを持ち寄り、新たな社会的・経済的価値をともに創り出す手法と考えられています。

2026シーズンに向けて世界へ展開!グローバルパートナーとの連携と取り組み

中東サウジアラビアの「Hawk Gaming Group」との戦略的提携

株式会社ePARAは、2026年に向けバリアフリーeスポーツの取り組みをグローバルへ拡大することを目指し、公式パートナーを募集・決定したと発表しました。

プラチナパートナーとして選ばれたのは、サウジアラビアを拠点とするゲームおよびeスポーツ分野の総合企業「Hawk Gaming Group(Hawk GG)」です。

Hawk GG社は、サウジアラビアの国家成長戦略である「Saudi Vision 2030」や国家ゲーム・eスポーツ戦略(NGES)と連動し、同国を「The Center of the Game(ゲームの中心地)」とする国家戦略を支援する戦略的パートナーとして活動しています。

ePARAとHawk GG社は2025年9月にMOU(覚書)を締結し、日本とサウジアラビアをバリアフリーeスポーツで結ぶ国際交流を推し進めているとされています。また2025年には、日本の経済産業省資源エネルギー庁の「産油国石油精製技術等対策事業費補助金」に採択され、プロジェクト「ePARA × Saudi Vision 2030」を始動させています。

用語解説:MOU(覚書)とは?

  • MOU(Memo of Understanding / 覚書): 正式な契約締結の前段階などで、当事者間で合意した基本事項や協力関係の方向性を確認・共有するために作成される文書を指します。

3. 国内企業の「共創」が支える障害者支援!公式パートナー4社の役割

ePARAの活動は、グローバルパートナーだけでなく国内の多様な企業によるオフィシャルパートナーシップによって支えられています。

高性能機材で挑戦を後押しする「株式会社サイコム」と「株式会社JAPANNEXT」

  • 株式会社サイコム: BTOパソコンメーカーのサイコム社は、2021年7月より公式スポンサーとしてゲーミングPCを提供するなど、長年にわたり同社の活動を支えています。この機材環境により、障害当事者によるバリアフリープロジェクトチーム「Fortia(フォルティア)」や、岩手県八幡平市で定期開催されているイベント「ハチエフ」などの挑戦の場が作られていると紹介されています。
  • 株式会社JAPANNEXT: 日本の液晶モニター・ディスプレイメーカーであるJAPANNEXT社は、高品質なゲーミングディスプレイを提供し、「ハチエフ」をはじめとするイベントでの対戦環境構築に協力しています。

用語解説:BTOパソコンとは?

  • BTO(Build To Order)パソコン: 受注生産型のパソコンを意味します。市販の完成品とは異なり、利用者の用途や身体的状況、必要な操作性に合わせてパーツを選択できるため、障害のあるプレイヤーにとっても扱いやすい環境を整えやすい特徴があります。

課題解決と社会的投資を促進する「株式会社Yogibo」と「株式会社ウィルウェイ」

  • 株式会社Yogibo: Yogibo社は、社会課題の解決を図る団体への広告出稿を通じて課題解決を目指す「TANZAQプロジェクト」を展開しており、ePARAも参画しています。プロジェクト「LIFE IS 1CREDIT」のオリジナル製品開発やイベントでの物品提供などを通じ、互いが目指す社会像を共有する共創が行われています。
  • 株式会社ウィルウェイ: 「ソーシャルビジネスを花形にする」をミッションに掲げるウィルウェイ社は、持続可能な社会課題解決を目指す企業への投資・支援を行っています。ePARAの理念に共感し、オフィシャルパートナーとしてグローバル展開などの挑戦基盤をともに築く役割を担っているとされています。

用語解説:ソーシャルビジネスとは?

