2026年7月「障害者法定雇用率2.7%」へ。企業の準備状況と現状
約6割の企業が雇用率未達成、具体的な準備はわずか3割
株式会社ゼネラルパートナーズの調査・研究機関「障がい者総合研究所」の調査によると、民間企業の人事・採用担当者のうち、すでに法定雇用率を達成している企業は37.0%に過ぎません。半数以上の51.3%の企業が「達成に向けて取り組んでいるが達成していない」と回答しており、さらに11.7%の企業は「達成に向けた取り組みをしておらず達成していない」と回答しています。

この結果は、多くの企業が採用意欲を持ちながらも、人材確保の難しさや社内受け入れ体制の課題に直面していることを示唆しています。特に、約1割の企業が取り組み自体を行えていない背景には、リソース不足やノウハウの欠如が考えられます。
地方企業に立ちはだかる「障害者雇用」の壁とは?
全体的に法定雇用率の達成が難しい状況が続く中、地方企業ではさらに厳しい現実が浮き彫りになっています。
8割以上が採用困難と回答する地方の現実
勤務先の企業の本社所在地が地方にある担当者に「地方での障害者採用は、都市部と比べて難しいと感じるか」と尋ねたところ、実に約9割が「非常に難しいと感じる(26.4%)」または「やや難しいと感じる(59.1%)」と回答しました。

このデータは、地方における障害者採用のハードルが極めて高いと認識されていることを明確に示しています。人口減少による労働力不足は全国的な課題ですが、地方ではその影響がより深刻であると考えられます。
通勤インフラと母集団不足、都市部との競合
地方での採用難を感じる具体的な理由としては、「公共交通機関が不便で、通勤できる人材が限られる(49.2%)」が最も多く、「求職者の母集団そのものが少ない(46.7%)」が続きます。また、「都市部の企業が『完全在宅』で地方人材を採用しており、競合して勝てない(28.0%)」という回答も上位に挙げられました。
地方では車通勤が主流の地域も多く、免許を持たない方や運転が困難な方にとっては、就労の選択肢が大きく狭まる実情があります。さらに、テレワークの普及により、地方の障害のある方が都市部の好条件な求人に流出しており、地方企業はより厳しい採用競争を強いられている状況が見て取れます。
障害者採用の多様化と職域拡大への期待
企業はどのような人材を採用し、どのような業務への配属を考えているのでしょうか。
身体障害から精神・発達障害へ、採用対象の広がり
雇用実績のある障害種別では、「身体障害(52.5%)」が最も多く、次いで「精神障害(34.6%)」、「発達障害(32.2%)」となりました。身体障害のある方の雇用が約半数の企業で進む一方、精神・発達障害のある方の雇用実績もそれぞれ約3割に達しており、障害特性に応じたサポートや業務切り出しのノウハウが企業間に蓄積されつつあることがうかがえます。
人材選定の方針としては、都市部・地方ともに「障害種別にはこだわらず、自社にマッチするスキル・適性を持つ人材を募集している」が最多回答となりました。これは、地域を問わず戦力となる人材を求めている企業の姿勢を示しています。

専門業務への期待とマネジメント課題
現在、障害のある方が担当している主な業務は、「一般事務・アシスタント業務(39.6%)」や「定型業務・単純作業(33.7%)」が全体の約7割を占めています。しかし、今後はより専門性の高い業務への配属を望む声も高まっています。
「今後、貴社で障害者の配属を増やしたいと考えている業務」については、都市部では「企画・管理業務」が、地方では「専門・技術業務」がそれぞれ約2割と上位に挙げられました。地方企業ではITエンジニアやデザインといった専門スキルを持つ人材への需要が高まっている可能性がうかがえます。

