文部科学省後援に承認された「あすチャレ!」3つのプログラム

今回、文部科学省の後援プログラムとなったのは、以下の3つの学校向けプログラムです。これらのプログラムは、子どもたちが多様性を理解し、互いを尊重し合う心を育むことを目的としています。

1. パラスポーツ体験で心を育む「あすチャレ!スクール」

車椅子バスケットボールを楽しむ子供たち

「あすチャレ!スクール」は、パラアスリート講師によるパラスポーツのデモンストレーション、児童生徒のパラスポーツ体験、そして講話で構成される出前授業です。このプログラムを通じて、他者のことを自分ごとと捉える心、障がいとは何か、可能性に挑戦する勇気、そして夢や目標を持つ力を考える機会が提供されます。

公式サイト: https://www.parasapo.tokyo/asuchalle/school/

2. 共生社会を遊びから学ぶ「あすチャレ!ジュニアアカデミー」

義足の女性アスリートが講演

「あすチャレ!ジュニアアカデミー」では、車いすユーザーや視覚障がいのある講師と一緒に、遊びのルールや工夫を考え、実際に試し、振り返る過程を大切にします。試行錯誤することの重要性や、そのプロセスを楽しむ心を育むことで、他者を受け入れながら一つの目標に向かっていく協調性を学ぶことができます。

公式サイト: https://www.parasapo.tokyo/asuchalle/jracademy/

3. 高校生の未来を拓く「あすチャレ!メッセンジャー」キャリア教育

高校生向けのキャリア教育授業である「あすチャレ!メッセンジャー」は、「生き方は選べる」をテーマに、パラアスリートが自身の挑戦や経験を赤裸々に語ります。これからのキャリアを決める大切な時期の生徒たちに、自分自身の人生を考えるきっかけを提供し、未来を主体的に選択する力を養います。

公式サイト: https://www.parasapo.tokyo/asuchalle/messenger/highschool/

「あすチャレ!」が目指すDEI教育と共生社会の実現

「あすチャレ!」は2016年度に開始されたDEI教育プログラムです。DEIとは、Diversity(多様性)、Equity(公平性)、Inclusion(包摂性)の頭文字を取った言葉で、多様な人々が公平に扱われ、それぞれの違いが尊重されながら社会に参加できる状態を指します。

これまで小・中・高等学校・特別支援学校における教育活動の一環として継続的に実施され、2025年度末までの10年間で累計開催回数は6,470回、参加人数は66万人を超えています。現在、学校教育現場では、障がいの有無にかかわらずすべての子どもが共に学び、互いを尊重し合える教育環境の整備が進められています。

文部科学省の後援プログラムとなった「あすチャレ!スクール」と「あすチャレ!ジュニアアカデミー」は、子どもたちが持つ障がいに対する先入観を解きほぐし、多様な人々と主体的に関わろうとする姿勢を育むことを目的としています。実際に、参加した児童生徒へのアンケートでは、授業後に障がい者に対するポジティブなイメージが上昇し、「不自由な」「かわいそう」といったネガティブなイメージはすべて下降するという効果が実証されています。

参加者の声と「あすチャレ!」が育む力

「あすチャレ!メッセンジャー」高校生向けキャリア教育授業は、スピーチトレーニングを積んだパラアスリートのリアルな体験を伝え、生徒同士で深く考えるプログラムです。この授業の満足度は96%に達しており、生徒たちからは以下のような気づきの声が寄せられています。

  1. 自己理解・自己管理能力

    • 「周りのことを気にして内向的になるのではなく、自分の好きなことやアイデンティティを大切にしようと思いました」

    • 「自分の心に従って選択することを意識する」

  2. 課題対応力・困難に向き合う

    • 「新しいことに、恐れず自分自身を信じて挑戦できるような強い心を作り上げていきたいです」

    • 「やらない後悔より、やる後悔。苦しくても諦めず、生きていこうと思いました」

  3. 未来を主体的に選ぶ力(キャリアプランニング力)

    • 「今回の講義を受け、明日から、自分の選択に自信をもって生きたいと思った」

    • 「自分の将来の夢に向かって今できることからしていきたい」

これらの声は、プログラムが単なる知識の伝達に留まらず、生徒一人ひとりの内面に深く働きかけ、主体的な成長を促していることを示唆しています。

公益財団法人日本財団パラスポーツサポートセンター(パラサポ)の幅広い取り組み

パラサポは「SOCIAL CHANGE with SPORTS」をスローガンに掲げ、一人ひとりの違いを認め、誰もが活躍できるDEI社会の実現を目指し、スポーツを通じて社会変革を推進する団体です。

パラサポのオフィス風景

2015年5月に活動を開始し、2022年1月に現在の名称に変更されました。パラスポーツ競技団体の運営基盤強化や、事務局人件費、普及啓発費、広報・マーケティング費などの助成金提供、さらに会計・翻訳といった共通業務を集約する「シェアードサービス」を通じて、持続可能な運営体制構築を支援しています。

2018年6月には、パラアスリートの練習環境向上や普及啓発イベントの実施を目的とした「日本財団パラアリーナ」をオープンしており、これまでに延べ8.3万人を超えるパラアスリートが活用しています。

日本財団パラアリーナの外観

また、2024年5月には、運動会にインクルーシブな種目を導入することで、教員や児童生徒がインクルーシブな考え方やその重要性を理解する機会を提供する新プログラム「パラサポ!インクルーシブ運動会」を開始しました。

インクルーシブ運動会の様子

パラサポは、「あすチャレ!」をはじめとするこれらの活動を通じて、共生社会の実現に向けた多角的なアプローチを展開しています。

詳細については、以下の公式サイトをご覧ください。

まとめ

今回、文部科学省の後援プログラムに承認された「あすチャレ!」の3つのプログラムは、パラスポーツやパラアスリートとの交流を通じて、子どもたちが多様性を理解し、共生社会を築くための重要な学びを提供しています。パラサポは、これまでに蓄積された10年間の知見を活かし、文部科学省が推進する「主体的・対話的で深い学び」および「体験的・探究的な学び」の充実をこれからも目指していくことでしょう。

この取り組みは、今後の教育現場におけるDEI推進において、さらに大きな役割を果たすことが期待されます。教育関係者やDEI、共生社会に関心のある方にとって、これらのプログラムは貴重な機会となるはずです。

Written by

菅間 大樹

findgood編集長、株式会社Mind One代表取締役
雑誌制作会社、広告代理店、障害者専門人材サービス会社を経て独立。
ライター・編集者としての活動と並行し、就労移行支援事業所の立ち上げに関わり、管理者も務める。職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修修了。
著書に「経営者・人事担当者のための障害者雇用をはじめる前に読む本」(Amazon Kindle「人事・労務管理」「社会学」部門1位獲得)がある。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0773TRZ77