  • ソーシャルビジネス(Social Business): 福祉、環境、地域課題などの社会的な問題を、寄付や補助金だけに頼らず、持続可能な事業活動を通じて解決していくビジネスモデルのことです。

多彩なパートナー企業が参画する共創ネットワーク

これらの公式パートナーに加え、JR東日本スタートアップ株式会社、JR東日本スポーツ株式会社、ウェブルート株式会社、GNオーディオジャパン株式会社、岩崎電気株式会社、ビーウィズ株式会社、Brook Gaming、株式会社KIJ、汐留社会保険労務士法人といった様々な業界の企業が共創パートナーとして参画しています。


挑戦の波を起こす!2026シーズン新グローバルユニフォームのデザインと込められた想い

障害当事者デザイナー・Jeni氏が込めたコンセプト

ePARAの「ePARAユニフォーム」は、役割や障害の有無を問わず、ステートメントである「挑戦の、連鎖(コンボ)を決めろ。」や合言葉である「本気で遊べば、明日は変わる。」を体現する挑戦の場で着用されます。

2026シーズンの新デザインは、障害当事者であるJeni氏によって手掛けられ、以下のようなメッセージが込められていると説明されています。

  • 前面デザイン:障害当事者が世界へ挑戦していくための「静かな心の炎」を表現。
  • 背面デザイン:個々の行動が引き起こす「挑戦の、連鎖」による波及効果を「波」として表現。
  • 前面下部のワンポイント:オレンジ色のアクセントとともに、「本気で遊べば、明日は変わる。」の英語表記である「PLAY HARDER, BETTER TOMORROW」が刻まれています。

よくある質問(Q&A)

Q1. バリアフリーeスポーツは一般の障害福祉や就労支援とどのように結びついていますか?

A. ePARA社では、単にゲームを楽しむイベントにとどまらず、企画・運営やメディア発信、企業との共創を通じて、障害当事者がチームで働き、スキルを発揮する就労機会の創出へとつなげていると説明されています。ゲームを通じた社会参画が、自信の獲得や就職・キャリアアップのステップとなっています。

Q2. 障害のある人がeスポーツに参加・挑戦する場合、機材などのハードルはありませんか?

A. サイコム社やJAPANNEXT社をはじめとするパートナー企業の機材提供や技術支援により、参加者がプレイしやすい対戦環境の構築が行われています。また、各地で開催される体験イベントなどを通じて、一人ひとりの適性に応じたプレイ環境を体験できる工夫がなされています。

Q3. 企業や個人として、バリアフリーeスポーツの取り組みや障害福祉の共創に参加することは可能ですか?

A. 株式会社ePARAでは、活動をサポートする企業・個人、障害のある方、および共に活動を行いたい当事者の方を随時募集しています。同社の公式問い合わせフォームやメール、電話等を通じて連絡を取ることが可能と公表されています。


まとめ:障害福祉の未来を開くバリアフリーeスポーツと「共創」の力

今回は、株式会社ePARAが発表した2026シーズンのグローバルユニフォームとパートナーシップの取り組みについて解説しました。

  1. 福祉とエンターテインメントの融合: バリアフリーeスポーツは、障害の有無に関わらず誰もが主役になれる場を提供し、新しい障害福祉の姿を提示していると言えます。
  2. 国境を超えたグローバル展開: サウジアラビアの「Hawk Gaming Group」との連携などを通じ、日本のバリアフリーeスポーツが世界へ波及していくことが期待されています。
  3. 企業との「共創」による持続可能な支援: 単なるスポンサーシップを超え、サイコム、Yogibo、JAPANNEXT、ウィルウェイなどの企業が対等なパートナーとして社会課題解決に挑んでいます。

ユニフォームに刻まれた「PLAY HARDER, BETTER TOMORROW(本気で遊べば、明日は変わる。)」という言葉のように、一人ひとりの挑戦と企業の共創が重なり合うことで、よりインクルーシブで豊かな社会が形成されていくのではないかと考えられます。障害福祉やダイバーシティに関心をお持ちの方は、ぜひ今後のバリアフリーeスポーツの展開に注目してみてはいかがでしょうか。


Written by

菅間 大樹

findgood編集長、株式会社Mind One代表取締役
雑誌制作会社、広告代理店、障害者専門人材サービス会社を経て独立。
ライター・編集者としての活動と並行し、就労移行支援事業所の立ち上げに関わり、管理者も務める。職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修修了。
著書に「経営者・人事担当者のための障害者雇用をはじめる前に読む本」(Amazon Kindle「人事・労務管理」「社会学」部門1位獲得)がある。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0773TRZ77