横浜市に新たな不登校支援の拠点「そだちとケアベース二俣川」が始動

認定NPO法人おれんじハウス(神奈川県横浜市)は、2026年6月1日、こども家庭庁による「企業等の活力を活かした小学生の預かり機能構築モデル事業」に採択されました。これを受け、同年6月30日には横浜市旭区に「おれんじハウスそだちとケアベース二俣川」を開設し、「制度につながる前の小学生と家族を地域で受け止める生活再接続・支援接続モデル事業」を開始しました。
事業開始から1ヶ月で、間口となる子ども食堂は3回開催され、延べ108人が利用しました。このうち、小学生は延べ12人。食事提供や安心して過ごせる居場所を通じて、地域の子どもと家族が気軽に立ち寄れる場を提供し、必要な支援へとつなげることを目指しています。
小学生の不登校・登校しづらさにおける「支援の空白」とは
小学生が不登校や登校しづらさを感じる背景には、不安、心身の不調、友人や教員との関係、学習のつまずき、学校環境とのミスマッチなど、複数の要因が複雑に絡み合っています。子ども自身が困りごとを言葉にしにくかったり、家庭や学校が状況を把握しきれなかったりすることで、必要な支援にたどり着くまでに時間がかかるケースが少なくありません。
特に、学校に行きづらい日や放課後に、一般的な学童保育などの集団の場になじめず、安心して過ごせる居場所が見つからない子どもたちがいます。これは発達特性や障害の有無にかかわらず起こり得る課題です。また、発達面で専門的な支援が必要な場合、放課後等デイサービス(障害のある就学児が学校の授業終了後や長期休暇中に利用できる福祉サービス)が選択肢となりますが、定員に空きがなかったり、子どもに合った事業所を見つけるのが難しかったりといった理由から、利用開始までに長期間を要することがあります。
このような状況下で、一般的な居場所では過ごしにくい一方で、医療や福祉といった専門的な支援にもまだつながっていない期間を「支援の空白」と呼びます。この空白期間が続くと、生活リズムが崩れ、人との接点や外出の機会が減少し、子どもや家族が支援を求めること自体が困難になり、困りごとが長期化するリスクが高まります。
「そだちとケアベース二俣川」の二つの柱:地域でつなぐ支援
本事業では、障害の有無や診断、福祉サービスの利用状況、学校復帰を条件とせず、子どもや家族が気軽に立ち寄れる地域の居場所を提供します。日常の延長を入口とし、人とのつながりを維持・回復しながら、必要な支援へとつなげていくことを目指しています。
1. 「学校に戻る」ことだけを目的にしない、日中の居場所

学校に行けない日でも、家庭以外で安心して過ごせる場所を確保し、昼食をとったり、休息したり、信頼できる大人と関わったりと、その日の心身の状態に応じた過ごし方を支えます。利用にあたり、学習に取り組むことや学校について話すことを求めるものではありません。学校復帰のみを目的とせず、まずは子どもが安心して過ごし、生活リズムや人とのつながりを少しずつ整えていくことを重視しています。
定期的に開催される子ども食堂は、「お昼ごはんを食べに行く」という身近なきっかけから、「少し休める場所」「家以外で安心して過ごせる場所」として、子どもの生活に自然に溶け込むことを目指します。このような緩やかな関わりの中で、子どもや家庭の困りごとを受け止め、必要なタイミングで適切な支援機関へとつなげていきます。
2. 制度利用までの「空白期間」に、親子を孤立させない支援


もう一つの柱は、小学生に限らず、児童発達支援(未就学の障害のある子どもが利用できる福祉サービス)や放課後等デイサービスなどの福祉サービス、医療機関といった具体的な支援につながるまでの移行期を支えることです。支援の必要性を感じてから、相談や見学、手続きを経て実際に利用が始まるまでには、一定の時間がかかることがあります。本事業では、その間を家族だけで抱え込むことがないよう、親子で安心して過ごせる地域の場として拠点を開放します。
専門職員が子どもの様子を見守りながら、保護者が日々の困りごとを自然に相談できる環境を整えます。また、状況に応じて保護者が一時的に子どもと離れ、休息できる機会も設けます。これにより、家族が心身の余力を取り戻し、次の支援へ向かう準備を整えられるよう支えることを目的としています。
多機能拠点「おれんじハウスそだちとケアベース二俣川」ならではの強み

実施拠点である「おれんじハウスそだちとケアベース二俣川」には、保育所、学童保育、児童発達支援、放課後等デイサービス、相談支援、診療所など、子どもと家族を支える複数の機能が集約されています。拠点内の多様な専門性を生かし、子どもの様子や家庭の状況を多角的に捉えながら、その子に合った過ごし方を一緒に考え、その後の生活の変化にも継続して伴走します。
過ごし方は一律に決めるのではなく、子ども自身の声を聞きながら選択する仕組みです。静かな場所で大人と過ごす、保育園で年下の子どもと関わる、学童保育を利用する同年代の子どもと交流するなど、複数の環境の中から、その日の心身の状態や希望に合った過ごし方を選べるようになっています。
まずは昼の日中居場所を中心に運営し、体制を確認しながら、朝・夕の時間帯の受け入れ、夕食の提供、医療的ケア児への対応、親子の分離型支援を段階的に検討していく方針です。
横浜での実践を全国モデルへ:不登校支援の未来を拓く
本事業は、こども家庭庁のモデル事業として実施されます。横浜での実践を通じて得られた成果と課題を整理し、制度につながる前の子どもと家庭を地域で支える仕組みとして、他地域にも応用可能なモデルへと発展させることを目指しています。将来的には、こうした支援の制度上の位置づけについても検討へとつなげていく計画です。
事業の成果は、利用人数だけでなく、継続利用の状況、相談件数や相談内容、関係機関への接続状況、その後の生活の変化などを多面的に検証します。これらの実践データを蓄積・分析し、地域の実情に応じて展開できる支援モデルとして発信していく予定です。
認定NPO法人おれんじハウス理事長の中陳亮太氏は、「本取り組みは、制度や専門的な支援につながる前の子どもと家族を地域でどのように受け止め、必要な支援へつないでいくのかを、行政や学校、支援機関、地域の皆様とともに考え、形にしていくための取り組みです。困りごとがまだ言葉にならない段階で、制度利用の準備が整う前に、家庭だけで抱え込んでしまう前に、地域とつながることが大切です。日常の延長で気軽に立ち寄れる入口と、必要な支援へ無理なくつながる導線を地域の中につくり、子どもと家族の生活に寄り添いながら支えていきたいと考えています」とコメントしています。
認定NPO法人おれんじハウスについて
「すべての家族に子育てのよろこびを すべてのこどもに“その子らしさ”を」をビジョンに掲げ、保育、発達支援、看護・医療などを通じて、子どもと家族を支援しています。年齢や特性にかかわらず、一人ひとりの育ちを地域全体で支えることを目指し、医療的ケア児の居場所づくりや、保育・医療・福祉の枠を越えた支援に取り組んでいます。
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団体名: 認定NPO法人おれんじハウス
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所在地: 〒221-0052 神奈川県横浜市神奈川区栄町1-19 グレイス横浜ポートシティ1階
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代表者: 理事長 中陳亮太
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設立: 2013年4月1日
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活動内容: 保育、児童発達支援、放課後等デイサービス、医療的ケア児支援、訪問看護、診療、相談支援、地域子育て支援など
7月には相談や利用に関する問い合わせを受け付ける公式LINEも開設され、電話や来所に負担を感じる場合でも繋がりやすく、相談の心理的なハードルを下げる工夫がされています。

