宇都宮市とスタートライン、障害福祉分野で包括連携協定を締結

2026年3月23日、栃木県の県庁所在地である宇都宮市と、障害者就業支援を手がける株式会社スタートラインが、障害者の就労機会拡大と地域における包摂的な社会づくりを目的とした包括連携協定を締結しました。スタートラインにとって4事例目となる自治体との連携であり、中核市との協定は今回が初めての試みとなります。

この協定は、障害のある方が地域で自分らしく働き、生活できる環境を整えることを目指しています。締結式は宇都宮市役所で行われ、宇都宮市 佐藤栄一市長と株式会社スタートライン 代表取締役社長 西村賢治氏が協定書に署名しました。

宇都宮市とスタートライン包括連携協定締結式の様子

なぜ今、宇都宮市とスタートラインが連携するのか?共生社会への背景を深掘り

宇都宮市が目指す「持続可能で人にやさしいまちづくり」

宇都宮市は人口約51万人を擁し、製造業を中心とした産業集積に加え、大学や研究機関も多く、北関東を代表する中核都市として発展してきました。近年では、LRT(次世代型路面電車)の開業など、持続可能で人にやさしいまちづくりに力を入れています。

このような都市特性を持つ宇都宮市では、多様な人材が能力を発揮できる就労環境の整備や、地域・企業・行政が連携した雇用支援の仕組みづくりが喫緊の課題となっています。障害のある方の活躍の場を広げ、地域全体で支える体制が求められているのです。

スタートラインが培ってきた障害者雇用支援のノウハウ

株式会社スタートラインは、「自分をおもいやり、人をおもいやり、その先をおもいやる。」という企業理念のもと、障害者雇用支援の分野で長年の実績を積んできました。企業向けの障害者雇用支援をはじめ、福祉・教育分野での事業を展開し、これまでの自治体との連携を通じて得られたノウハウや経験は豊富です。

今回、スタートラインが中核市である宇都宮市と連携することで、より広い地域、より多様な関係者とともに、障害者の就労支援と地域づくりを一体的に進めることが可能になります。両者がそれぞれの知見やネットワークを活かし、障害のある方の活躍を地域全体で支えることを目指し、今回の協定締結に至りました。

3つの柱で進める具体的な連携内容

今回の包括連携協定では、以下の3つの分野を軸に具体的な取り組みが進められます。

1. 障害者の「働く」を支える就労支援の強化

宇都宮市内に「Diverse Village UTSUNOMIYA(ダイバースヴィレッジ宇都宮)」を開設する計画です。この施設は、障害のある方の就労機会の創出、就労定着支援の拠点となります。また、市内企業や障害者福祉施設との連携を強化し、地域全体で障害者雇用を促進する仕組みづくりに取り組みます。

「Diverse Village UTSUNOMIYA」は、単なる就労支援施設に留まらず、障害のある方が安心して働き続けられる環境を提供し、その能力を最大限に引き出すためのサポートを行う重要な役割を担うことでしょう。

2. 次世代を育む教育分野での共創

市内の小中学生(特別支援学級を含む)を対象に、宇都宮市の既存の社会体験学習と連携し、多様な人の生き方や働き方への理解を深める学びの機会づくりに協力します。

幼い頃から多様性を尊重し、様々な背景を持つ人々について学ぶことは、将来の共生社会を築く上で非常に重要です。この取り組みは、子どもたちの心の成長と、地域全体の意識向上に繋がると期待されます。

3. 誰もが安心して暮らせるまちづくりへの貢献

「Diverse Village UTSUNOMIYA」は、障害の有無を問わず人が集い、交流し、共に学ぶことができる拠点として整備されます。これにより、地域住民が互いに理解を深め、支え合う共生社会の実現につながるまちづくりを推進します。

