山形県天童市に新たな児童発達支援施設「educareぷらす」がオープン

2026年8月1日、山形県天童市に、認定こども園と併設されたインクルーシブ型児童発達支援施設「educareぷらす」がオープンします。この施設は、山形県内でも先進的な取り組みとして注目されており、天童市が目指す「乳幼児期から就学期に向けた切れ目のない子育て支援」を民間から推進する役割を担います。

「インクルーシブ型」とは、園内に児童発達支援施設が併設され、発達に特性のある子どもたちが、定型発達の子どもたちと共に日常生活を送る環境を指します。これにより、すべての子どもたちが互いに学び合い、共に成長できる「小さな社会」の実現が期待されます。

ブランコで遊ぶ子供たち

「educareぷらす」開設の背景と地域社会への意義

時代とともに変化する子育て支援の課題

学校法人東谷学園は、長年にわたり時代に合わせた保育環境の刷新に挑戦してきました。自然豊かな環境を活かした「プロジェクト型の探究教育」や、子ども主体の保育を深化させ、子どもたちがのびのびと過ごせる土台を築いてきました。

しかし、近年、発達に特性のある子どもたちの増加、我が子の育ちに不安や困り感を抱える保護者の孤立、そして現場で葛藤する保育士の姿といった新たな地域課題に直面しています。学園ではこれまでも臨床心理士を招聘し、子どもや保護者、職員のケアに努めてきましたが、保育現場の自助努力だけでは十分な支援が難しい状況でした。

このような背景から、「子どもたち一人ひとりに寄り添いたい」という強い決意のもと、2025年に児童発達支援事業を開始。専門的な知見を積み重ね、この度、認定こども園併設型の「educareぷらす」の開設に至りました。

天童市が目指す「インクルージョン推進体制」を民間から後押し

天童市は、その計画において「障がい児の地域社会への参加・包容(インクルージョン)の推進体制整備」を掲げています。インクルージョンとは、障がいのあるなしに関わらず、すべての人が社会の一員として共に生き、活動できる社会を目指す考え方です。

「educareぷらす」は、認定こども園の敷地内に併設される特性を最大限に活かし、発達のペースや得意・苦手が異なる子どもたちが、日常の生活を通じて学び合う場を提供します。定型発達の子どもも、発達にグラデーションのある子どもも、共に遊び、食べ、体験を重ねる中で、自発性と他者への思いやりを自然と身につけることを目指しています。これにより、行政が目指すインクルージョン社会のあり方を、民間専門施設の立場から具体的に体現し、市の政策目標達成に貢献すると考えられます。

シームレスな地域社会参加と保護者の就労支援を実現

従来の児童発達支援は、地域の保育園や幼稚園とは独立した単独の施設で行われることが多く、真の「地域社会への包容(インクルージョン)」には高いハードルがあるという課題がありました。

「educareぷらす」は、こども園と緊密に連携することで、子どもたちが「支援の場」と「集団生活(地域社会)の場」をスムーズに行き来できる環境を提供します。これにより、子どもの孤立を防ぎ、幼少期から自然な形で地域社会へ参加・包容される土台がつくられます。

さらに、障がい児のインクルージョンを進める上では、子ども本人だけでなく、その家族が地域社会から孤立しないための支援も不可欠です。本施設がこども園に併設されることで、保護者は「こども園への送迎」のみで専門的な支援と長時間の預かり(就労継続)を両立できるようになります。これは、これまでの通所型施設では難しかった「保護者の就労と子どもの発達支援の共立」を実現し、家族全体が地域で安心して暮らし続けられる体制をサポートするものです。

天童市の障がい福祉計画については、以下の資料で確認できます。

「educareぷらす」の3つの特徴:子どもと家族の「生きる力」を育む支援

認定こども園の広々とした環境を活かした支援空間

「educareぷらす」では、既存の認定こども園が持つ広々とした敷地や開放的な施設環境を最大限に活用します。のびのびと身体を動かせる安全な空間を確保するとともに、園児たちとの日常的な交流を通じて、多様な関わりの中で自然に社会性を身につけることが期待されます。

滑り台で遊ぶ子供たち

長時間預かりと食育で暮らし全体をサポート

保護者の就労を支援するため、食事や午睡も含めた長時間の預かりに対応します。また、日々の畑や食体験を通じた「食育」にも注力し、無理なく「食べてみたい」という気持ちを育みながら、子どもたちの暮らし全体を見据えた支援につながるでしょう。

保育園の廊下で活動する子供たちと大人

専門職チームが育む「一生モノの生きる力」

作業療法士や公認心理師といった専門職がチームとなり、園での日常を多角的に支援します。読み書きや計算ができること以上に、将来社会に出たときに自分らしく輝ける「助けてと言える力」「自分で選ぶ力」「切り替える力」といった「一生モノの生きる力」を、日々の成功体験の中で築いていくことを目指します。

学校法人東谷学園の地域貢献と今後の展望

「educareぷらす」を運営する学校法人東谷学園は、1957年創立の歴史ある法人です。天童市内で「天童東幼稚園」「天童しぜん幼稚園」「あそか保育園」「児童発達支援施設『educareつながり』」「子育て支援センター『つながり』」「子育て支援センター『おやこカフェ もぐもぐ』」の6施設を運営し、児童222名、職員84名を擁しています。

長年にわたり地域の子育て支援に貢献してきた学園が、今回の「educareぷらす」開設を通じて、天童市におけるインクルーシブな子育て環境の実現を強力に後押しすることが期待されます。発達に特性のある子どもたちとその家族が、地域社会で安心して生活し、それぞれの可能性を最大限に伸ばせるよう、今後の取り組みにも注目が集まるでしょう。

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Written by

菅間 大樹

findgood編集長、株式会社Mind One代表取締役
雑誌制作会社、広告代理店、障害者専門人材サービス会社を経て独立。
ライター・編集者としての活動と並行し、就労移行支援事業所の立ち上げに関わり、管理者も務める。職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修修了。
著書に「経営者・人事担当者のための障害者雇用をはじめる前に読む本」(Amazon Kindle「人事・労務管理」「社会学」部門1位獲得)がある。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0773TRZ77