この記事で分かること

  • サンシャインシティグループが実施した「防災研修」の具体的な内容

  • 災害時におけるDEI(多様性、公平性、包括性)の重要性

  • 障がいのある方の「当事者視点」を学ぶための実践的な取り組み

  • サンシャインシティグループが目指す「災害に強い施設・まちづくり」

  • 顧客体験価値(CX)向上活動の一環としての多様な研修事例

災害時も誰も取り残さない!サンシャインシティグループのDEI防災研修で学ぶ「当事者視点」と「合理的配慮」

2026年9月14日、株式会社サンシャインシティは、8月30日から9月5日の「防災週間」に合わせ、災害時におけるDEI(Diversity:多様性、Equity:公平性、Inclusion:包括性)の重要性と、障がいのある方の「当事者視点」を身につけるための「防災研修」を実施しました。この研修は、サンシャイン水族館や展望台、案内所など、日頃からお客様を案内するスタッフやグループ社員を対象に行われ、計27名が参加しました。

サンシャインシティグループのDEI推進への取り組み

サンシャインシティグループは、誰もが自分らしく働ける環境や社会を作るための考え方や取り組みであるDEIを重視し、今回の防災研修を通じて、災害時における多様なニーズへの対応能力向上を目指しています。これは、年間3,000万人以上が訪れる施設として、すべてのお客様に安心・安全な体験を提供するための重要な一歩です。

研修の詳細:2部構成で実践的な学びを提供

今回の防災研修は、理論と実践を組み合わせた2部構成で実施されました。参加者は、災害や障がいに関する深い知識を得るとともに、実際の避難を想定した体験を通じて、当事者視点からの課題を肌で感じました。

第一部:日本財団パラスポーツサポートセンター「あすチャレ!Academy」で学ぶ

第一部では、日本財団パラスポーツサポートセンターが提供する「あすチャレ!Academy」防災編が用いられ、現役のパラパワーリフティング選手である山本恵理氏を講師に迎えました。災害や障がいに関する講義が行われ、「発災から100時間」までの間にどのようなことが起こり得るかをシミュレーションするグループワークが実施されました。

このグループワークでは、「移動のための手段が利用できない」「排泄に関することができない」といった具体的なテーマについて、参加者が課題と解決策を話し合い、全体で共有しました。これにより、障がいとは何か、障がいのある方がどのようなときに障壁を感じるのかについて、多角的な視点から学びを深めました。

第二部:サンシャイン水族館での「車いす避難体験」

第二部では、サンシャインシティ独自の研修プログラムとして、営業中のサンシャイン水族館における地震発生を想定した「車いす避難体験」が初めて実施されました。参加者は、屋内エリアの「サンシャインラグーン水槽」前から屋外エリア「マリンガーデン」内の避難ルートの一部を実際に車いすで走行しました。

この体験では、想定外の倒壊物や通行困難な動線を確認しながら避難ルートを移動することで、地震発生時に障がいのある方が直面するであろう具体的な困難を身をもって感じることができました。これは、机上の学びだけでは得られない貴重な経験となりました。

参加者の声から見えた課題と今後の展望

研修後、参加者からは多くの気づきや今後の活動に向けた意欲が寄せられました。

「選択肢が少ないことが障がい」という気づき

研修参加者からは、「『選択肢が少ないことが障がい』という言葉が印象に残りました。相手の立場になり、気持ちを考え、声を掛けていきたいと思います」という声や、「障がいは手足が不自由なことだけではなく、生活の中の障壁であるということが印象的でした。妊婦の方やお子様連れなど、誰でも災害時には“障がいを感じる人”になり得ると思いました」といった深い洞察が共有されました。

また、「障がいのある方を補助する社内体制はまだまだ不十分だと感じました。今回学んだ内容を踏まえ、体制整備をしていこうと強く思いました」と、具体的な改善への意欲も示されました。

災害に強い施設・まちづくりへの決意

今回の研修を通じて、サンシャインシティグループは「選択肢を増やすこと」「誰かにとっての選択肢になること」を日頃から考え、備えることの重要性を改めて認識しました。誰もが快適に過ごせる状況を目指し、平時からルールや環境を整えること、そして災害時には一人ひとりが互いを思いやり、必要なことを伝え合うことが重要であると強調されています。

