障がい者雇用の現状と「適した業務がない」という課題

2026年7月には、民間企業に義務付けられている障がい者の法定雇用率が2.5%から2.7%へ引き上げられました。しかし、2025年6月1日時点での達成率は46.0%に留まっていることが、厚生労働省「令和7年 障害者雇用状況の集計結果」で示されています。

さらに、厚生労働省「令和5年度障害者雇用実態調査」では、障がい者を雇用しない理由として、「当該障がい者に適した業務がないから」が全障がい種別で7割を超え、最も多い理由となっています。この結果は、多くの企業が障がい者の能力を最大限に引き出すための業務創出や環境整備に課題を感じている現状を浮き彫りにしています。

障がい者雇用の現状 障がい者を雇用しない理由、7割超が「適した業務がない」

「DEFCON」が拓くデフエンジニアの可能性

「DEFCON」は、デフの学生、エンジニア、ITコンサルタント、企業経営者、政治家など、多様な立場から障がい者雇用について深く考える場を提供します。企業側の課題だけでなく、当事者が働く中で感じる課題や、能力を発揮するために必要な環境についても議論される予定です。

イベントでは、デフエンジニアの雇用・活躍に取り組む株式会社C4Cが主催となり、デフの社会的価値を高めることをミッションに掲げています。

聴覚障がいエンジニアが語る、現場のリアル

C4Cでは、聴覚障がいの有無に関わらず、個々のスキルや経験に応じて業務や役割を任せています。実際に、C4Cでテックリードとして開発チームを率いる村上龍平氏は、デフエンジニアとしてシステム開発の現場で活躍しています。

システム開発の業務内容は、聴者のエンジニアと異なるものではありませんが、チームでの仕事ではコミュニケーションに工夫が必要な場面も存在します。DEFCONでは、村上氏が自身の経験をもとに、デフエンジニアとして働く中で感じたことや、職場でのコミュニケーションにおける工夫について語ります。これにより、企業や職場がどのような工夫を取り入れられるのか、具体的なヒントが得られるかもしれません。

難聴うさぎ氏が語る、当事者の声と情報発信の力

普段デフと接する機会が少ない方にとって、当事者から直接話を聞く機会は貴重です。DEFCONには、総フォロワー数80万人を超えるインフルエンサー・難聴うさぎ氏が登壇します。イベント前半の「難聴うさぎセッション」では、聴覚障がい当事者としての経験や、情報発信を続ける中で感じていること、そして困難に直面しながらも新たな一歩を踏み出してきた背景について語られる予定です。

難聴うさぎ氏とC4Cは、「誰もが活躍できる社会の実現」を目指し、それぞれの経験や活動を通じて感じてきたことを共有し、誰もが自分らしく活躍できる社会について考える時間を提供します。

ITが変える職場のコミュニケーション:リアルタイム文字起こしと字幕技術

デフが働く上で感じる困難や、企業側が抱える課題を解決するためには、周囲の理解やコミュニケーションの工夫に加え、環境そのものを変えていくことも重要です。その可能性を大きく広げるのが、テクノロジーの進化です。

AIによるリアルタイム文字起こしや、会話を字幕として表示するデバイスなど、聴覚障がいのある人のコミュニケーションを支援する技術が次々と生まれています。これらの技術は、「聴こえないから難しい」と考えられていた仕事やコミュニケーションに、新たな選択肢をもたらす可能性があります。

DEFCONでは、「デフ×IT」を切り口に、テクノロジーが働き方やコミュニケーションの「当たり前」をどこまで変えられるのか、そしてその先にどのような未来が広がっているのかを深く考察します。

多様な視点から障がい者雇用を議論する登壇者たち

イベントには、デフエンジニアやインフルエンサーだけでなく、多様な分野の専門家が登壇し、多角的な視点から障がい者雇用について議論します。

  • 斉藤りえ氏(衆議院議員)
    1歳の時に聴力を失い、著書『筆談ホステス』がドラマ化されるなど、自身の経験を活かして活動。情報保障の制度化を重要政策に掲げ、国会本会議での電子機器使用承認など、「当たり前」を一歩ずつ変えてきた実績があります。

  • 岩田進氏(株式会社イルグルム 代表取締役CEO)
    「データとテクノロジーによって世界中の企業のマーケティング活動を支援し、売り手と買い手の幸せをつくる」をビジョンに掲げ、マーケティングAI・コマースAI事業を展開する企業の経営者です。

これらの登壇者が、それぞれの専門性や経験に基づき、障がい者雇用の未来についてどのような視点を提供するのか、注目が集まります。

「DEFCON」開催概要

「DEFCON」は、障がい者雇用に関心のある方、デフエンジニアの働き方を知りたい方、ITが社会にもたらす可能性を感じたい方にとって、貴重な学びと交流の機会となるでしょう。

  • イベント名:〜DEFCON〜 デフ×ITがつくる未来。社会の”当たり前”をアップデートする。

  • 開催日時:2026年9月26日(土)14:00〜17:00

  • 開催場所:赤坂インターシティコンファレンス 港区赤坂1丁目8−1赤坂インターシティAIR 4F

  • アクセス:東京メトロ 溜池山王駅(14番出口当ビル直結)、東京メトロ 国会議事堂前駅(14番出口当ビル直結)

  • 参加費

    • 参加チケット:2,000円

    • 障がい者参加チケット(当日、障がい者手帳を確認):1,500円

    • 交流会:3,000円

  • 主催株式会社C4C

  • ウェブページhttps://def-con.net/

  • 参加申し込みページhttps://c4c2026.peatix.com/

タイムテーブル

  • 13:30 | 開場

  • 14:00〜14:20 | オープニング

  • 14:25〜14:40 | 難聴うさぎセッション

  • 14:45〜15:10 | LT(ライトニングトーク)

  • 15:15〜16:15 | パネルディスカッション

  • 16:20〜16:30 | 記念撮影

  • 16:30〜17:00 | 交流会

  • 17:00 | 閉場

  • 17:30〜 | 食事交流会(会場移動)

まとめ

障がい者雇用の現状にはまだ多くの課題がありますが、IT技術の進化と、当事者や企業、政治家など多様なステークホルダーの対話によって、新たな道が切り拓かれつつあります。「DEFCON」は、これらの動きを具体的に知る貴重な機会となるでしょう。

Written by

菅間 大樹

findgood編集長、株式会社Mind One代表取締役
雑誌制作会社、広告代理店、障害者専門人材サービス会社を経て独立。
ライター・編集者としての活動と並行し、就労移行支援事業所の立ち上げに関わり、管理者も務める。職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修修了。
著書に「経営者・人事担当者のための障害者雇用をはじめる前に読む本」(Amazon Kindle「人事・労務管理」「社会学」部門1位獲得)がある。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0773TRZ77