「医療のとなりに地域のひろば」京都・精華町でマルシェ開催!多様な人々が交流する地域共生社会の実現へ

京都府相楽郡精華町にある「たけうちファミリークリニック」が主催する『tPot Field Lab marche vol.3』が開催されました。このマルシェは、「地域と一緒につくる居場所づくり」を目指す実証実験の一環として行われ、厳しい暑さのなか、多くの来場者で賑わいました。

イベントでは、近畿大学の学生サークルとのコラボ企画や、包括的性教育講座などが実施され、医療的ケアを必要とする子どもたちを含む多様な家族が交流する豊かな時間が生まれました。この取り組みは、地域共生社会の実現に向けた重要な一歩となるかもしれません。次回は8月9日(日)に開催が予定されています。

浴衣のような柄の服を着た子供が、ソファの上でリアルな赤ちゃんの人形を興味深そうに眺めています。大人の手も写っており、人形を介した温かい交流がうかがえる一枚です。

医療的ケア児も共に楽しめる「地域のひろば」の実現:多様な家族が自然に交わる風景

マルシェ当日は厳しい暑さに見舞われましたが、朝早くから多くの家族が訪れ、ラジオ体操からスタートしました。子どもたちは水遊びや急遽行われたスイカ割りで大いに盛り上がり、会場は活気に満ち溢れていました。

このマルシェでは、自分の子どもだけでなく、その場にいるすべての子どもたちと自然に触れ合い、一緒に楽しみ、見守る親たちの姿が見られました。このような光景は、「地域で子どもを育む」ことの楽しさや豊かさを強く感じさせます。

特に注目すべきは、医療的ケアを必要とするお子さんが、ご家族と一緒に自然に参加していることです。これは、初回開催から変わらず見られてきた光景であり、医療的ケアの有無にかかわらず、様々な子どもや家族が同じ場所で共に過ごすことの重要性を示しています。

「医療のとなりに地域のひろば」というコンセプトは、医療が必要な時だけでなく、元気な時や遊ぶ時間も地域の中で共に過ごすことを意味します。このマルシェは、その理念が少しずつ形になっていることを実感させる場となっています。

  • 医療的ケア児とは:人工呼吸器による呼吸管理や、たんの吸引、経管栄養など、日常生活において医療的な生活援助が必要な子どものことです。

  • 地域共生社会とは:制度や分野ごとの「縦割り」や「支え手」「受け手」という関係を超えて、住民一人ひとりの暮らしと生きがい、地域をともに創っていく社会を指します。

地域と学生が共創する「ひらかれた居場所」のデザイン:近畿大学「あきばこや」とのコラボレーション

今回のマルシェでは、近畿大学建築学部の学生サークル「あきばこや」との連携企画も行われました。空き地やマルシェで活用する仮設店舗・屋台・小屋を考えるプロジェクト「ひらかれた居場所をつくる―ポータブルな建築―」の作品展示と投票が実施されました。

学生たちが提案した13作品に対し、地域住民から多くの投票と意見が寄せられました。tPot理事で構成される実行委員会も、一つひとつの作品と丁寧に向き合い、意見を交わしながら優秀作品を選定しました。

木製の建築模型と解説パネルが並べられた展示会の様子。組み立て式の居場所やいろどりマルシェといったテーマで、仮設的なコミュニティ空間や商業スペースのデザイン案が展示されており、学生の設計作品展のようである。

親子で学ぶ「包括的性教育」の意義と実践:SOLUNA助産院による専門講座

SOLUNA助産院代表の前田絢子さんによる「親子で学べる包括的性教育講座」も開催されました。この講座では、以下の2つのテーマが扱われました。

  • 保護者対象:「いつから?どう伝える?性の話〜家庭でできる包括的性教育のはじめ方〜」

  • 親子参加対象:「じぶんのからだを大切にするってなんだろう?〜いのち・境界線・同意を親子で考える時間〜」

前田さんの親しみやすい語り口と分かりやすい説明により、子どもも大人も自然と講座に引き込まれました。少人数制だったことで質問も活発に交わされ、参加者にとっては身近な疑問や悩みを安心して話せる、密度の高い時間となったようです。

  • 包括的性教育とは:性に関する知識だけでなく、自己肯定感、人権、多様性、コミュニケーション能力などを育み、性的な健康と幸福を追求するための教育を指します。

明るく清潔なクリニックの待合室または子育て支援施設で、子供たちが遊び、親たちがくつろいでいる様子。女性スタッフが説明しており、親子のための情報やテレビ番組が流れる、子供向けの配慮がされた空間です。

完成前から地域と共に築く「tPot Field Lab」の挑戦:対話から生まれる新しい地域共生社会

マルシェは回を重ねるごとに少しずつ改善されており、主催者はその変化に喜びを感じています。特に今回は、暑さ対策が大きな課題となりましたが、子どもたちのエネルギーに助けられたと述べています。

一方で、月に一度のマルシェ開催は多大な労力を要することも実感しており、準備、調整、当日の運営に尽力するスタッフや出店者への感謝が示されました。

「tPot」は、施設を完成させてから一方的にサービスを提供するのではなく、地域住民と対話を重ね、意見を交換しながら共に作り上げていく場所であるべきだと強く考えられています。このマルシェは、そのための実証実験「tPot Field Lab」として位置づけられています。

施設が完成する前から地域と共に歩み始めることで、出店者、参加者、子ども、家族、学生、専門家など、様々な人々との対話が生まれます。このプロセスを通じて、新しいアイデアが生まれ、地域のニーズが明らかになり、地域住民と共に「tPot」が完成した先の未来を具体的にイメージできるようになると言えるでしょう。

マルシェの開催は、毎回想像を超える出会いや気づきをもたらし、この過程なしには「tPotプロジェクト」は実現しないと改めて感じられています。

屋外の広場で多くの人々が集まり、一部の参加者が両手を挙げている様子です。子供たちも複数見られ、テントがいくつか設置されており、何らかのイベントやワークショップが開催されているようです。和やかな雰囲気のコミュニティイベントの瞬間を捉えた一枚です。

次回開催情報と地域への期待:『tPot Field Lab marche vol.4』

次回も暑さ対策を講じながら準備が進められる予定です。地域共生社会の実現に向けたこの取り組みに、今後も注目が集まるでしょう。

『tPot Field Lab marche vol.4』開催概要

  • 日時: 8月9日(日)8:00〜12:00

  • 場所: たけうちファミリークリニック周辺(詳細は改めて発信されます)

たけうちファミリークリニック概要

Written by

菅間 大樹

findgood編集長、株式会社Mind One代表取締役
雑誌制作会社、広告代理店、障害者専門人材サービス会社を経て独立。
ライター・編集者としての活動と並行し、就労移行支援事業所の立ち上げに関わり、管理者も務める。職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修修了。
著書に「経営者・人事担当者のための障害者雇用をはじめる前に読む本」(Amazon Kindle「人事・労務管理」「社会学」部門1位獲得)がある。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0773TRZ77