サンシャインシティグループは、今回の研修で得られた気づきを活かし、誰もが安心・安全に過ごせる「災害に強い施設・まちづくり」を推進していく方針です。

サンシャインシティの顧客体験価値(CX)向上活動と多様な研修

サンシャインシティグループは、今回の防災研修だけでなく、顧客体験価値(CX)向上活動の一環として、多岐にわたる研修を実施しています。これは、「私の『毎日』はお客様の『初めて』その“一回”に心を込めて」というスローガンに基づき、年間3,000万人以上のお客様に「ココロ動かす体験」を提供するためのものです。

生理痛体験研修で理解を深める

過去には、生理痛体験装置「ピリオノイド」を用いた生理痛疑似体験研修も実施されています。この研修では、女性の健康課題に関する座学に加え、痛みを疑似体験するワークショップを通じて、性別問わず互いに気を配り合える職場環境づくりや配慮方法を学ぶ機会が提供されました。

合理的配慮研修で当事者視点を学ぶ

また、視覚障がい、聴覚障がい、車いす利用の3つのテーマで合理的配慮研修も実施されています。当事者が講師を務め、座学だけでなく疑似体験ワークショップを取り入れることで、障がいのある方の立場や困りごとを深く理解し、適切な配慮や支援方法を学ぶ機会を設けています。

Q&A:防災研修とDEIに関するよくある疑問

Q1:DEIとは具体的にどういう意味ですか?
A1:DEIは「Diversity(多様性)」「Equity(公平性)」「Inclusion(包括性)」の頭文字を取った言葉です。多様な人々が公平に機会を得て、それぞれの違いが尊重され、誰もが組織や社会に完全に受け入れられている状態を目指す考え方や取り組みを指します。

Q2:なぜ災害時に障がいのある方の視点が重要なのでしょうか?
A2:災害時は、健常者にとっては当たり前の行動や利用できる設備が、障がいのある方にとっては大きな障壁となることがあります。例えば、停電時のエレベーター停止は車いす利用者にとって移動手段を失うことになります。当事者視点を持つことで、平時には気づきにくい具体的な課題を発見し、より実効性のある防災対策を講じることが可能になります。

Q3:サンシャインシティグループの取り組みは、他の施設にも応用できますか?
A3:サンシャインシティグループの取り組みは、大型複合施設という特性を活かした実践的な内容が多く含まれていますが、その根底にある「当事者視点の重要性」「DEIの推進」「実践的な研修の導入」といった考え方は、規模の大小に関わらず様々な施設や組織に応用可能です。特に、疑似体験や当事者との交流を通じて学ぶ手法は、共感と理解を深める上で非常に有効であると言えるでしょう。

まとめ:誰もが安心して過ごせる社会を目指して

サンシャインシティグループが実施したDEI防災研修は、災害時における障がいのある方のニーズを深く理解し、誰も取り残さないための具体的な行動を考える貴重な機会となりました。パラパワーリフティング選手による講義や、サンシャイン水族館での車いす避難体験を通じて、「選択肢が少ないことが障がい」という本質的な気づきが得られ、今後の「災害に強い施設・まちづくり」への決意を新たにしています。

このような企業や団体の取り組みは、障害福祉分野におけるインクルーシブな社会の実現に向けた重要な一歩です。私たち一人ひとりが当事者意識を持ち、多様な人々が安心して暮らせる社会の実現に貢献していくことが期待されます。


サンシャインシティ 概要
所在地:東京都豊島区東池袋3-1
問合せ先:サンシャインシティ総合案内 03-3989-3331
ウェブサイト:https://sunshinecity.jp/

Written by

菅間 大樹

findgood編集長、株式会社Mind One代表取締役
雑誌制作会社、広告代理店、障害者専門人材サービス会社を経て独立。
ライター・編集者としての活動と並行し、就労移行支援事業所の立ち上げに関わり、管理者も務める。職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修修了。
著書に「経営者・人事担当者のための障害者雇用をはじめる前に読む本」(Amazon Kindle「人事・労務管理」「社会学」部門1位獲得)がある。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0773TRZ77