視覚に頼らず商品情報にアクセスする「ココヨム」とは?

株式会社ロッテは、視覚に頼ることなく触覚で商品情報にアクセスできる、日本初(1)の仕組み「ココヨム」を開発しました。この取り組みは、障がい者の視点を活かしたコンサルティングを手掛ける株式会社ミライロの開発協力を得て実現したものです。

「ココヨム」は、パッケージの特定の箇所に四角い溝を設けることで、視覚障がい者の方々をはじめ、多くのお客様が商品名や賞味期限、アレルギー情報などの知りたい商品情報へスムーズにアクセスできるように設計されています。2026年9月より一部商品への導入が開始され、今後は企業や関係団体の垣根を越えた共通の仕組み化を目指しています。

(1) ロッテによる公開情報の調査に基づく 2026年5月26日時点

「かざす位置が分からない」課題を解決する開発背景

現在、視覚障がい者の間では、スマートフォンのカメラでテキストを音声で読み取る「音声読み上げアプリ」が広く普及し、日常生活の重要なサポートツールとなっています。しかし、多くの商品パッケージには情報が多岐にわたり表示されているため、「賞味期限やアレルギーといった、知りたい商品情報がパッケージのどこに書かれているか分からず、カメラをどこにかざしていいか分からない」という課題がありました。この取り組みは、当初、視覚障がい者向けのアクセシビリティ向上を目的として開発がスタートしたものです。

詳細はこちらで確認できます: https://lotte-hd.com/groupstory/articles/detail/20260826153000.html

触覚で「知りたい」を導くココヨムの仕組みと特長

「ココヨム」の大きな特長は、箱パッケージの特定の箇所に設けられた、指で触ってすぐに認識できる四角い溝加工です。この溝がある同一面に、商品名、賞味期限、アレルギー情報、アルコール使用の有無などの商品情報が記載されています。

これにより、視覚に頼らずとも知りたい情報が記載されている場所を特定でき、視覚障がい者の方々が普段から使用している音声読み上げアプリを起動し、スマートフォンのカメラを溝がある付近にかざすだけで、必要な情報にアクセスすることが可能になります。これは、視覚障がいを持つ当事者へのインタビュー結果より(ロッテ調べ)、「知りたい」情報へのアクセスを容易にする画期的な方法として評価されています。

ココヨムのしくみ

視覚障害者支援から広がる、すべての人へのユニバーサルデザイン

開発を進める中で、この「ココヨム」の仕組みは、視覚障がい者だけでなく、より多くの人々に役立つ可能性が明らかになりました。例えば、加齢により視力が低下した方が拡大鏡や音声読み上げアプリで商品情報にアクセスする際、記載箇所を素早く発見できるようになるなど、幅広い層にとって商品情報へのアクセスがスムーズになることが期待されます。

これは、多様な人々が利用しやすい製品やサービスを最初から設計する「インクルーシブデザイン」の考え方を体現しています。

    • インクルーシブデザインとは:年齢、能力、状況などに関わらず、すべての人が利用しやすい製品やサービスを創出するために、多様な人々をデザインプロセスに巻き込む考え方です。

    • アクセシビリティとは:製品やサービス、情報などが、障害の有無や年齢、能力に関わらず、誰もが容易に利用できる状態であることです。

「ココヨム」が目指す社会実装と共通の仕組み化

「ココヨム」は、当事者の方々の利便性を真に向上させるためには、企業の垣根を越えた共通の仕組みとなることが不可欠であると考えています。ロッテは、自社商品への展開に留まらず、この理念に共感する企業にも広く導入を呼びかけていく方針です。

この溝をパッケージに設けるために特別な技術や設備投資、包材としての追加コストは必要なく、様々な紙箱パッケージに実装が可能とされています。まずは紙箱パッケージから導入し、将来的には紙箱パッケージ以外の商品への導入も目指しています。2030年までに共創の輪を広げ、国内外での社会実装を加速させ、2050年には世界のあらゆるパッケージに「ココヨム」が導入されることを目標に掲げ、取り組んでいく予定です。

ミライロとの協業と当事者の声

本パッケージの開発にあたり、ロッテは障がい者と企業をつなぐ知見を持つ株式会社ミライロの全面的な協力を得て、視覚障がい者の方々の意見を幾度もヒアリングし、検証を重ねてきました。調査時には、視覚障がい者の方々から「非常に便利で素晴らしい」「どこにかざしたらよいかパッとわかって、とても時短になるのでありがたい」「中身が何なのかわかるので、安心して選べる」といった高い評価を得ています。

