障害のある方の避難生活、9割以上が不安を実感

LITALICO仕事ナビが実施した「防災への備えと避難に関するアンケート調査」では、障害や難病のある回答者の91.3%(46名中42名)が、災害時の避難生活に心理的な負担を感じていることが明らかになりました。

災害時の避難生活に対する不安度

特に不安を感じる点(複数回答)としては、「避難所の環境(騒がしさ、明るい照明、過密状態など)に耐えられるか」が38件で最も多く、次いで「トイレやお風呂など、衛生面の対策」(35件)が挙げられました。さらに、「服用している薬や医療器具の備えが何日分あれば足りるか分からない」「困ったとき、必要な配慮やケアを相談できる支援者がいるのか」「薬や医療器具が足りないとき、入手できるのか」といった医療や支援に関する不安も上位を占めています。

避難所生活やお薬・医療器具に関する不安

「自分に合った備え」が鍵!在宅避難を想定する声も

避難先として、「指定避難所」を想定する方が63.0%いる一方で、「在宅避難」を想定する方も58.7%と多く見られました。これは、避難所の環境への不安から、住み慣れた自宅での避難を重視する傾向があることを示唆しています。アンケートの自由記述では、以下のような具体的な声が寄せられています。

  • 「うつ状態がひどいと避難先へ行くのこともできなくなるので、食料品の備蓄は多めにしておいた方がいいです」

  • 「避難用品や薬の準備は早めに」

  • 「無理に周りの環境に合わせない」

  • 「私のように『目に見えないハンデ』がある場合、大勢が集まる避難所に留まるよりも、在宅で安全なのであれば自宅に待機しようかと考えています」

鳥取大学大学院教授でLITALICO研究所スペシャルアドバイザーの井上雅彦先生は、障害のある方の防災対策について、「一人ひとりの障害特性や家族、地域の状況によって、避難のタイミングや必要な備えも異なるため、ご本人やご家族の状況に合わせた『個別の避難計画』を立てることが大切」とコメントしています。また、日常的に服薬している方や障害者手帳を持っている方は、周囲に配慮のニーズを知らせるための手帳のコピーや処方箋のコピーを避難袋に入れたり、感覚過敏を和らげるグッズを備えたりと、一般的な防災用品に加えて個別の準備が必要になる場合があるでしょう。防災の備えは一人で進めるのが難しい場合も多いため、周囲の人たちと楽しみながら準備を進められるような機会や活動が提供されることが望ましいとされています。

LITALICO仕事ナビが提供する「福祉×防災」の充実コンテンツ

LITALICO仕事ナビでは、今回のアンケート集計結果をまとめた詳細記事に加え、防災に役立つ様々な解説記事を公開しています。障害のある方が、いざというときに命を守り、安全な避難生活を送るための具体的な備えや周囲との連携方法について、リアルな声と専門家の知見を交えて確認できる内容となっています。

  • 【特集ページ】記事の全文・防災チェックリストはこちら(無料)

  • 調査レポート本編:当事者のリアルな声や、今日から取り組める具体的な備えのアドバイス

  • 解説記事:具体的な備えのアドバイス

  • 解説記事【避難行動要支援者名簿と個別避難計画とは?(監修:白神 晃子先生)】:平時からの登録・備えとして重要な制度「個別避難計画」の解説

専門家が語る「公助」と「共助」の重要性、多職種連携の必要性

今後、順次公開予定のコンテンツとして、跡見学園女子大学教授で日本災害福祉学会共同代表理事の鍵屋一先生への特別インタビューや、日本災害福祉学会の取材記事も予定されています。

鍵屋一先生のインタビューでは、災害対策における「公助」(行政による支援)と「共助」(地域住民による助け合い)の重要性が語られる予定です。一般の避難所が音や光に敏感な方にとって負担となることが多いため、在宅避難や車中泊などの多様な選択肢を事前に検討することの重要性が強調されるでしょう。支援者とともに個別避難計画を作成し、日頃から頼れる関係性を築くためのヒントが紹介されると期待されます。

また、日本災害福祉学会のフォーラム取材レポートでは、能登半島地震の被災地支援の実践から、平時から行う個別支援、福祉・医療など多職種が連携した包括的なサポート体制の重要性などが語られる見込みです。要配慮者の災害関連死を防ぐため、福祉の専門家がどのように備えているのか、学会での議論の様子が紹介されるでしょう。

まとめ:今日から始める障害のある方のための防災対策

LITALICO仕事ナビが公開した「福祉×防災」に関する新しいコンテンツと独自調査結果は、障害のある方が災害時に直面する具体的な不安と、それに対する「自分に合った備え」の重要性を浮き彫りにしています。個別避難計画の策定や、地域・専門家との連携を通じて、一人ひとりが安心して災害に備えられる社会を目指す上で、これらの情報は貴重な指針となるでしょう。今日からできる備えを見つけ、実践していくことが、いざという時の命と安全を守る第一歩となります。

Written by

菅間 大樹

findgood編集長、株式会社Mind One代表取締役
雑誌制作会社、広告代理店、障害者専門人材サービス会社を経て独立。
ライター・編集者としての活動と並行し、就労移行支援事業所の立ち上げに関わり、管理者も務める。職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修修了。
著書に「経営者・人事担当者のための障害者雇用をはじめる前に読む本」(Amazon Kindle「人事・労務管理」「社会学」部門1位獲得)がある。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0773TRZ77