「もの忘れ」が増えたと感じたらMCI(軽度認知障害)かも?早期対策で認知症を予防

「固有名詞がなかなか出てこない」「以前は得意だったことが億劫になった」「物事の段取りがうまく組めなくなった」——もしこのような「もの忘れ」の症状に心当たりがあるなら、それはMCI(軽度認知障害)のサインかもしれません。

MCIは、認知機能の低下が見られるものの、日常生活に大きな支障はない状態を指し、認知症の一歩手前と考えられています。しかし、MCIは必ずしも認知症へ進行するわけではなく、適切な対策を講じることで回復(リバージョン)も期待できるとされています。

株式会社ナツメ社から2026年6月15日に発売される『図解 やさしくわかるMCI 軽度認知障害』は、アルツハイマー型認知症研究の第一人者である新井平伊医師が監修を務め、MCIに関する情報を分かりやすく解説しています。

図解 やさしくわかるMCI 軽度認知障害の書籍表紙

MCIの基礎知識と認知症との違い

MCIは、加齢による自然な「もの忘れ」と認知症の中間に位置する状態です。認知症が日常生活に支障をきたすのに対し、MCIはまだ自立した生活が可能です。この段階で早期にMCIを発見し、適切なケアや予防策を始めることが、認知症への進行を遅らせ、あるいは発症を防ぐ上で非常に重要です。

本書では、MCIの具体的な症状や、ご本人が抱える不安、ご家族の関わり方についても、導入マンガを交えて丁寧に解説されています。読者は、自分や大切な人の「もの忘れ」がMCIに該当するのかどうか、客観的に考えるきっかけを得られるでしょう。

MCIに関する導入マンガ

MCIからの「リバージョン(回復)」を目指す最新の検査と治療アプローチ

認知症予防の研究は日々進歩しており、MCIの段階から利用できる治療法や薬も登場しています。本書では、早期発見のための検査方法から具体的な治療法までが詳しく紹介されています。

MCIの診断には、CT検査やMRI検査といった脳画像検査のほか、血液検査や脳脊髄液検査などが複合的に用いられます。特に、アミロイドβの蓄積を調べるアミロイドPET検査は、MCIの薬物治療の判断に役立つ重要な検査の一つです。これらの検査を通じて、個々の状態に合わせた治療計画を立てることが、リバージョンを目指す上で不可欠となります。

MCIの検査と診断の流れ

前向きな人生を楽しむための「予防習慣」と生活支援

MCIの対策は、薬物治療だけではありません。日々の生活習慣を見直し、心身の健康を維持することが、認知症予防に大きく貢献します。

本書では、難聴や糖尿病、うつ病といった高齢者に多い持病が認知症のリスクを高める可能性も指摘し、これらの治療の重要性を強調しています。また、無理なく始められる運動や認知トレーニング、社会との積極的な関わり方など、具体的な「予防習慣」が提案されています。

例えば、有酸素運動は脳の代謝や血流を改善し、神経細胞の再生を促す効果が期待できます。特に、少し速めのウォーキングやインターバル速歩は、手軽に始められる効果的な運動として推奨されています。人との交流を増やし、体を動かすことで脳に良い刺激を与え、前向きなマインドで人生を楽しむことが、MCI対策の重要な柱となります。

MCI予防のための有酸素運動の例

監修者:新井平伊医師について

本書の監修者である新井平伊医師は、医療法人平仁会 アルツクリニックPETラボ 理事長であり、順天堂大学医学部名誉教授を務めています。アルツハイマー病の基礎と臨床を中心とした老年精神医学を専門とし、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入しました。メディアを通じて認知症予防のための情報を発信し、認知症になっても豊かに生きられる社会を目指し、患者とその家族に寄り添い続けています。

書籍情報

『図解 やさしくわかるMCI 軽度認知障害』は、MCIに関する網羅的な情報が、導入マンガや豊富なイラスト、大きな文字で分かりやすくまとめられています。ご自身やご家族の「もの忘れ」が気になる方は、ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

  • 監修者: 新井 平伊(あらい へいい)

  • 発行: ナツメ社

  • 定価: 1,760円(税込)

  • 仕様: B5変型判/144ページ/2色刷

  • 発売日: 2026年6月15日

MCIの早期対策は、個人の健康寿命を延ばすだけでなく、高齢者の社会参加を維持し、将来的な介護負担の軽減にも繋がる、社会全体で取り組むべき課題です。この書籍が、多くの方々にとってMCIへの理解を深め、前向きな一歩を踏み出すきっかけとなることを期待します。

Written by

菅間 大樹

findgood編集長、株式会社Mind One代表取締役
雑誌制作会社、広告代理店、障害者専門人材サービス会社を経て独立。
ライター・編集者としての活動と並行し、就労移行支援事業所の立ち上げに関わり、管理者も務める。職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修修了。
著書に「経営者・人事担当者のための障害者雇用をはじめる前に読む本」(Amazon Kindle「人事・労務管理」「社会学」部門1位獲得)がある。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0773TRZ77