株式会社ミライロは、障害をバリアではなく価値に転換する「バリアバリュー」を企業理念とし、インフラやソリューションを提供しています。主に、障害のある当事者の視点を活かしたユニバーサルデザインに関するリサーチ・コンサルティングや、デジタル障害者手帳「ミライロID」の開発・運営などを行っています。

ミライロロゴ

「ココヨム」が導入されるロッテの商品ラインナップ

「ココヨム」は、2026年9月よりロッテの様々な商品に順次導入されます。新商品に加え、既存商品も順次切り替えられる予定です。

<新商品>

商品名 発売日
プレミアムガーナ 濃厚ショコラ 2026年9月15日(火)
プレミアムガーナ ナッツショコラ<キャンディングヘーゼルナッツ> 2026年9月15日(火)

プレミアムガーナ 濃厚ショコラ

商品名 発売日
プレミアムガーナ フルーツショコラ<濃熟ブラッドオレンジ> 2026年10月13日(火)
プレミアムガーナ ティーショコラ<芳醇アールグレイ> 2026年10月13日(火)

プレミアムガーナ フルーツショコラ<濃熟ブラッドオレンジ>

プレミアムガーナ ティーショコラ<芳醇アールグレイ>

<既存商品>

商品名 発売日
チョコパイ 2026年9月より順次自然切り替え
カスタードケーキ 2026年9月29日(火) ※リニューアル

チョコパイ

カスタードケーキ

インクルーシブデザインを推進するロッテの企業姿勢

ロッテは、コーポレートメッセージ「お口の恋人」として、「永遠に愛される存在になるためにこれからも『愛』を届ける」ことを掲げています。「ココヨム」の取り組みは、この「お口の恋人」の理念を体現するものです。美味しさや楽しさを届けるだけでなく、知りたい商品情報への容易なアクセスや、使いやすいパッケージに取り組むことも、重要な使命であると考え、インクルーシブデザインを推進しています。

ロッテのサステナビリティに関する取り組みは、以下のページで詳しく紹介されています。

https://www.lotte.co.jp/corporate/sustainability/society/packaging/#kokoyomu

開発担当者とミライロ代表からのメッセージ

ロッテ 中央研究所 研究情報戦略部 パッケージ研究課のインクルーシブデザインチーム リーダーである本村 あかね氏は、「自力で情報を得ることは諦めている。でも本当は自分で選びたい。」という視覚障がい者の切実な声に触れ、力になりたいという思いから「ココヨム」の開発に至ったとコメントしています。この導入はスタート地点であり、企業や国の垣根を越えて幅広く導入を呼びかけ、誰もがすぐに知りたい商品情報へアクセスできる社会を「当たり前」にしていきたいと語っています。

ミライロの代表取締役社長 垣内 俊哉氏は、障がいのある当事者の視点から開発に協力したことに触れ、晴眼者がパッケージを見て情報を確認するように、視覚障がい者もそういった情報を必要としていると述べています。カメラを向けてテキスト情報を読み上げる技術が普及した現代でも、情報の記載場所が分からず困る当事者の声が多く寄せられていた中で、「ココヨム」は迷わず瞬時にカメラをかざすべき場所へ導く画期的な仕組みであると評価しています。

「ココヨム」導入を検討している企業へ

ロッテは「ココヨム」の理念に共感する企業への導入を広く呼びかけています。導入を検討している企業担当者からの問い合わせも受け付けています。

ロッテは今後も「お口の恋人」として、独創的なアイデアとこころ動かす体験を通じて、人と人をつなぎ、世界中の人々のしあわせな未来に貢献していく方針です。

株式会社ロッテ公式サイト: https://www.lotte.co.jp/

Written by

菅間 大樹

findgood編集長、株式会社Mind One代表取締役
雑誌制作会社、広告代理店、障害者専門人材サービス会社を経て独立。
ライター・編集者としての活動と並行し、就労移行支援事業所の立ち上げに関わり、管理者も務める。職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修修了。
著書に「経営者・人事担当者のための障害者雇用をはじめる前に読む本」(Amazon Kindle「人事・労務管理」「社会学」部門1位獲得)がある。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0773TRZ77