「当事者ラジオ」とは?生きづらさを語り合う新しい試み

「当事者ラジオ 〜生きづらさを語り合う〜」は、自身も脳卒中による右半身麻痺と失語症を経験したエコロジーオンライン理事長の上岡裕氏がパーソナリティを務めるポッドキャスト番組です。

この番組では、病気や障害、日々の「生きづらさ」を抱える人々が、等身大の言葉で自身の経験や考えを語り合います。上岡氏は、かつて「伝える側」として活動していましたが、発症後は「当事者として語り合いたい」という強い思いから番組を企画。最新の生成AI技術を活用して言葉の困難を補完しながら、リハビリや社会復帰のプロセスをリアルタイムで発信しています。

病気や障害を乗り越える3人の当事者ゲストのストーリー

番組では、様々な背景を持つ当事者がゲストとして登場し、それぞれの視点から「生きづらさ」や「できること」について語っています。今回は、特に注目される3人のゲストのストーリーを紹介します。

元出版社副編集長・石川航平氏:脳梗塞と失語症からの再起、地域づくりへの貢献

元出版社の副編集長として活躍していた石川航平氏は、2024年に脳梗塞を発症し、失語症と右半身麻痺を抱えることになりました。しかし、「再び言葉に関わる仕事がしたい」という強い意志を持ち、ライティングや歌を通じたリハビリを経て現場復帰を果たしています。

現在は多摩大学での研究や東京都三鷹市の「まちづくり研究員」としても活動しており、「当事者だからこそ見える世界」を軸に、障害のある人々のウェルビーイングを高めるまちづくりのあり方を提唱しています。

音楽で人生を紡ぐ・鈴木淳氏:脳卒中、失語症、視覚障害を乗り越える

脳卒中の後遺症により、失語症と視覚障害を抱えることになった鈴木淳氏もゲストの一人です。病によって仕事や経済的な基盤を失うという大きな試練に直面しましたが、「人生を治すのは自分」という強い信念を持ち、大好きな音楽をリハビリの糧としています。

鈴木氏は、当事者ならではの視点から、これからの人生やリハビリの本質について穏やかに語り、多くのリスナーに希望を与えています。

造園業を営む・江原幸源氏:顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーと向き合い「できること」に焦点を当てる

群馬県で造園業を営む江原幸源氏は、2年前に顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)と診断されました。それまでの体の違和感の理由を知り「救われた」と語り、この経験をきっかけにマインドが大きく変化したといいます。

【専門用語解説】顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)とは?

顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD: Facioscapulohumeral Muscular Dystrophy)は、進行性の遺伝性筋疾患の一種です。主に顔面、肩甲骨周囲、上腕の筋肉が徐々に弱くなる特徴があります。症状の進行は人によって異なり、日常生活に様々な影響を及ぼすことがあります。

江原氏は病気を悲観せず、障害の有無に関わらず誰もが個性を活かして働ける環境づくりや、環境に配慮した里山再生、次世代へ繋ぐ庭づくりへの熱い想いを語っています。その「できないことより、できることに目を向ける」という前向きな姿勢は、多くの人々に共感を呼んでいます。

「できないことより、できること」共感の輪が広がる未来志向のメッセージ

番組では、単なる闘病記に留まらず、「当事者研究」や「AI・音楽を取り入れた次世代リハビリ術」、そして障害を個性に変えるインクルーシブな働き方や地域づくりなど、未来志向のテーマが語られています。

江原氏の「できないことより、できることに目を向ける」という姿勢、石川氏の「当事者目線のまちづくり」、鈴木氏の「自立への歩み」といった具体的な実践とメッセージは、同じ悩みを抱える当事者やその家族だけでなく、多様性(ダイバーシティ)や働き方改革を模索する企業・自治体からも大きな反響を呼んでいます。

病気や障害を得ることは、人生の終わりではありません。最新テクノロジーや音楽、そして何より人との対話を通じて、「生きづらさ」を強みへと変えていく彼らの声は、これからの多様性社会における新たなウェルビーイングの形を示していると言えるでしょう。

番組情報と今後の展開

「当事者ラジオ 〜生きづらさを語り合う〜」は、病気や障害のある方々、そのご家族、そして多様な社会のあり方に関心のあるすべての人々にとって、貴重な情報源となるでしょう。ぜひ一度、彼らの声に耳を傾けてみてください。

  • 番組名: 当事者ラジオ 〜生きづらさを語り合う〜

  • 配信媒体: エコロジーオンライン公式サイト内

この番組は、多様な生き方と新たなウェルビーイングの形を社会へ発信し続けています。今後の配信にも注目が集まります。

Written by

菅間 大樹

findgood編集長、株式会社Mind One代表取締役
雑誌制作会社、広告代理店、障害者専門人材サービス会社を経て独立。
ライター・編集者としての活動と並行し、就労移行支援事業所の立ち上げに関わり、管理者も務める。職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修修了。
著書に「経営者・人事担当者のための障害者雇用をはじめる前に読む本」(Amazon Kindle「人事・労務管理」「社会学」部門1位獲得)がある。
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