しかし、専門業務やコア業務を任せる上での課題として、「現場社員(配属先)のマネジメント負担への懸念(34.0%)」、「該当するスキル・経験を持つ人材の採用が難しい(33.7%)」、「ミスが起きた際のリスク管理や、責任範囲の切り分けが難しい(29.3%)」が上位に挙がっています。これは、採用後の現場での受け入れ体制やサポート体制の構築が重要であることを示しています。
法定雇用率引き上げに向けた企業の具体的な取り組み
制度改正が目前に迫る中、企業はどのような準備を進めているのでしょうか。
認知度は高いが、行動が追いつかない現状
2026年7月の法定雇用率引き上げについて、約8割の企業が内容を把握しているものの、「内容まで詳しく把握し、すでに具体的な準備を進めている」と回答した企業はわずか32.2%にとどまります。約半数の企業は「内容は把握しているが、具体的な準備はこれからである」と回答しており、認知度と行動の間にギャップがあることがわかります。

採用強化と社内研修が重要視される理由
具体的な準備内容としては、「採用活動の強化(募集チャネルの拡大、採用イベント参加など)(42.3%)」が最も多く、次いで「既存社員・受け入れ部署への説明会や研修の実施(41.6%)」が挙げられました。この結果から、単に採用人数を増やすだけでなく、受け入れ側である既存社員の理解促進を重要視している企業の姿勢がうかがえます。
制度改正を単なるコンプライアンス対応と捉えるのではなく、組織全体の多様性理解を深め、働きやすい環境を再構築する契機として捉えようとする企業の動きが見て取れます。
障害者雇用成功の鍵は「人数確保」から「活躍支援」へ
今回の調査結果は、2026年7月に迫る障害者の法定雇用率引き上げに向け、多くの企業が「人数確保」だけでなく「現場での定着と活躍」という、より本質的な課題に直面していることを浮き彫りにしました。
障害者雇用を成功させるためには、経営層が現場への配属を丸投げするのではなく、人事部門と現場部門が密に連携し、障害特性への理解を深める社内風土を醸成することが不可欠です。また、個々のスキルを最大限に活かせる業務の再設計を進めることも、障害のある方が企業で長く活躍するための鍵となるでしょう。
障害のある方の就職・転職を支援する株式会社ゼネラルパートナーズは、調査・研究機関「障がい者総合研究所」を運営し、障害者雇用に関する有益な情報を発信しています。同社は、障害のある方の“働く”をサポートする総合就職・転職サービス「atGP」なども展開しており、企業の障害者雇用を多角的に支援しています。
- 障がい者総合研究所: https://www.gp-sri.jp/
- 株式会社ゼネラルパートナーズ: https://www.generalpartners.co.jp/

障がい者総合研究所とは
障がい者総合研究所は、障害のある方の総合就職・転職サービスを運営する株式会社ゼネラルパートナーズの調査・研究機関です。10年以上にわたり障害者雇用で培った知識と経験を活かし、有益な情報を社会へ発信しています。
障害のある方の就職・転職をサポートする「atGP」
「atGP」は、障害のある方の就職・転職をトータルでサポートするサービスです。専門のエージェントが個別の相談に応じ、求職者にマッチした求人情報を提供します。
- atGPエージェント: https://www.atgp.jp/agent
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障害者向け就労移行支援事業「atGPジョブトレ」
「atGPジョブトレ」は、長く働き続けたい障害のある方向けに、就職のためのスキルアップ研修や就職活動のサポートを行う就労移行支援サービスです。特に、障害別のコース制が特徴で、ITスキル習得に特化した「atGPジョブトレIT・Web」も提供されています。
- atGPジョブトレ: https://www.atgp.jp/training
- atGPジョブトレIT・Web: https://www.atgp.jp/training_it/
まとめ:障害者雇用は「共生社会」実現への重要な一歩
2026年7月の法定雇用率引き上げは、企業にとって新たな挑戦であると同時に、障害のある方がその能力を最大限に発揮し、社会で活躍できる機会を増やす大きなチャンスでもあります。今回の調査で明らかになった課題を乗り越え、企業が障害者雇用を「人数合わせ」ではなく「多様な人材が活躍する組織づくり」の一環として捉え、積極的に取り組むことが、真の共生社会の実現につながるでしょう。人事担当者、現場社員、そして経営層が一体となって、より良い職場環境を築き、障害のある方と共に成長していく未来が期待されます。
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