働く場だけでなく、交流や学習の場としても機能することで、障害のある方々が地域社会の一員としてより豊かに生活できる基盤が築かれることでしょう。

協定締結式での両者のコメントに見る熱い想い

締結式では、宇都宮市 佐藤栄一市長と株式会社スタートライン 代表取締役社長 西村賢治氏が、今後の連携に向けた強い意気込みを語りました。

宇都宮市 佐藤栄一市長は、「障害のある方が親亡き後も地域で生活し続けることができる社会をつくることは、社会全体の責任であり、行政として先頭に立つことが重要です」と述べ、スタートラインのノウハウと経験を活用し、「共創のまちづくり」をさらに一歩前進させたい考えを示しました。特に「Diverse Village UTSUNOMIYA」の設置は、障害のある方とその家族にとって「親亡き後、自分の子がどうなるのか」という不安に対し、働き続けられる環境を実現することで大きな安心をもたらすだろうと期待を寄せました。

株式会社スタートライン 代表取締役社長 西村賢治氏は、「当社にとって中核市との包括連携協定は初めてのことであり、非常に意義深い節目です」と述べ、宇都宮市が掲げる「地域共生社会の実現」への共感を表明しました。多様な産業が集積する宇都宮市だからこそ、障害のある方の活躍の可能性がさらに広がると考え、就労機会の拡大と定着支援、企業への障害者雇用の理解促進などを通じ、地域全体で雇用を支える仕組みづくりに取り組む意欲を示しました。また、「Diverse Village UTSUNOMIYA」の早期開設や、教育・まちづくり面での地域貢献にも力を入れていくと語りました。

株式会社スタートラインとは?多様なサービスで障害者雇用を推進

株式会社スタートラインは、「自分をおもいやり、人をおもいやり、その先をおもいやる。」という企業理念のもと、2009年の創業以来、障害者雇用支援の領域で「採用」と「定着」に重きを置いて事業を展開してきました。ABA(応用行動分析)やCBS(文脈的行動科学)に基づいた専門的な支援で、障害者雇用の新しい「場」づくりから定着支援までをワンストップで提供しています。

主なサービスには、サポート付きサテライトオフィス「INCLU」、屋内農園型障害者雇用支援サービス「IBUKI」、ロースタリー型障害者雇用支援サービス「BYSN」などがあり、企業や障害当事者向けのカスタマイズ研修、在宅雇用支援、障害者採用支援といった幅広いメニューを拡充しています。同社は、一つでも多くの選択肢をつくり、多様な人々の可能性を拡張することで、誰もが自分らしく生きる社会の実現を目指しています。

株式会社スタートラインのロゴ

スタートラインの支援モデル図

宇都宮市とスタートラインの協定が描く未来

今回の包括連携協定は、宇都宮市における障害福祉の新たな扉を開くものとなるでしょう。スタートラインと宇都宮市、そして地域の関係者が一丸となることで、中核市ならではのスケールと多様性を活かした障害者雇用の促進が期待されます。

単に「働く場所」を提供するだけでなく、教育を通じた相互理解の促進や、誰もが気軽に集える交流拠点の整備は、地域社会全体の意識改革にも繋がります。障害の有無に関わらず、すべての人が地域で自分らしく生き、活躍できる共生社会の実現へ向けて、宇都宮市とスタートラインの取り組みは今後も注目されることでしょう。この協定が、全国の自治体と企業が連携するモデルケースとなり、より多くの地域で「誰もが自分らしく生きる社会」が広がるきっかけとなることを期待します。

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findgood

Written by

菅間 大樹

findgood編集長、株式会社Mind One代表取締役
雑誌制作会社、広告代理店、障害者専門人材サービス会社を経て独立。
ライター・編集者としての活動と並行し、就労移行支援事業所の立ち上げに関わり、管理者も務める。職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修修了。
著書に「経営者・人事担当者のための障害者雇用をはじめる前に読む本」(Amazon Kindle「人事・労務管理」「社会学」部門1位獲得)がある。
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